僕は撃った。
 迷ったのは、おおよそ〇・三秒というところだった。

 

 銃声が日常になっているこのゲームで、彼女は振り向きもしなかった。
 僕は、敵兵が間違いなく動かなくなったのを確認すると、弾倉を交換しながら、彼女の背中を追いかけ、次の部屋へと向かう。
 その時、僕は、息が詰まるような閉塞感を感じていた胸が、すっと軽くなっていくのを感じた。

 

 彼女は言っていた。普通に扱ってもらえることが、自分にとっては、特別なことなのだと。
 それは僕にとっても同じだ、と思った。
 僕がやったのは、普通のことだ……一緒にゲームをしている者として、当たり前のことをやっただけだ。
 それでも、僕にとってはそれが、なにがしかの意味において、特別なことだった……そのことを、僕は信じて疑わなかった。

 

                                                                              完

 


 

ご読了、ありがとうございました!

 

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