僕が後方から大ぶりの機関銃――正確には分隊支援火器というのだが――の強力な射撃を敵に浴びせ、彼女は身軽な装備で、前衛として切り込みとどめを刺す。そういう分担だった。彼女のそうしようという提案に、僕は異議を唱えなかった。
 実際、前衛としての彼女は申し分なかった。照準動作は早く、状況判断は正確で、すぐ目の前にいる敵兵にも臆することがなかった。
 それでも、銃を撃ちながら、僕はふと考え込むことがあった。もしあの時、そうじゃない、前衛は僕がやると言っていたら、彼女はどうしていたろう、と。

 

 喫茶店の奥の方の席で、彼女は自分のハンドルネームを告げた。僕はその文字列に心当たりがあった。都道府県別のハイスコアランキングで、いつも僕の近くにある名前だった。
 彼女は言った。
「こんな小さい県だけど、それでも私たちは、一位にはなれない」
 それは、僕も思っていたことだった。僕たちはそれなりに上位にいるが、上には上がいる。地方とはいえ、ランキングで一位を取るのは簡単ではない。
「……一人プレイなら、ね」
 彼女は自分の計画を僕に話した。東京のような大都市なら、同好の士を見つけるのにさほど苦労はない。しかし、僕らが住んでいるような地方では別だ。同じゲームで、ランキングの上位を巡ってしのぎを削るような相手と、直接顔を合わせられるなんてことは、滅多にない。
「だから、二人協力モードだったら、私たちでも県内一位が取れると思うの」
 半信半疑の僕に彼女は、二人協力モードの県内ランキングは、プレイヤーが二人とも県内から接続していることが条件だから、競争率はかなり低いはずなのだ、と説明した。
 僕はとりあえず、その考えには納得することにして、理由を聞いた。なぜ君がそうまでして、ランキングの上位を狙うのか、と。