そういうわけで、新学期が始まった後、僕はレールからはみ出すことにした。
 家を出て駅まで歩くと、僕はトイレで私服に着替え、高校に行くのとは別の電車に乗る……大学に行くためだ。
 週に二回ほどのペースで――留年しないぐらいの頻度で――僕は高校をサボって、大学の講義に潜り込んでいる。大学というのがどういうところかを知り、気に入れば、進学しようというつもりだ……今では、どうして大学進学を目指す同級生たちが同じ事をしないのか、不思議に思えてきた。大学に行くために必死で勉強しておきながら、その大学がどんなところなのかは、よく知らないなんて。
 まあ、道の踏み外し方としては、火炎ビンを投げるよりはいいんじゃないかと思う。
 ユミとは、まだ別れていない。あの後、ユミが急に例の俳優が出ていた映画を借りてきて、一緒に観ようと言い出してから、何というか、ロスタイムみたいな時間を過ごす気になったのだ。もっとも、僕が高校をサボるたびに聞かされる小言には、相変わらずうんざりさせられているのだが。
 僕は、大学に行く道の途中で立ち止まる。この近くでも暴動があったということを、最近知ったのを思い出す。
 寄り道に寄り道を重ねるぐらい、いいか。
 僕はそう思って、小さく笑いながら、予定とは違う道に、足を踏み入れた。

 

                                                                              完

 


 

ご読了、ありがとうございました!

 

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