「送り主は突き止めることができたね」
 僕は言った。
「でも、動機は大外れ。探偵としては、×ではないけれど、○でもない……△ってところかな」
「うう……ま、負けた」
 未空ちゃんは心底悔しそうだった。
「この私としたことが……つまらない感情なんかに流されて」
 僕は未空ちゃんの感情がつまらないとは思わなかったけれど、それを言うとそれこそ未空ちゃんを感情的にしてしまいそうだったから、黙っていた。
 深いため息をつく未空ちゃん。校内だというのに、息が白い。
「あーあ。なんかしらけちゃった。そういえば、チョコ、もう一個あったわね」
「え……う、うん」
 僕はドキッとさせられつつ、平静を装う。
「まさか、それも私へのチョコ、なんてことはないんでしょうね」
「え、えっと……ど、どうして分かったの?」
「別に。ただの当てずっぽう」
「そ、そういうわけで……はい、これ」
 僕がおずおずともう一つのチョコを差し出すと、未空ちゃんは無造作にそれを受け取った。
「結局、あなたへのチョコは、一個もなかったのね」
 未空ちゃん、なぜかちょっと嬉しそう。
「あ、あのさ、未空ちゃん、えっと……」
「あ、私、親が迎えに来てるから、今日は一緒に帰らないの。大雪らしいから、あなたは気をつけて帰りなさいよ」
「え、あ、はい……」
「じゃあね」
 そう言って、未空ちゃんは行ってしまった。なぜかスキップしている。

 

 結局、僕は言えずじまいだった。
 未空ちゃんに渡したあのチョコ……あれは、僕からの「逆チョコ」だったのだけれど……。

 

 


 

ご読了、ありがとうございました!

 

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