授業中に何をするのかと思えば、三時間目はコンピューター学習の時間だった。
 コンピューター学習の授業ではほぼ毎回、生徒が自由にパソコンを使っていい時間がある。未空ちゃんは、それを利用した。
「見なさい」
 未空ちゃんがそう言って見せてくれた液晶画面には、インターネットの地図サービスが表示されていた。
 どうやらこの小学校の周囲の地図らしいそれには、ところどころに赤色のピンのような形の印がついている。
「このピンは?」
「このクラスの女子の住所よ」
 どうしてそんなものを……と思ったけれど、よく考えたら未空ちゃんだってクラスの一員だ。その上に探偵なんだから、クラス全員の住所を知っていてもおかしくはない。
「で、ここからどうするの?」
「ふふん、まずはね」
 未空ちゃんがパソコンを操作すると、画面に青いピンが現れた。
「こっちの青いピンは、リボンや包装紙を売ってるお店なの」
「けっこうあるね」
「でも、このチョコに使われているリボンと包装紙を両方売ってるのは、このお店だけ」
 未空ちゃんがそう言うと、今度は緑のピンが出現する。
「へえ……」
「はっはっは。どんなもんよ」
「でも未空ちゃん、どうしてお店の品揃えにそんなに詳しいの」
「え……? ど、どうだっていいでしょ、そんなこと!」
 未空ちゃんは妙に慌てた様子で言うと、僕から顔を背けるように画面に向き直った。
「で、他の青いピンよりも、緑のピンに一番近い赤いピン……つまり、容疑者の住所は……ここ!」
 画面上からほとんどのピンが消え、赤いピンが一本だけ残された。
「……佐藤経瀬(ヘッセ)。あの女か」
 経瀬ちゃんは、冬休みの旅行の時に一緒だった女の子だ。あの時は一騒動あって大変だったけど、楽しかったなあ……。
「やっぱり、あの女……そうだったのね。ついに尻尾を掴んだわ」
 というわけで、未空ちゃんは真相(?)にたどり着いた。
「……で、送り主を突き止めたわけだけど、どうするの?」
「決まってるわよ! ……あれ……どうしよう……」
 僕が聞くと、未空ちゃんは急にしゅんとなってしまった。どうやら、そこまで考えていなかったらしい。
「と、とりあえず、会ってみるわ。話はそれからよ!」