mikuchan_snow

「この……浮気者!」

雪が降るバレンタインになったその日、僕はチョコを二つ持っているところを未空ちゃんに見つかってしまう。

僕が訳を話そうとするのを聞こうともせず「送り主を自力で突き止める」と言い出す未空ちゃん。はてさてどうなることやら……

 

 

掲載時期

ジャンル

分類

分量

2014年2月

ミステリ(?)

短編

5ページ

 

 

「この……浮気者!」
 雪が降るバレンタインデーになったその日、未空ちゃんの朝の挨拶は、実に独創的だった。
 小学校の教室に入ってきた僕を後ろから捕まえると「持ち物検査をするわ」と言い、おもむろにランドセルを開けて、僕が抵抗する暇もなく、二つの包みを見つけてしまったのだ。
 二つとも、可愛らしく包装された、手の平ぐらいの大きさの箱だ。あれだ。チョコというやつだ。
 だが、今はそのチョコは未空ちゃんの手の上にある。未空ちゃんはこれ見よがしに手をわなわなとふるわせながら、怒髪天を突かんばかりという様子で言った。
「一つならまだしも、二つも! ああ、なんて汚らわしい! しかもこの気合いの入った包装……本命ね! そうなのね! 黙ってないで何とか言いなさいよ真!」
 別に黙っていたわけではないのだけれど、僕はそう言われて初めて口を開いた。
「おはよう、未空ちゃん」
「あ、おはよう……じゃなくて! ちょっとこれはどういうことなのよ説明しなさいよ」
「ああ、こっちの箱は、一緒に手紙があって、そこに書いてあったんだけど、これはね――」
「待った!」
 説明しようとした僕を、未空ちゃんはまたしても唐突に黙らせた。
「説明されるのは、なんか癪だわ……そうよ、そうしましょう……」
 未空ちゃんが一人でどんどん話を進めるのは、いつものことだ。
「これは事件だわ。今回は、この二個のチョコの送り主を突き止めることにする」
 時々忘れそうになるけど、未空ちゃんは探偵だ。つまりは、そういうことである。
「さあ、ゲームの始まりよ!」

 

 未空ちゃんはすぐに、二つある箱のうちの一つに、わずかに土が付着しているのに気づいた。