その時にはもう、午前二時近くなっていたのだけれど、僕たちはそれから四時間、ぶっつづけでゾンカルをやり通した。
 理由は簡単。僕のキャラクターを「復旧」させるためだ。
 未空ちゃんの提案はこうだった。何にしても、この中に犯人がいることは確かなのだから、ここは連帯責任ということにして、みんなで朝までゲームをやって、僕のキャラを育て直そうと言うのだ。
「そ、そんな!」と、太郎くんは反対した。「見つかったら怒られちゃうよ!」
 けれど、反対したのは太郎くん一人だった。
「へえ、面白そうじゃん」真っ先に賛成したのは、次郎くんだった。「実は俺、みんなで集まって徹夜でゲームって、一度やってみたかったんだよな」
「私も、それ、すごい良いと思う!」と、経瀬ちゃんは顔を輝かせた。「それなら、誰も辛い思いをしなくて済むよね!」
「え? え?」
 太郎くんは、まだ戸惑った顔をしていた。
「真」
 未空ちゃんは言う。
「あなたはどう思うの?」
 しかし、それは尋ねるというより、期待した答えを聞き出すだけ、という感じだった。
……さすが未空ちゃんだ、と僕は思った。
「うん。僕もそれがいいと思う」
「え、ちょ、ちょっとみんな……」
「中田。あなたも賛成しなさい……その方がいいわ」
 未空ちゃんはもう、さっきまでみたいな、のめり込むような態度は一切見せず、ただ抑揚のない声で、そう言うだけだった。
 太郎くんは言葉を失った。けれど、その場にいる四人全員の視線が、自分に集中しているのを見て取ると、太郎くんはただ一言「うん……やろう」と言った。
 その時の太郎くんの印象が、僕には前と少し違って思えた。

 

 それからの四時間あまり、僕たちはゾンビ狩りに没頭した。
 僕は一からカリウードを作り直し、他の三人が協力して、次々と強力なゾンビを撃破していく。経験値を稼いでカリウードを成長させ、得られた素材から作った装備は、四人分が全部僕の方に回された。
 経瀬ちゃんは、最初はみんなの水を用意したりと後方支援に回っていたのだけれど、そのうち疲れて休憩する人が出てくると、交代して参戦したりした。
 何より、みんな楽しんでいた。疲れてはいたけれど、楽しんでいたと思う。たぶん、犯人捜しより、ずっと。

 

 翌朝、僕たちは談話室で眠りこけているところを発見され、親たちにこっぴどく怒られた。
 僕のカリウードはというと、もちろん、いくら三人の手助けがあったとはいえ、元通りとはいかなかった。でもまあ、それは大した問題ではないんだと思う。僕自身、それで良かったと思っている。

 帰り道、高速道路のサービスエリアで、たまたま子供たちだけになるタイミングがあった。
 その時、太郎くんが
「ごめん、やったのは僕だったんだ」
 と自白した。
「ちょっといたずらするぐらいのつもりだった……でも、みんなで徹夜でゲームをしてみて、分かったよ。自分がどれだけ大変なことをしたのか」
 ションボリとそれを口にする太郎くんを見て、僕たちは黙った。
 少しだけ沈黙が流れた後、未空ちゃんが言う。
「へえ、そうなんだ」
 顔を上げた太郎くんは見ただろう。不敵に笑う未空ちゃん、しょうがねえなあと頬を歪める次郎くん、いつもと似たような薄ら笑いを浮かべる僕、楽しそうににこにこしている経瀬ちゃん……。
「さあ、行こう。家に帰ろう」
 泣き出してしまった太郎くんを、取り囲んで励ましながら、僕たちは歩き出した。

 

 


 

ご読了、ありがとうございました!

 

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