「……真、起きなさい……起きなさいってば!」
 僕はかすれるような高い声と、肩をゆする柔らかい手によって目覚めた。
 寝返りを打ってベッドの横を見ると、そこには見慣れた女の子の可愛い顔があった。
「え……未空ちゃん?」
 な、なんで未空ちゃんが僕の部屋に?
「ちょっと起きてよ。変なものを見ちゃった」
 僕が身体を起こすと、薄暗い中で、未空ちゃんがジャージを来ているのが見えた。ジャージと言ってもダサイのではなく、スポーティーな意味でお洒落な感じだ。
 部屋の中を見渡すと、僕の家族がそれぞれのベッドで寝ていた。壁に掛けられた時計を見ると、時刻は午前二時。
「……変なものを見たって?」
 また未空ちゃんが捜査熱に取り憑かれたのかな、と思いながら、僕はベッドから降りた。
「談話室に誰かがいたの」
 談話室というのは、さっき僕たちがゲームをやっていたあそこだ。
 僕は眠い目をこすりながら、未空ちゃんと一緒に廊下に出た。廊下は常夜灯がついていて、よく見ると、未空ちゃんは普段に似合わぬ弱気そうな顔をしていた。僕の胸は高鳴った。ギャップ萌えというのか、保護欲をかき立てられるというのか。
「それで?」
「テーブルに向かって何かしてたのよ」
「もう少し詳しく」
 未空ちゃんの話はこうだった。クーラーのせいでのどが渇き、未空ちゃんは目を覚まして、台所でお水を飲んだ。台所を出て談話室に入った時、未空ちゃんは談話室で誰かが何かしているのを見た。
「子供の背丈だったけど、暗かったし、寝ぼけてもいたから、誰だったかまでは分からない」
「それで?」
「私が『誰?』って声をかけると、慌てて廊下の方に……その後、部屋のドアが閉まる音がしたわ」
「……それは不気味だね」
「あなたじゃないのよね」
「もちろんだよ」
 僕は、その子が何かしていたという、テーブルの前に来た。そこには、僕たちの携帯ゲーム機が、並んで置かれている。他には、特にめぼしい物はない。
 僕はそのうちの一つ、僕の白いゲーム機を手にとって、何気なく電源を入れてみた。
 すぐに僕は異変に気づいた。寝る前は音量を中くらいにしていたのに、今は消音になっている。
 もう少し調べてみると、僕はその重大なことに気づいた。
「……『ゾンカル』のデータが消されてる」