僕たちは店を出て、近くの公園の東屋に陣取り、あんパンと牛乳を片付けながら捜査会議を開いた。
「動機が分からないよね」
「というより、動機が謎の全てよ。今回の事件の場合」
「どうして毎週毎週、同じDVDを借り続けるのか……」
「意味が分からないわ……あの映画、そんなに良かったの?」
「さあ、僕もまだ見てないから」
 未空ちゃんは東屋の天井を見上げながら、背もたれにだらっとなって、ため息をついた。
「そりゃ、名刑事ピーターは何年も続いてる人気作だけど……だからって毎週お金払って見ることはないわよね……」
「あのお店は旧作一週間百円だから、小学生でも払えないことはないけどね」
「阿部があのDVDを借りてるのは、いつからだか分かる?」
「僕が映画を見たいって思って探し始めたのは二ヶ月ぐらい前だけど、その時から無かったよ」
「阿部は堅実そうなタイプだから、そのぐらいならお金も続きそうね」
「でも動機はやっぱり分からない」
「うーん……謎だわ。お手上げね……いっそのこと、拷問でもしちゃおうかしら」
「未空ちゃん……いつからそんな悪い子に」
「あんたが言い出したんでしょうが!」
 そんな小学生みたいなコントを始めてしまうぐらい、僕らはこの捜査ごっこに飽き始めていた。
「あーあ。今日の捜査はこれまでにして、映画でも借りて帰ろうかなあ」
「そう? じゃあ僕もそうしようかな」
 というわけで、僕らはまた元のレンタルショップに舞い戻った。
 僕は真っ先に、名刑事ピーターの棚を見に行った。
「あーあ。やっぱりないや」
「そりゃあそうでしょう。阿部のやつがずっと借りてるんだから」
「でもほら、このDVD、同じのが二本あるから、もう一本はそのうち帰ってくるかな、って」
「え?」
 未空ちゃんはそれを聞くと、突然、僕の肩越しに棚を覗き込んだ。未空ちゃんの身体が、僕の肩に当たる。僕は意識がふらっとして、どうにかなりそうになる。
 そんな中で、僕は耳元に彼女の明るい声を聞いた。
「そうか……分かった! 小学生的なことよ!」