writing_enviromentどうしてそんなことをするのか、と言われると、返答に困ることではあるのだが、今回は「私的執筆環境を公開する」と題して、私がいつもどういう環境で小説を書いているかを公開したいと思う。


 

最近はもう信じる道を行くという感じになっているのだが、昔は「みんなどういうソフトウェアやハードウェアを使って小説を書いているんだろう?」と気になって仕方がなくなる時期もあった。この文章が、そんな方にとって少しでも参考になれば良いと思う。

 

 

執筆環境とは何か?

ここで言う執筆環境とは「小説の執筆を行う環境」であり、つまり「どういうソフトウェアやハードウェアを使って小説を書いているか」である。

 

「小説なんてその気になればメモ帳でも、何ならスマホでも書ける」というのは、確かにその通りだ。でもやっぱり、ないよりはあるほうがいいと、年月をかけて少しずつ環境を整えてきた私としては、そう思わずにはいられない。

 

執筆は「一太郎」

まず、そもそもどのソフトで執筆しているかだが、これはワープロソフトの「一太郎」シリーズを使っている。

 

一部には、小説の執筆にワープロソフトを用いることへの批判もある。より動作が軽快で、データの互換性が高い(何らかの)テキストエディタを使うべきだという意見だ。

 

**ワープロソフトとテキストエディタの違いが分からない人への補足**

 

テキストエディタとは、文字通り.txt形式のテキストだけのデータを作るためのソフトである。

 

これに対しワープロソフトとは、一枚の紙に一行何字ずつで何行印刷するかを指定できるとか、罫線を引く機能があるとか、表を挿入する機能があるなどなど、より多機能で、そのまま印刷して会議とかで配布できるような、そういうデータを作るためのソフトである。

 

主な違いは二つあって、

 

1:テキストエディタは文章を書くことに特化して余計な機能がついていないため、大量の文章を読み込ませても動作が遅くならないこと

 

2:テキストエディタによって作成できる.txt形式のテキストデータは、余計な装飾がついていない分、WindowsだろうがMacだろうがあらゆるプラットフォームで開いて読むことの出来る互換性の高い便利な形式であり、これに対しワープロソフトが作成するデータは各社独自の形式になっているため、多くのWindows PCにインストールされている「Microsoft Word」を除いて互換性が低い(データを別のパソコンに移動させた時に「開けるソフトがない!」となってしまう恐れがある)こと

 

である。

 

**補足終わり**

 

だが、それでも私はワープロソフトの「一太郎」を推したい。

 

まず「ワープロソフトは動作が重い」という指摘だが、これは、一般的なパソコンの性能が年々向上するにつれ、段々と当てはまらなくなっているのではないか、と私は感じている。私の場合、ゲーム用のため高性能なパーツを使っているメインPCではもちろん軽快に動作するし、たまに2013年モデルのMacbook Air(薄型軽量が売りのノートパソコン)を使って一太郎で執筆することもあるが、それほど動作が重いと感じたことはない。

 

また、一般的なMicrosoft Wordと比べると、一太郎の動作は軽い、という点も挙げておかねばならないだろう。

 

次に互換性の話だが、これも今のところ、不都合を感じたことはない。小説を友人に見せる時や、出版社へ投稿する時は、大抵印刷原稿の形で行っているし、テキスト形式に書き出すのもそれほど難しい作業ではない。PDFに書き出すこともできるし、互換性はさほどでもないが、やろうと思えばMicorosft Wordの形式で書き出すことも可能だ(なお、風の噂によると、一太郎のデータ形式で原稿を受け取ってくれる出版社も、けっこうあるらしい)。

 

というわけで、そんなにワープロソフトを毛嫌いすることもないんじゃないか、というのが今の私の考えである。

 

また、私がテキストエディタを敬遠する理由の一つとしては「縦書き可能なソフトが少ないこと」も挙げられる。読者が読むのが縦書きである以上、作者が書く時も縦書きでなくてはならないと私は思うのだが、それが可能なソフトが少ないというのは、テキストエディタの弱いところだ。

 

テキストエディタに対するワープロソフトの優位は一通り説き終わったので、次はMicrosoft Wordに比べて一太郎が良い理由に話を移したい。で、その理由は色々あるが、その中でも特に頻繁に使う機能をいくつか挙げよう。

 

1:縦中横が楽

縦中横(たてちゅうよこ)とは「縦書きの中で横書きをする」の略で、つまりよくライトノベルとかで見られる「!?」を一文字扱いにする処理のことだ。Microsoft Wordでこれをやるには……もう忘れてしまったがやたら面倒くさいステップが必要だった気がする。しかもよくずれていた気がする。このため、一時期の私は「!?」を作中で使うことを自主規制していたほどだ。

 

これに対し、一太郎ならボタン一発で「!?」を一文字にまとめられる。文字がずれることもなくて、楽で楽で仕方がない。

 

2:文字数カウント機能が充実

一太郎の文字数カウント機能は充実している。小説を書き始める前に「一行何字で一ページ何行で何ページまでが目標」と設定しておけば、画面右側に常に「現在何%」と表示してくれて「あ、枚数オーバーしそうだな」「このままならどうにか収まりそうだな」というのがすぐに分かる。

 

3:分かりやすいインターフェース

今回、この記事を書くにあたって、色々と調べ直してみて、間抜けな話なのだが、一太郎でできることの多くがMicrosoft Wordでもできることが分かり、驚いた。

 

しかし、よく見てみると、Microsoft Wordの場合、機能自体はあるのだが、複雑で分かりにくいメニューの中からいちいち探してこなければならないらしい。

 

これに対し、一太郎では、画面上部に配置された詳細な機能を司るメニューの他に、画面右側によく使う機能がまとめられていて、アイコンを使うなどして分かりやすく表示されている。

 

このインターフェースの分かりやすさのため、一太郎は使っていて楽である。一度慣れたら、もうMicrosoft Wordには戻れない。本気でそう思う。

 

と、他にも細かいことを挙げていけば切りがないほど、一太郎は良いと私は思っている。

 

導入コストはやや高いが、今のところは毎年バージョンアップしなくてもいいと思うので、何年も使えることを考えれば決して悪い投資ではないと思う。Microsoft Wordを持っている人向けに、比較的安価な「特別優待版」も用意されている。

 

 

ちなみに、一太郎を導入するまでは、私は無料ソフトの「Vertical Editor」を使用していた(本家によるとこのソフトはテキストエディタではなくアウトラインプロセッサなのだという。私もVertical Editorは厳密にはテキストエディタではないと思うが、かなりそれに近いソフトとして使用していた)。

 

縦書きが可能というのが愛用している理由だったが、機能的に物足りなくなったことと、サポートが事実上止まってしまったという不安から、一太郎に乗り換えることにした次第だ。

 

日本語入力ソフト「ATOK」

ATOK(エイトック)とは何か知らない人のために言っておくと、これは「日本語入力ソフト」である。

 

……といっても分からないだろうからもう少し付け加えよう。Windowsには標準で「Microsoft IME(以下MS-IME)」というソフトが付属している。このMS-IMEは私たちが入力した「ba」を「ば」に「ka」を「か」に変えてくれ、しかも「ばか」を「馬鹿」に変えてくれるという、とっても大事な機能を提供してくれているのだが、実はこのMS-IME、ものすごく評判が悪い。

 

私は専門家ではないので簡単な解説しかできないのだが、言う人が言うには、MS-IMEはひらがなを漢字に変換する時の精度に問題があり、Microsoftがちゃんと本気を出せば、文脈を読んで正しい漢字に一発で変換してくれるソフトが作れるはずだ、ということらしいのだ。

 

で、そんな手抜き製品であるMS-IMEに苦しむ多くの(いや、多くはないかもしれないが)日本人を救うべく、ジャストシステムという会社(一太郎を作っているのと同じ会社だ)がMicrosoftに代わってちゃんと本気を出して、長年リリースを続けている日本語入力ソフト、それが「ATOK」というわけだ。

 

ATOKには色々な機能がある(日本語の誤用を赤文字で指摘してくれるという、とてもありがたいけど軽くイラッとくる機能とか)が、以上のような背景から、一番重要なのは「文脈を読んで正しい漢字に一発で変換する」ことにより「書き手の負担を減らし、日本語入力を快適なものにする」ことである、と言える。

 

で、ここが難しいところなのだが、ATOKがそういう製品であるからして、ATOKの良さを語るのは、すごく難しい。具体的にここが良い、とか表現しづらいのだ。

 

確かに、日本語のプロ(ライターさんとか作家さんとか)からの評判はすごく良いらしい。でも、自分で使ってみると「うーん、確かに前より快適になった気はするけど……言葉にするのは難しいな」となってしまう。

 

でもやっぱり、何かの拍子でATOKがオフになってMS-IMEが有効になったまま日本語を書いていると「あれ? おかしいぞ?」とすぐに気づくし、「ATOKの良さがはっきり分からないんなら、MS-IMEに戻ってもいいんじゃないか」と言われると「それは絶対にイヤ」と思うので、うん、やっぱりATOK様についていこう、と思う。

 

お値段はそれなりだが、一太郎を買うと一緒についてくる。私の場合、まず試しに比較的安価なATOKを導入してみて、それが割と良かったので一太郎にアップグレードしたという経緯をたどっていたりする。

 

……うん、だから、やっぱり、ATOK様はすごいんだと思う。上手く言えないけど。