types_of_charactersというわけで、今回はキャラクターの話だ。


 

本題の前に~色々あるキャラクター論~

実際のところ、キャラクター論というのは色々な人が色々なことを言っていてけっこうややこしい。

 

ある人は「キャラクターは記号(の集合体)だ!」と言えば、誰かがそれに「キャラクター(なんなら「登場人物」と言ってもいい)は単なる記号ではない、もっと複雑なものだ!」と反論する。

 

またある人が「キャラクターは読者の好みに合うよう作者が頭の中で作り出すものだ」と言えば「いやいや、実在の人物をモデルにした方がリアリティが生まれて良い」と言い、中には「キャラクターは言ってみれば映画の俳優のようなもので、作るのではなく連れてくるものだ」なんて言う人もいる。

 

まあ、キャラクター論の基本としては、上に挙げた、

 

キャラクターは記号なのか・記号ではないのか

キャラクターは創るものなのか・実在の人物をモデルにすべきなのか

 

という、二つの対立軸がある、ということを頭に入れておけば、そんなに道を大きく踏み外すことはないんじゃないかと思う。

ちなみに、私個人の意見としては、

 

・キャラクター(登場人物)は記号などではない。というより、記号だけで作られたキャラクターには魅力がない

・キャラクターは想像の中で創るものなのか、実在の人物をモデルにすべきなのかといった方法論は二次的な問題であり、最終的に魅力的なキャラクター(あるいは、物語に合ったキャラクター)を作ることさえできれば、方法はどちらでもいい

 

といった感じである。

 

その上で、今回は「キャラクターには大きく分けて三類型ある」という私の主張を元に、キャラクターを書く上で気をつけた方がいいところを語っていければと思う。

 

私が思う「キャラクターの三類型」とは以下の三つだ。

 

・ロボット型 … 記号(パーツ)の組み合わせで作られた簡易的なキャラクター。内面が深く掘り下げられることはなく、予想外の行動も行わないため、基本的に主要登場人物にはならない

 

・人間型 … 内面の深い掘り下げを伴うキャラクター。「強さ」を持たないことがあるが、必ず「弱さ」を持っている

 

・超人型 … 人間型と違い、掘り下げられるべき「弱さ」を持たないキャラクター。逆に「強さ」は強調(誇張)される。ロボット型との違いは、予想外の(とされる)行動をとること

 

以下に、項目を分けて詳しく見ていこう。

 

キャラクターの類型その1 … ロボット型

ロボット型と言っても、人間の言うことに従順に従う「ロボットのような性格をしたキャラクター」ということではない。

 

ここで言う「ロボット」とは「既にあるパーツを組み合わせて作るキャラクター」という程度の意味合いである。

 

換言すれば「キャラクターは記号だ」という主張の元に作られるキャラクターがこの「ロボット型」である、となる。

 

年齢、性別、職業、おおまかな性格、外見上の特徴などの「パーツ」を組み合わせれば、その人がどんなことを話し、どんな行動をとるかはおおよそ予想がつくし、予想がつくなら書くこともできる。ロボット型のキャラクターとは、そんな存在である。

 

ロボット型のキャラクターは、その性質上、主要登場人物になることは滅多にない。理由は二つあって、一つはロボット型は予想外の行動をとらないため。もう一つは「掘り下げるべき内面」を持たないからだ。

 

よく「レッテル張り」という言葉がある。人は他人にすぐレッテルを張りたがるが、実際の人間は多面的な存在であり、レッテル通りの人間などまず実在はしない、という話だ。

 

が、パーツの組み合わせ以上のものではないロボット型のキャラクターは「張られたレッテルから逸脱しない」「張られたレッテル通りに行動する」存在と言える。そんなキャラクターが主人公では、話はあまり面白くならないだろう。

 

では、主要登場人物になり得ないとするなら、ロボット型のキャラクターは(あるいは「ロボット型」という分類は)、どんな場面で役に立つのだろう。

 

ロボット型の利点の一つは「すぐに作れる」ことである。

 

小説を書き進めていると、ふとした拍子に「ここでこういう人に出てきて欲しい」となることがある。学園ものを書いている時にふと現れる学校教師とか、職業ものを書いている時にふと現れる別の部署の人間とか、あるいはお店の店員さんとかである。

 

だが、そうしたいわば「チョイ役」にあたる人物に対し、主要人物と同じぐらいの熱量を込めて細かいプロフィールを設定するのは、はっきり言って効率的でない。少なくとも、私はやらない。

 

そんな時、私は今までの実体験や、読んだことのある小説などから、適当なパーツを拾ってきて組み合わせ、素早くロボット型のキャラクターを組み立てる。

 

かといって、やっつけ仕事でいいというわけではない。ありふれたパーツでも、組み合わせと表現次第では、なかなか面白いキャラクターが作れる。

 

たとえば「仕事は優秀だが、行き過ぎた実力主義のせいで繰り返し問題を起こす社長と、彼に手を焼く常識人の秘書」とか「ブラックジョークが持ち味の中年教師」とか「主人公達の非常識な振る舞いに顔をしかめ、時に怒る、ちょっとお節介な店員さん」とかいった具合だ。

 

と、このように「手間をかけずにそこそこ魅力的な脇役を作れる」のが、ロボット型の良いところだ。

 

逆にロボット型の欠点は、そのキャラクターが単なる記号の集まりでしかないために、表面的な格好良さや面白さは形作れても、読者の強い共感や憧れを呼び起こすような「強さ」や「弱さ」を持ち得ないことである。

 

また、ロボット型のキャラクターは定められた記号から逸脱しないがために、読者に驚きを与えるような予想外の行動もとれない。

 

まとめると、記号の集まりに寄って作ることができるロボット型は、脇役としては適しているが、読者を感情移入させるだけの深みを持たないために、作品世界に読者を導くための媒介としての役割が求められる、主要登場人物にはなり得ない、ということだ。

 

ただし、当初はロボット型として登場したキャラクターが、話が長くなるにつれて(巻数を重ねるにつれて)徐々に内面の描写を伴うようになり、主要登場人物に昇格するという例はよく見られる。

 

また、見方によっては、物語が開幕した時点では、全てのキャラクターがロボット型であるとも言える。ロボット型から出発して、物語の中で内面が描かれるにつれ人間型に、超人的な活躍が描かれるにつれ超人型に、それぞれ変化していく、という見方もできるだろう。

 

というわけで、後述する二つの類型にも言えることだが、ここに書くキャラクター類型は、固定的なものだとは思わないでいただきたい。物語の展開次第で、あるキャラクターが当初とは違った別の類型に推移することは、珍しいことではない。