A国とB国は隣り合う国だったが、昔、いろいろあったせいで今はあまり仲が良くない。
A国は自国の文化や歴史に誇りが高いが、一般に、B国はそれ以上で、A国の文化は全てB国のパクリだと主張する、と少なくともA国では考えられている。
ある時、A国とB国は戦争をしていたのだが……
~A国の場合~
休憩中の兵士たちは、何気なくB国のドラマを見ていた。
そこへ、噂を聞いた憲兵が抜き打ち検査にやってくる。
憲兵 「くぉらああ! 何をやっとるか!」
A国兵 「げっ! 憲兵だ」
憲兵 「貴様ら……さては敵であるB国のドラマを見ていたな……逮捕する!」
A国兵 「ひえええ……」
こうして、B国の文化に触れたA国兵は逮捕されていった。
~一方、B国の場合~
休憩中の兵士たちは、何気なくA国のミュージックビデオを見ていた。
そこへ、噂を聞いた憲兵が抜き打ち検査にやってくる。
憲兵 「くぉらああ! 何をやっとるか!」
B国兵 「おや、誰かと思えば、憲兵どのではありませんか」
憲兵 「貴様ら……さては敵であるA国のミュージックビデオを見ていたな……逮捕する!」
B国兵 「ご冗談を。これは我らがB国のミュージックビデオですよ」
憲兵 「なに……?」
B国兵 「そもそもA国の音楽というのはもともとB国のパクリです。ですから、これもB国の音楽なのです」
憲兵 「しかし、これはA国語ではないか」
B国兵 「そもそも、A国語自体が、B国語のパクリなのです」
憲兵はしばらく考えていたが、やがてこう言った。
憲兵 「なるほど! それなら、俺も一緒に見ることにしよう」
こうして、A国の文化に触れたB国兵は、逮捕されずにすんだのだそうな。
めでたしめでたし。