ted2_pamphlet幼い少年に与えられたテディベアが、奇跡によって本物の命を得た……のはいいけれど、約30年後、純粋無垢だった少年とテディベアもすっかりおっさんに。そんな一人と一匹(中身は両方ともおっさん)が繰り広げるドタバタコメディ……という触れ込みで登場した前作「テッド(Ted)」。

 

命を持ったテディベアが出てくるということから子供向けの映画かと思う一見さんの予想を、一刀両断の下に完全に裏切る形で、大麻あり、乱痴気騒ぎあり、排泄物ありという素晴らしい反教育的な内容で物議を醸した前作は、私も拝見しました。

 

でも前作にはそれでも何か物足りない感じがしていたので、続編の今作には、実はあんまり期待していなかったんですよ、私は。気楽に見れる映画が何かないかなという軽い気持ちで見に行ったんですね。別に「テッド2(Ted 2)」じゃなくても良かったんです。

 

ところが、予想はまたしても裏切られました。実際に映画館で見た「テッド2」は、前作を大幅にパワーアップさせ、より低モラルで、よりはっちゃけた内容で、ものすごく楽しめました。思わずパンフレット買っちゃうぐらいには。

 

というわけで、今回はそんな「テッド2」の紹介です。ネタバレを含みますので未見の方はご注意。

 

 

序盤の展開はこんな感じ

映画の冒頭は、テッドと、前作にも顔を出していた彼の恋人タミ=リンの結婚式で幕を開けます。

 

冒頭すぐに出てきたのが、テッドが従える多数のダンサーによるミュージカルシーン。なんというか、アメリカの映画という感じでしたね。

 

しかし、ここで観客は(少なくとも予習せずに見に行った私は)驚愕の事実を知らされます。なんと、前作のラストでジョンと結ばれたはずだった恋人ロリーは、ジョンと離婚してしまったというのです。

 

「前作はロリーとの結婚にまつわるドタバタがメインテーマだったはずなのに、そんなんありか」と私は唖然……まあでも、アメリカの映画の続編だとありますよね。出演者が何らかの理由で続投NGって話。パンフレットにも微妙にそれを匂わせる記述がありますし。

 

まあ、あれですかね、ロリー役の役者さんは前作で排泄物を拾わされたりしてましたから、そういう扱いがやっぱまずかったんですかね……?

 

なんて私が悶々としている間にもストーリーは進んでいきます。どうやらテッドは子供が欲しくなったらしく、まずはジョンと協力して精子のドナーを探すことにした模様。

 

そこで二人が「どうせなら屈強な精子が欲しい。よし、フットボールの有名選手にしよう。夜中に屋敷に忍び込んで入手するんだ……手コキで」などと言い出して私はまず一笑い。もう既に冒頭の時点で前作からの大幅なパワーアップが伺えます。

 

で、その後すったもんだの末「テッドは法律的に人間なのか」とかいう話になってきます。

 

そこで登場するのが、若手女弁護士のサマンサという人物。この人が今回のヒロインです。

 

でね、このサマンサなんですが、もう最高なんです。美人で、弁護士だから頭も良くて、しかも大麻常用者なんですよ! もう最高ですよね!(報われない同意を求める)

 

……いまこの部分をカフェで書いていたら、警官が窓の外を横切ってドキッとしたのですが、続けましょう。サマンサは大麻常用者。これチャームポイント。最高です。

 

*私以上にドキッとしてしまった方への解説

大麻(マリファナ)は麻薬ではありますが、日本と違って一部の国の一部の人たちの間では「大麻は麻薬の中でも害が少ないもの」と認知されています(大麻よりタバコの方が有害だという主張もあったりします)。中には大麻を合法化してしまう国もあるほどです。とはいえ、大麻の使用が何の問題もなく受け入れられているかというと決してそうではなく、むしろ白い目で見られることが多いわけで、そういう意味で「大麻を常用する弁護士」というキャラクターは爆笑ものなわけです……人によっては怒るかもしれませんが。

*解説終わり

 

サマンサと初めて引き合わされたジョンとテッドも、最初は(彼女があまりにも若すぎるために)怪訝な顔をしていたのに、サマンサが机の下から何気なく大麻の吸引器を取り出し、火をつけて吸い始めた途端「おお、お前わかってるじゃん!」的な笑顔になって「ぜひあなたに弁護をお願いしたい」とか言い出すのも、本当に最高です。

 

サマンサはその後も良いところを見せてくれます。裁判の準備のために訪れた図書館の隅っこでこっそり大麻を吸う一方、勉強そのものはしっかりしていて、法廷では如才なくかっこいいところをしっかりと見せてくれたりします。

 

そして、徐々にサマンサとジョンの距離は縮まっていきます。前作のヒロインだったロリーが真面目で品行方正な女性だったため、ジョンもそれに合わせなければならなかったのに対して、サマンサは気取らない開けっぴろげなイメージで、ジョンはとても気楽に彼女と付き合うことができたのです。

 

しかし、肝心の裁判の結果は敗訴。意気消沈するテッドたちですが、最後に一縷の希望を求めて……と、続きはさすがに、映画館で、ということにしておきましょうか。

 

主人公の離婚は「怪我の功名」

冒頭、私は前作で結ばれたヒロインと主人公が離婚したという話を聞いて「いくら離婚が多いアメリカでも、そんなんありか」と唖然としたという話を書きましたが、このサマンサという強烈な個性を持ったヒロインの登場を考えれば、いやはや、主人公のこの離婚も「怪我の功名」と言えると思いますね。それぐらい、私はサマンサが好きになりました。

 

後半ではギター片手の歌唱シーンなんかもあったりして、いやあ、本当に素晴らしいヒロインだと思います。率直に言って惚れました。

 

サマンサ役の女優さん、アマンダ・セイフライドさんと言う方らしいんですが、この映画におけるはっちゃけたキャラクターのノリノリな演じぶりを見て、私の中で要注目女優になりましたね。いや、確かに以前「レ・ミゼラブル」なんかで拝見していたので「どっかで見たことのある顔だな」とは思っていたんですが。

 

というわけで、これからこの映画を見る方は女弁護士のサマンサに要注目です。

 

映画全体の総評

テッド2の特徴としては、全体的にギャグがパワーアップしていることが挙げられます。前作の低モラルぶりに輪をかけた、最低のモラルでドタバタが繰り広げられるわけなのですが、それを可能にしたのがサマンサというはっちゃけたキャラクターの導入だったのだと思います。

 

テッド2を見た今だからわかることなのですが、思えば前作はヒロインのロリーのキャラに引きずられて、弾け振りに抑制がかかっていたんじゃないかと感じられるんですよね。

 

なので、前作に対し、ドタバタを繰り広げつつもどこか突き抜けたところがなく、物足りないというイメージを抱いた私でも、今作は十分に楽しむことができました。

 

さて、ここまで「大麻!」だの「最低のモラル!」だの連呼してきたことからわかる通り、この映画は「そういうネタ」がわかる人じゃないと楽しめません。

 

中には「アメリカの映画ネタ」や「アメリカのセレブネタ」とか「時事ネタ」まであるので、わからない人には本当にわからないかもしれません。私も、時事ネタはともかく、アメリカの映画ネタやセレブネタはちょっと分からないのが多かったです。「ロードオブザリングのゴラム」と言われて私はわかりましたが、パッとわかる人は意外と少ないんじゃないかと。「ロビン・ウィリアムズ」とか、私でもパンフレットを読んで初めて「ああ、なるほど」となるネタも多かったです。

 

この手のある種の「ローカルネタ」は、わかれば最高に面白いのですが、わからない人には「スルー力」が試されていると言えるかもしれません(あ、ちなみに「分からないけど分かりたい!」という方には、私と同じようにパンフレットを買うことがおすすめです。パンフレットにはギャグの元ネタが一通り網羅されています)。

 

まあ、こういった内輪ネタや不謹慎ジョークをどこまで許せるかって難しい問題だと思うんですが。私も人種ネタに対しては黄色人種として怒った方がいいのかなと思ったり。まあ映画を見ている間はクスクス笑ってた程度のネタだからたぶんいいんだと思うんですが。

 

とはいえまあ、最低限のモラルは守っている……と思います(微妙に自信がないけど)。からかった相手が視覚障害者だと判明して、サマンサが「ヤバイ。私たちサイテーじゃない……」って言ったりね(そんな青い顔になったサマンサの姿すらも微妙に笑いを誘うんですが)。

 

いずれにせよ、こんな最低のモラルの映画は、他にちょっと見当たりません。特に、B級映画ではなく、多額の予算をかけた大作に限れば、もうほとんど唯一といっていい低モラル映画なんじゃないでしょうか。テッド2というのは。

 

挑戦的だった中盤までと比べて、終わり方は大作映画らしくマイルドですが、これはむしろ気楽に楽しむ映画としては美点だと思います。

 

ですから、きっとこんな映画を求める人もいるでしょう。私みたいに。そういう人にとっては、最高の映画だと思います。

 

まあ、中には見終わった後に(あるいは見ている途中に)怒り出す人もいるかもしれませんが……ええっと、とりあえず、私のことは恨まないでください。みんなちがって、みんないいのであります。

 

*追伸*

あ、ちなみに前作では、編集によって子供には見せられない部分を削除することによって子供にも見せられるようにした「大人になるまで待てないバージョン」というのが出ましたが……今作ではたぶん出ないんじゃないかと思います。

 

特に大麻を扱うシーンが前作より大幅に増えている他、先述した通り性的なネタもモロに含まれているので、もはや編集でどうにかなるレベルを超えています。

 

それでも出したら「逆にスゴイ」と思いますが……いえ、やっぱりたぶんないでしょう。

 

でもね、大人である私にとっては、「大人になるまで待てないバージョンを出せなくなってしまった」こと自体が、テッド2が前作よりパワーアップしていることの証だと、そう思えるのであります。