日本では今年、一世を風靡した感のある「アナと雪の女王」。先行して公開された海外でも大人気だそうで、まさに世界中を席巻したと言っていいでしょうね(画像はアフィリエイト)。

 

今回は(当ブログはほとんどいつもそうですが)、いい感じに時期を逸した真夏の今になって、映画を見た私の感想を書きたいと思います。

 

ヒットするのは分かる

映画を見終わった私の感想は「自分の好みではないけど、良い映画だし、ヒットするのも分かるかな」といった感じでした。

 

ストーリーに関しては、ディズニー伝統の分かりやすさに加えて、姉妹二人のダブル主人公という新機軸を導入し、新鮮さと安心感を両立させていて好印象です。

 

また、絵の方は、最初は癖があって(丸顔プラス大きすぎる目が)気になりますが、でも慣れてくると、これぐらい絵に癖があった方が、全体としては表現の幅が広がった……ような気がします。いずれにせよ、そう悪い印象は持ちませんでした。

 

また、私が映画全体の好みうんぬんを抜きにして大好きになったのは、山で暮らすワイルドな青年「クリストフ」のキャラクターですね。いやあ、ああいうキャラは私は大好きですw

 

王族と縁のないような身分の低いキャラクターなのですが、心が広くて器が大きい男でして、熱意もあって男らしい。相手が王族だからといってへこへこしたりしないし。一方で、健気で純情な一面もある。いやあ、いいですねえ、実にいいですw 人間よりも動物が好きというのも、地味に私の共感を誘ったりw

 

好みではないかな

というわけで「ヒットするのもうなずけるなあ」というのが、映画を見終わった第一の感想でした。

 

ですが一方で「でも、ちょっと好みじゃないかな」と感じたのも事実です。

というわけで、私が映画の好き嫌いを判断するのは脚本によるので、ここからは脚本の話になります。ネタバレ御免であります。

 

映画の話の主軸は、魔法を持って生まれてしまった姉「エルサ」にあります。エルサは魔法の力を、妹の「アナ」にすら隠し通して生きています。魔法を隠すために、彼女は半ば引きこもりのような生活をしていました。

 

しかし、両親(国王夫妻)が死んだことにより、エルサは成人と同時に戴冠して女王になることになってしまいます。戴冠式の日、二人は初めて大勢の人の前に出ますが、エルサが恐れていた通り、魔法の力が暴走してしまい、多くの人に魔法の存在がバレてしまいます。

 

それを苦にしたエルサは街から逃げ出し、開き直って「あるがままの自分で生きる」ことを決意し、山奥に氷の城を作って引きこもってしまいます。それなら誰にも迷惑がかからないだろう、と(有名な歌曲「Let it go(あるがままに)」はここで流れます)。

 

しかし実際には、エルサの魔法の力は街にまで及び、街は夏なのにも関わらず氷に閉ざされてしまいます。これを何とかするため、エルサの妹アナは、エルサを説得しようと山奥の氷の城へと向かいます……

 

で、紆余曲折あって、エルサは妹の愛に触れる事により魔法を制御できるようになり、めでたしめでたしとなるわけです。

 

もう少し厳しい方が好み

乱暴に言ってしまえば、この映画のテーマは「引きこもりからの脱出」というわけです。

 

映画全体の流れをまとめると、以下のようになります。

 

1:魔法という、人には言えない秘密を抱えたエルサ、引きこもる

2:エルサ、開き直って「あるがままの自分で生きる」ことを決意。そのために、氷の城を作る(でもやっぱり引きこもる)

3:でもそれだと、外の社会と上手くやっていけない(街が氷に閉ざされてしまう)ので、アナは説得に向かう

4:アナの愛に心を打たれたエルサは、自分の魔法をコントロールしつつ、みんなと一緒に暮らす道を見つける

 

この4段階のステップを、私は次のように考えました。

 

1:個人の抑圧 … 魔法という個性を、秘密にするエルサ

2:個人の解放 … 自分の個性を公にして、それを強く打ち出して生きる事を決めたエルサ(しかしそのために、山奥に引きこもることを余儀なくされる)

3:個人と社会の衝突 … 個性を強く打ち出し過ぎたエルサは、悪気はなかったが、街を氷に閉ざしてしまう。街のみんなは、すごく困る

4:個人と社会の調和 … アナの愛に心を打たれ、頑な自分を変えることができたエルサは、魔法という個性を持った自分と、周りの社会とが上手くやっていけるような、ちょうどいい落としどころを見つける

 

こう考えると、普遍的なテーマを実にエレガントに描いており、よく考えられた脚本である事がわかります。これを見ていても、ヒットする理由が分かるというものですね……

 

ですが、やっぱり、私の好みではないんですね。

 

その理由はずばり「3:個人と社会の衝突」の扱いが、生ぬるいことです。

 

個人と社会の衝突は、時としてーー私に言わせれば、ほとんどの場合ーー非常に激しいものになり得ます。

 

ですが「アナと雪の女王」における「個人と社会の衝突」は「社会の側にはいつでも受け入れる用意があった(一部の極悪キャラクターを除く)のに、個人(エルサ)の方が、それを拒んだ」「エルサが社会を受け入れる意志を示した時、社会(街の人々)は何のためらいもなくそれを受け入れた」となっているのですね。

 

で、私の好みはーー別にそれを他人に押し付けるつもりはないのですがーー社会が個人を受け入れることを冷たく突っぱねるような、そういう深刻な話なんですね。

 

しかし、この映画では「個人が努力すれば、社会にはいつでもそれを受け入れる用意がある」かのような、悪い意味での「アメリカ人的楽観主義・無邪気さ」が垣間見えるような気がするんですね。これがちょっと掘り下げ不足かなあと、私には思えたわけです。

 

まあ、その……子供向け映画にそんなもの求めるなよ、と言われれば、まったくその通りなわけですがw

 

まとめ…家族連れにはおすすめだけど、大人には物足りないかも?

まあ、まとめるとそういうことになるでしょうか。

 

この映画を手放しで褒めることは、私にはできません。が、色々な映画があっても、別にいいですよね。

 


 
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