640px-Palace_Bristolかつて栄華を誇った架空のホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」。今では見る影もなく落ちぶれてしまったこのホテルにも、かつては全盛期がありました。

 

その全盛期を支えたコンシェルジュ「グスタヴ・H」氏と、その部下の移民少年「ゼロ・ムスタファ」を主人公に、笑いあり、サスペンスあり、ロマンスあり、師弟愛ありと、様々な要素を練り上げた、知られざる傑作映画です。

 

 

変わり者のコンシェルジュに、降って沸いたチャンスと降りかかったピンチ

予告編でも分かる範囲で(つまりできるだけネタバレを避けて)映画のあらすじを説明しましょう。

 

映画の冒頭は、少年ゼロが新人ロビーボーイとしてスタートを切るところから始まります。

 

ここでは、上司であるコンシェルジュのグスタヴ氏の仕事ぶりも描かれます。グスタヴ氏はちょっとした変わり者で、コンシェルジュとしては抜群に有能なのですが、ホテルにやってくる超高齢(84歳とか)の奥様の夜のお相手をしたり、聖職者でもないはずなのに、食事の前には従業員たちに説話を話したり。あと、ものすごく口が悪いですね。

 

でも、基本的にいい人なんです。少年ゼロも、そんなグスタヴ氏をすぐに慕うようになります。師匠であり、父親も同然である、と。

 

そんなある日、常連のマダム(84歳。大金持ち)が亡くなったという話を聞き、グスタヴ氏はお悔やみを言いにでかけ、ゼロも従者としてついていきます(遺産の分け前が目当てであることをほのめかしつつ……)。

 

ところが、マダムが遺言でグスタヴ氏に超高価な絵画を遺したことが分かって、強欲なマダムの息子が大激怒。グスタヴ氏を始末しようと、刺客まで差し向けてきて……というのが、冒頭のあらすじです。

 

で、そんな予告編がこちら。


 

分かりやすいプロットと、小気味よい演出が光る良作

356px-Hirschensprung予告編を見ると「ハートウォーミングなコメディかなあ」という気がする(少なくとも私にはそんな気がした)本作。実際見てみると予告編より雰囲気はシリアスでしたが「でも面白かったから許す!」と言えちゃいそうな、そんな良作でした。

 

具体的にどこが良いかというと、まず分かりやすいプロットが地味に大事。近年は脚本で観客を惹きつけようと思ったのか、やたら複雑なストーリーを展開する映画がしばしばあります。が、複雑ならいいというものでもありませんよね。

 

その点「グランド・ブダペスト・ホテル」は、古典的で分かりやすいプロットを用いつつも、特徴的なキャラクターと彼らが繰り出す印象的な台詞の力も借りて、古くささを感じさせないという、これぞ映画の王道と言えるような見せ方をしてきます。この点が第一に好印象。笑い、サスペンス、ロマンス、師弟愛などの要素をこれでもかと詰め込んでいながら、ちっとも複雑さを感じさせないのも素直にすごいです。

 

さらに脚本を光らせるのに一役買っているのが、小気味よい演出です。分かりやすいところでは、望遠のカットで映像を加工しているのか、景色がミニチュアのように見えたり、紙芝居のように見えたりするあたりでしょうか。観客をおとぎ話に誘い込んでいるような、不思議な映像でした。

 

ネタバレ警報

この節ではちょっとネタバレを。嫌な方は読み飛ばしてくださいな。

 

本作の結末はもちろんハッピーエンド……と言いたいところなのですが、最後の最後で、観客を現実に引き戻すような、ショッキングな出来事が語られます。

 

しかし一方で、主人公のグスタヴ・H氏が果たしてきた「小さなおとぎ話」を守る役目を、映画の観客は引き継いだのだ……そうとも受け取れる結末でして、私は大変に感動しました。

 

話が脱線しますが、日本では現実とフィクションの距離が遠いとされるせいか、こういうバッドエンドの結末を見ても「ああ、現実はこんなもんだよね」で終わってしまう人が多いような気がします。対して、欧米では現実とフィクションの距離が近いのか(それはそれで悪い点もありますが)、観客はフィクションの主人公と同じような生き方を期待されているような……そんな気がします。

 

まとめ:小粒だけど良い映画ですよ

本作には、莫大な予算をかけて作られた大作映画のようなスペクタクルはなく、小粒で、小さな映画です。でも、これはこれで、とても愛おしく感じられます。

 

自信を持っておすすめできる映画です。

 

さあ、あなたもグスタヴ・H氏のおもてなしの下、ちょっとした冒険にでかけましょう!

 

……というわけで、映画の公式サイトURLを張っておきます。

 

「グランド・ブダペスト・ホテル」公式サイト

http://www.foxmovies.jp/gbh/

 


 
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