編隊飛行するF-15こんにちは。小説を書く気分じゃないので先にこっちを書いてしまうという、自分でも突っ込みたくなるような今日この頃であります。

さて、本格的な空戦解説に入っていく前に、まずは全三回ほどに分けて、基本的な空戦の流れについてさらっと書いておきたいと思います。全三回ぐらいになるかと思います。

 


今回は空戦の流れ全体を俯瞰して把握し、次回からは流れを段階別に分けて細かく見てみようと思います。

さて、空戦は大きく分けて4~5の段階に分かれます。

 

1:発見
2:接近
3:視界外攻撃
4:視界内戦闘
5:離脱

の5つです。1、2、5については衆目の一致するところなのですが、3と4は「3:攻撃 4:運動」などと手元の本には書かれていたりします。が、ここはいつも通り初心者向けという免罪符を使って、今回はこの5つと考えて行きたいと思います。

 

また、空戦の様相はミサイル以前とミサイル以後で大きく変わりますので、その点に注意しつつ進めていきたいと思います。もちろん、現実には両者の移行はゆっくりと段階的に起こったのであると共に、ミサイル以前の戦術が全く通用しなくなったわけでもなく、一般的にミサイル以後の戦争とされるベトナム戦争でも、ミサイル以前の戦術が登場する場面が多々あったりします。ですが、ここでは一般論で考えましょう。

 

1:発見

空中戦の最初の段階は相手を発見することです。発見は早ければ早いほど有利であり、また相手から自分が発見されることはできる限り遅らせるのが望ましくなります。

 

戦闘機搭載レーダーの一例発見には目視(肉眼)によるものとレーダーによるものがあります。広い意味では相手が放射する電波を逆探知することも発見に含めていいかもしれません。また、最近では赤外線探知装置(IRST)というものがあったりします。

*画像は戦闘機に搭載されるレーダーの一例


 


何事も始めが肝心とはよく言いますが、空戦において敵を発見することはとても重要です。空対空戦闘における撃墜のほとんどは、攻撃を受けていることを察知した時には既に手遅れという状況、つまりは不意打ちによって得られていると言われます。

次回改めて詳しく解説しますが、敵を少しでも早く発見すること、あるいは敵に発見されるのを少しでも遅らせることは空戦において極めて重要です。

 

アメリカ海軍の戦闘機乗りがとある有名な戦闘機映画のオーディオコメンタリーでこんなことを言っています。「映画みたいなドッグファイト(接近戦)は、実を言うとあまり賢くないな」「うむ。見られたらやばいんだ。第二次大戦のドイツ軍のトップエースは、自分を見ていない敵だけを狙った。見られたと思ったらさっさと引き上げたんだ」という具合です。


また、飛んでいる機影を発見したら、敵味方の識別も行わなければなりません。

 

2:接近

味方だとはっきり識別できた場合はいいのですが、そうでない場合は何らかの決断を下す必要があります。敵と判断した場合は、敵機の数、運動状態、機種、彼我の武装、得られる支援、自分の任務などなど、持ち合わせている各種情報から、交戦するのか、しないのかを判断します。交戦すると判断した場合、気づかれないように、できるだけ有利な位置に移動します。


さらっと言ってみましたが、実はかなり難しいことが含まれています。まず、いつもいつも、発見した段階ではっきり敵だと認定できるわけではありません。詳しくは次回に持ち越しますが、AWACSなどの支援部隊からの情報があれば別として、戦闘機単独での敵味方識別能力は必ずしも高くなく、敵だと仮定して攻撃機動に入る最中も「ひょっとして味方じゃないか」と常に考えていなければなりません。また、敵機の数や機種などの見積もりも、必ずしも的中するわけではありません。ベストなのは、AWACSなどの後方支援が万全な環境で作戦することです。

 

3:視界外戦闘

敵機を有効射程内に捉え、攻撃することを決断したなら、まずは最も射程の長いミサイルで攻撃します。戦略防空のための超長射程ミサイルもありますが、そういう物騒な物は古典的な全面戦争でしか使われないでしょう(理由の一つは、そんな遠距離からでは敵味方の識別が困難だからです)。こういう時、現代の戦闘機は普通、アクティブレーダー誘導式の中射程ミサイルを使います。アクティブレーダー誘導なので、終末誘導は母機が指令する必要はありませんが、ミサイルが十分標的に近づくまでは母機の指令誘導が必要です。


ミサイルを発射するMiG-29また、この時点でも敵機に気づかれず、不意打ちができればそれに越したことはありませんが、現代ではそういうことはなかなかないと思うので、普通であれば敵機からの反撃を警戒します。

*画像はロシア軍の戦闘機がミサイルを発射する様子……なのですが、なぜか「合衆国政府の資料につき、パブリックドメインです」と書かれていました。なぜ?

 

 

4:視界内戦闘

戦闘機は前にしか進めない上に急には振り返ることができないので、前への攻撃は得意な一方、後ろからの攻撃に弱いです。よって、お互いの機影を肉眼で捉えられる距離に入ると、相手の後ろを取ろうとして激しい旋回戦になります。この様子が犬の喧嘩に似ている(らしい)ことから、この戦闘機同士の近接戦のことを特に「ドッグファイト」と言います。


空戦でもっとも華々しい部分ですが、先にも述べたように、最高の空戦戦術は不意打ちであり、ドッグファイトはやむを得ない場合に行う最後の手段と心得るべきでしょう。とはいえ、ドッグファイトに入りそうになったら逃げろというわけでありません。

しかし、ドッグファイトに入ってしまったら、それ以前の段階で何かを間違えている、でなければ、敵が手強いと考えてもおかしくはないでしょう。

 

5:離脱

以上までの段階で敵機を全機撃墜できれば理想的ですが、それは高望みというものです。

戦闘機の燃料は限られているので、戦闘が長引けばどのみち離脱しなくてはなりませんし、敵が手強い場合も、無理をして返り討ちに遭うよりは逃げて無事帰投した方がずっと望ましいでしょう。

 

離脱のタイミングは与えられている任務の内容にもよりますが、燃料が残っていないなら選択の余地はありません。ただし、劣勢の状態なら機動によって少なくとも中立の状態に復帰してから離脱するべきでしょう。いずれにせよ、タイミングが全てを決します。

 

今回は約束を守れそうな次回予告

空戦の全体的な流れは、ざっとこんなところです。

次回は1:発見と2:接近を詳細に見ていきたいと思います。


それでは。

See You Next FLIGHT!