Flag_of_Europe前回までの企画に引き続いて、各国の主力戦闘機を大雑把に紹介していきます。今回はヨーロッパの主力戦闘機です。

 

ヨーロッパは米ソと比べると金がなく力もないので、どことなく肩身の狭い思いをしている感があり、主力戦闘機の開発にも一部でそういった面が出てきて、対照的で面白かったりします。

 

 

ユーロファイター タイフーン

640px-RAF_Eurofighter_EF-2000_Typhoon_F2_Lofting-2ユーロファイターはイギリス、ドイツ、イタリア、スペインの四カ国によって共同開発された戦闘機です。

 

技術力も資金力も米ソと比べると一枚劣るヨーロッパの各国が「でも戦闘機の性能は同等か、少なくとも対抗可能なものが欲しい」と願うと、身を寄せ合って開発しようという成り行きになるのは、まあ自然と言っていいでしょう。

ただし、フランスだけはこの計画に一時期参加した後に脱退しているのですが、その件は後述します。

 

そんなユーロファイターですが、四カ国の共同開発ということで、各国の足並みを揃えるのに時間がかかりました。一部の国は純粋な制空戦闘機を求め、他の国は空対空戦闘だけでなく空対地攻撃もできるマルチロール(空対空戦闘にも空対地攻撃にも使える)機が欲しい、という具合に(結果的にマルチロール機の線で落ち着きます)。

 

そのせいで、計画が具体化したのは1980年代なのに、実機の実戦配備は2000年を過ぎてからと、計画開始から実戦配備まで非常に長い時間がかかっています。

 

ただ、それだけ長く時間をかけただけあって、機体の出来はまずまずというところ。後発の強みも生かして新しい技術を色々と詰め込んでいて、同世代機には勝るとも劣りません。

 

米軍のF-22のような圧倒的な強さはもちろんありませんが、ヨーロッパ各国が求めた水準は十分にクリアしていると言えるでしょう。

 

また、現在では、高価で高い技術を要する兵器を、各国でお金と技術を出し合って共同開発するという考え方は、世界のメインストリームになりつつあります。ユーロファイターが一定の成功を収めたことは、この流れを決定づける一助になっている……かもしれません。

 

ちなみに、本機の名称ですが、2000年からの運用が一時期予定されていたことからユーロファイター2000、略してEF2000と呼ばれる場合や、愛称の方の「タイフーン」と呼ばれる場合があります。ただし「タイフーン」は第二次世界大戦当時の英国軍機と同じ名称であるため、ドイツやイタリアではこの名は避けられています。

 

ラファール

Rafale_-_RIAT_2009_(3751416421)ラファールはフランスが開発したマルチロール機です。

 

先述したとおり、フランスは当初、ユーロファイターの前身となる共同開発計画への参加を予定していました。

しかし、フランスとしては、他の各国と比べるといくつかの点で利害がかみ合わない部分がありました。

 

まず、戦闘機への要求性能に差がありました。フランスは自国が保有する空母にも積める小型戦闘機を求めていたのに対し、その他の国は武装搭載量を重視してやや大型の戦闘機を求めていたのです。

 

640px-French_Mirage_2000_finishes_refueling_from_KC-10A_2009-12-06_mod1他に、フランスには他国と比べて自国の航空産業の方が一段上であるという自負と、その航空産業を保護しなければならないという事情がありました。確かに、フランスはミラージュ・シリーズを中心に戦闘機を各国に輸出しているなど、実績もあったのです(画像はフランス製戦闘機「ミラージュ2000」)。

 

というわけで、フランスだけは共同開発計画から脱退し、独自の道を選びます。その結果完成した戦闘機が、このラファールです。

 

これで出来た戦闘機がユーロファイターに劣っていたらフランスとしては面目丸つぶれですが、どうやらそんなことはないようで、少なくともユーロファイターと同等の性能はあると見込まれています。

 

なお、ラファールという名称は、フランス語で「疾風」とか「突風」という意味です。

 

JAS-39 グリペン

JAS_Gripen_a_(cropped)もう一つ、ヨーロッパの戦闘機という枠組みで外せないのが、スウェーデンが開発したマルチロール機「グリペン」です。

 

スウェーデンは、特に冷戦中は割とはっきりした軍事的中立政策を採っていました。国土がソ連に近かったためです。ですが、中立をしっかりしたものにするためには、戦闘機を始めとする主力兵器を自国で開発することが望ましい。主力兵器を外国からの輸入に依存すると、どうしてもその外国の言いなりになりやすくなってしまうからです。

 

だからといって、人口1000万人にも満たないスウェーデンが(素材技術をイギリスから、エンジンをアメリカから導入したとはいえ)ほぼ独力でこれだけの戦闘機を作り上げたことは、率直に言って驚きです。しかも、同世代のユーロファイターやラファールよりも、実戦配備は十年近く早いです(もちろん、その分電子機器などは一足早く更新の時期が来ていますが)。

 

グリペンの特徴としては、ユーロファイターやラファールと比べて小型であること。これはスウェーデンの限られた国防費のために安価である必要があったためなどです。また、有事の際に高速道路などの臨時滑走路から作戦することも要求されたので、短距離離着陸能力も高いものを持っています。

 

なお、名称ですがJASはスウェーデン語でそれぞれ戦闘、攻撃、偵察の意味。愛称のグリペンは「グリフォン」です。

 

ヨーロッパ各国戦闘機、共通の特徴

えーっと、もしかして気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の記事では、各機の具体的な特徴の記述は控えてきました。

 

なぜかというと、どの機も共通する特徴が多く、それぞれの違いもあるにはありますが、例によって「初心者向け」が旗印のこのシリーズで、大同小異の違いを解説する必要はないと考えたからです。

 

とはいえ「共通する特徴」についてはここで説明したいと思います。

 

ユーロファイター、ラファール、グリペンに共通する特徴としては、まずその主翼形状です。「デルタ翼」と呼ばれる三角形のような形をした主翼に、主翼より前の位置に「カナード」と呼ばれる水平尾翼の代わりをする小さな翼が取り付けられています。

 

これは第二の共通する特徴にもつながります。デルタ翼とカナードの組み合わせは、当時の技術で小型で安価、その割に高性能な戦闘機を実現する手っ取り早い方法でした。この「小型で安価、その割に高性能」の三拍子が、ヨーロッパ各国の戦闘機の特徴です。米ソと比べて予算の制約がある中で、自然とこうした形に集束したのでしょう。

 

最終回を予告する次回予告

さて、というわけで、ヨーロッパ編も無事に終了しました。

 

と、ここでいつもの次回予告なのですが……何と、二年間続いてきたこの連載、次回で最終回となります!

というわけで、次回はまとめ回です。詳しい話はまたその時に。

 

ではでは。

 

See You Next FLIGHT!!!