Russian_Air_Force_roundel各国の主力戦闘機を大雑把に紹介するそのまんまな企画、本日の三回目は「ロシア・中国」編です。

 

第一回、第二回と日米の主力戦闘機を追ってきましたが、ある意味今回の方が気になる人もいるんじゃないでしょうか(いないかな?

 

 

ソ連戦闘機の系譜 〜迎撃戦闘機と前線戦闘機〜

ロシア空軍の主力戦闘機は基本的にソ連時代から受け継いだものなので、参考のために、ソ連空軍について少し触れておこうと思います。

 

ソ連の主力戦闘機には、大きく分けて二つの系譜がありました。

 

一つは、ソ連の広大な国土をカバーし、核爆弾を積んで飛来してくる米軍の爆撃機を撃ち落とすための「迎撃戦闘機」。

もう一つは、今まさに戦闘が起こっている最前線に派遣され、米軍の戦闘機と空中戦を戦って勝つために作られた「前線戦闘機」です。

 

なぜこのように二通りに分かれているかというと、それぞれに求められる性能が違うからです。

 

広大な国土のどこから攻め入られても迎撃できるよう、迎撃戦闘機は高速で、航続距離も長くなければなりません。また、この頃の米軍は、迎撃できないほどの超高高度を飛んで写真を撮りに行くというコンセプトの偵察機も持っていましたから、迎撃戦闘機には高高度性能も要求されました。武装も、遠距離から爆撃機を一撃で撃破できるミサイルが用いられました。

一方で、当時、迎撃戦闘機は米軍の戦闘機と戦う機会はないと考えられたため、戦闘機と戦って勝つための敏捷性などは必要ありません。

迎撃戦闘機は主に「スホーイ設計局」と呼ばれる部署が設計を担当し、完成した戦闘機には「Su-9」のように「Su-」で始まる型番がつけられました。

 

ではもう一方の前線戦闘機に求められた性能はというと、何よりも米軍の戦闘機と戦って勝つための格闘性能が最重要とされました。前線戦闘機は前線にほど近い基地から運用されるものと想定されたので、格闘性能のためなら航続距離や最高速度は多少犠牲になってもいいとされました。

前線戦闘機は主に「ミグ設計局」が設計を担当し、完成した戦闘機には「MiG-」で始まる型番がつけられました。MIGではなくMiG(iが小文字)というのがポイントです。これは「MiG」というのが「ミコヤン」と「グレビッチ」という二人の人物名が元になっているためです。

 

なお、一部では「ソ連の戦闘機といえばミグ」とまるでミグという語がソ連戦闘機の代名詞のようにまかり通っています。これはおそらく、ミグが前線戦闘機であるため、前線に出て来て人々の耳目に触れる機会が多かったためではないかと思われます。

この他、ソ連の戦闘機ならではの特徴として、地上からの管制支援に頼る割合が、米軍機と比べて多い事なども、よく指摘されます。

 

Su-27

と、そんな風に二通りに分けられて来たソ連戦闘機ですが、冷戦末期頃になると少し事情が変化してきます。

 

米軍戦闘機の航続距離が向上し、本来爆撃機だけを相手にするはずだった迎撃戦闘機も、米軍戦闘機と戦わなければならなくなった、と考えられたのです。

 

Sukhoi_Su-27SKM_at_MAKS-2005_airshowそこで、従来からの迎撃戦闘機の特徴に加え、新たに米軍戦闘機との格闘戦にも勝利しうる格闘性能を与えられた戦闘機が設計されました。それがSu-27です(スホーイ27とかス27とか呼ばれます)。

 

こう書くと対爆撃機任務がメインで格闘戦はおまけみたいに思えてしまうかもしれませんが、そうはなっていないのがSu-27のすごいところです。実際のところ、格闘性能だけなら米軍の同世代機より上だろうと見られています。

 

 

そんなSu-27の高い機動性能を象徴するのが「コブラ」と呼ばれるアクロバット技です。これは、水平直進飛行を続けながら突発的に機首を九十度上げ(その間も水平直進飛行は続いています)すぐまた通常姿勢に戻る、というものです。

 

ちなみに、あまり使われませんが、公式な愛称は「ジュラーヴリク」と言います。ロシア語で「鶴」を可愛らしく言う表現だそうです。

 

これとは別にNATOから「フランカー」というコードネームをつけられています。日本では、こちらの方が有名かもしれません。

なお、中国はこのSu-27やその派生型を輸入またはライセンス生産して実戦配備しています。中国版の名称は「J-11」です。

 

MiG-29

640px-Soviet_MiG-29_over_Alaska_1989一方のMiG-29は、前線戦闘機の伝統に忠実な機体ですが、Su-27と比べて機体サイズが小さいため、武装搭載量、航続距離などの点で後塵を拝しています。

 

その分格闘性能では大きく上回るかというと、そういうわけでもないみたいです。

価格が安いのがSu-27と比べた時の明確な優位ですが、中途半端な感じは否めないらしく、Su-27との輸出競争では苦戦しています。

 

なお、アメリカ空軍では「質のF-15 」と「量のF-16」という組み合わせを採用していた事は前回記しました。そういう点で、ロシア空軍でも「質のSu-27」と「量のMiG-29」という図式が成り立つかもしれまん……が、それにしては、MiG-29は大きすぎるかなあ、という気がします。

 

なお、公式の愛称は「ラーストチュカ(燕)」。NATOコードは「ファルクラム」です。

 

J-10 (殲撃十型)

640px-J-10a_zhasJ-10は中国国産の小型戦闘機です。

 

中国では戦闘機のことを「殲撃機」と呼びます。この時、発音が「jianjiji」みたいな感じだそうで、英語では「J-」をつけて呼ばれます。

 

中国がSu-27をJ-11の名前で配備しているのは先にちらっと触れた通りですが、中国にとってもJ-11は高価で、数を揃えるのは難しい機体です。

 

そこで、米軍が「質のF-15」と「数のF-16」の二本立てだったことに習うことにしました。つまり、中国は「質のJ-11」と「数のJ-10」で行こう、と、そういうコンセプトで作られたのがJ-10です。

 

こう言っては何ですが、J-10は外見を見ると(ロシアからの技術導入があったとはいえ)中国の国産戦闘機とは思えないような、洗練された美しい形をしています。実戦に出た事はないため性能は未知数ですが、外観から判断する限りはF-16と同等の格闘性能を持っていてもおかしくない気がします。

 

西側戦闘機 VS 東側戦闘機 〜どっちが強い?〜

誰もが一度は考えた事のある(?)この問題。日米等の西側戦闘機と、中ロの東側戦闘機。戦ったら、どっちが勝つのでしょうか?

 

私は独自の分析を披露するほど詳しくはないのですが「接近した格闘戦になれば中ロの戦闘機の方が有利かもしれないが、遠距離からのミサイルの撃ち合いなら日米戦闘機が優位」というのが広く受け入れられている通説です。

 

現代の戦闘機の戦い方は、大きく分けて二つに分かれます。相手の戦闘機がパイロットの目に見えていない距離から、レーダーを頼りに長射程ミサイルを撃ち合う戦い。もう一つは、相手の戦闘機がパイロットの目に見えるほど近い距離にいる中での格闘戦です。

 

このうち、格闘戦は従来から東側戦闘機の方が分があると言われてきました。機動性能が高いためです。

一方、遠距離からミサイルを撃ち合うような戦いになると、機動性よりも、搭載されている電子機器の性能が物を言うことになります。電子機器の性能では西側の戦闘機の方が優れているため、このような遠距離での戦いでは、西側戦闘機が有利とされてきました。

 

総合すると、現代では先に遠距離戦が行われた後に格闘戦が起こるケースが多いと考えられているので、遠距離から先手を打って相手を撃ち落としてしまえばいい、西側戦闘機の方が有利、とされてきたのです。

 

付け加えると、格闘戦での東側戦闘機の優位も、それほど絶対的なものではありませんし、西側はパイロットの練度や空戦をサポートする早期警戒管制機などの質や量にも優れているとされますので、総合的にはやはり西側優位とされてきました。

 

ただ、90年代から00年代ぐらいまではこの通説が当たり前のように受け入れられてきたのですが、ここ最近は中ロ戦闘機の電子機器性能の向上が著しく、戦力差は微妙なものになってきています(例外は鬼のような強さを誇る米空軍のF-22ぐらいです)。

 

結局、本当のところは「実際に戦ってみないと分からない」のですが、まあ、そんなことが起こるように祈りたくはないですね(笑)。

 

中ロ戦闘機の将来

中ロ戦闘機の将来は、簡単です。「俺たちもF-22が欲しい!」これだけです。

 

といっても、まさか本当にアメリカからF-22を買うわけにはいかないので、中国もロシアもそれぞれ独自にステルス戦闘機の開発を進めています。

 

中国が開発中のステルス戦闘機は「J-20」と呼ばれています。2011年に初飛行したとされますが、その後、続報はあまりありません。とはいえ中国のことですので、報道を一切せずに黙々と開発を続けているものと見られます。

 

640px-Sukhoi_T-50_in_2011_(4)一方、ロシアでは「PAK FA」という名前のプロジェクトで、独自のステルス戦闘機の開発を進めています。こちらはJ-20と比べると画像などが公開される機会が多くあるようです。

 

書きたいことを書くだけの次回予告

いやあ、なんというかこう、今まで頭の中で考えていただけのことを、思いっきり書き出すと、スッキリしますね。

 

というわけで、次回は「ヨーロッパ編」行ってみたいと思います……分量が少し、不安ですが。

 

See You Next FLIGHT!!!