640px-KC-10_Extender_(2151957820)今回は(珍しく?)予告通り「空中給油」について書きたいと思います。

 

 

 

そもそも空中給油とは?

空中給油。一般の方には耳慣れない言葉だと思われますが、字を読めば意味は分かるかと思います。飛行機が、飛びながら燃料補給を受ける事ですね。

 

……と言っても、知らない方は、一体どういう絵なのかと首をかしげることでしょう。

 

というわけで動画を引っ張ってきました。動画の前半は「空中給油を受ける側から見た映像」後半は「空中給油する二機の様子を横から見た映像」です。

 

(残念ながらこの動画には「空中給油を行う側から見た映像」が含まれていませんが、探せばすぐに見つかると思いますよ)

 

そういうわけで、空中給油とはこのように、一方の飛行機がもう一方の飛行機に燃料パイプをつなげ、燃料を流し込む、というわけです。

 

なぜ空中給油が必要なのか?

「わざわざそんなことしなくても、基地に帰って燃料補給をすればいいじゃないか」と思うかもしれません。

 

が、世の中そう悠長なことを言ってばかりはいられないんですね。特に空中給油が行われる事が多い「軍事」の世界では。

 

600px-US_Air_Force_011106-F-4308R-035_Noble_Eaglesたとえば、戦闘機を使って、ある空域をパトロールすることを考えてみましょう。

 

前提として、戦闘機は旅客機などより燃料を多く消費し、機体も小型なので、空中給油なしで飛んでいられるのは3、4時間が限度です。そうすると、パトロールを24時間絶え間なく行うには、六組の編隊のローテーションを組まなければならないことになります。

 

とはいえ、パトロール空域が基地から遠い場合は基地との往復がありますし、戦闘が起これば燃料を大量に消費しますから、そのあたりを見込むとすると、実際にローテーションを組むには六組以上の編隊が必要になります。

 

一編隊二機で構成するとしても、一つの空域を守るのに14〜16機が必要ということになり、これは相当大変です。参考までに、日本の航空自衛隊の保有戦闘機はおおよそ300機です。この300機で、日本の広い海岸線・領空を守る、しかも一つの空域を守るのに15機前後が必要と考えると(ものすごく大雑把な計算なので当てにされると困りますが)これはなかなか大変です(実際には戦闘機を均等に配置する必要があるわけではないとはいえ)。

 

ま、それを実現するために、色々と工夫が必要だろうというわけですね。レーダー網をくまなく張り巡らせることにより、必要なところにだけ戦闘機を向かわせることができる体勢を作るのも、その一つです。

 

そして空中給油も、こう考えるとパトロール任務の効率化に多大な効果があるのが分かります。空中給油機を、基地とパトロール空域の間あたりに滞空させておけば、戦闘機一機当たりの滞空時間を延ばせるだけでなく、基地との間を往復する時間も節約できます。

 

このように、空中給油は、同じ機数の戦闘機でより広い範囲を守る事を可能にし、また、ある空域をより多くの戦闘機で守る事を可能にする、強力な支援体制であると考えることができます。

 

 

もちろん、空中給油は単純に「飛ぶ事ができる距離を伸ばす」効果もあります。このことにより、通常では考えられないような遠距離に爆撃機を飛ばして爆撃する事も可能です。

 

古くはイギリスがフォークランド紛争にて、空中給油に次ぐ空中給油を行い、6000km離れた島から飛び立った爆撃機による爆撃を成功させました(ブラックバック作戦)。

 

640px-Avro_Vulcan_Bomber_RAFこの時使用された爆撃機の航続距離は4000kmだったと言いますから、往復で実に三倍もの距離を飛んだ事になります(画像は作戦で使用されたバルカン爆撃機)。


 

 

最近でも、アメリカ本土から飛び立った爆撃機がアフガニスタンを爆撃した、という事例が伝えられているようです。

 

640px-F-16_CJ_Fighting_Falconこの他、空中給油には一風変わった使い方もあります。戦闘機は爆弾をたくさん積むと離陸のために(滑走路の長さの関係などで)機体を軽くする必要から燃料を減らさなければならなくなったりするのですが、減らした分の燃料を、飛び立ってから空中給油で補給すればいい、と考えることもできます。

 

二つある空中給油

そんな空中給油には、大きく分けて二つの方式があります。

 

Galaxy_03一つは米空軍および米空軍と関係の深い空軍が中心に採用している「フライングブーム」方式。

 

大きめの空中給油機から管(ブーム)を受油機に差し込む、という方式です。

 

640px-GR4_VC10もう一つは米海軍航空隊を始め多くの国の航空部隊が採用している「プローブアンドドローグ」方式。

 

給油機側は先が漏斗状になったホース(ドローグ)を空中にびろーんと伸ばし、受油機側はそこに尖ったような管をぐさっと差す方式です。

 

640px-F-18_Buddy_Refuelingプローブアンドドローグ方式には給油機側の構造が簡単であるという利点があります。極端な話、翼の下にぶらさげる「給油ポッド」があればいい、ぐらいの勢いです。

 

一方のフライングブーム方式ではそうはいきません。給油には専用の大型機が必要です。

 

ただ、フライグブーム方式は、受油機が多少動揺しても給油機側が微調整することにより接続できます。このため、細々した操縦が難しい大型機への給油に向いているとされます。

 

アメリカ空軍は、長距離を飛行する大型の爆撃機や輸送機を多く運用しています。アメリカ空軍がフライグブーム方式を選択したのには、そんな背景があったのかもしれません。

 

「いつも当たらない」より「たまに当たる」方が迷惑な次回予告

というわけで、今回は珍しく、予告通りの記事が書けました。

 

次はどうしましょうか。ステルス……とか? でも難しいからなあ、どうしようかなあ。

 

そんなこんなですが、今日はこのへんで。

 

See You Next FLIGHT!!!