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今回は飛行機の離着陸についてお話しします。

 


 

滑走路って何?

まず、滑走路についてお話しします。以前にも書いたように、飛行機が飛ぶには一定の速度が必要です。ということは、地上で停止している状態から飛行に必要な速度に達するまで、地上を走って加速しなければなりません。飛行機が離陸するには、地上を走って加速するために、地上に長い直線のスペースが必要なのです。

 

機種にもよりますが、現代の飛行機なら長い場合で三キロほど必要になります。また、これも機種によりますが、この直線のスペースは舗装されている必要があります。 ただ、第二次大戦前半あたりの時期では、空軍基地ですら未舗装の滑走路の方が多い国もけっこうあったようで。

 

まとめると、飛行機が飛び立つには、長さ三キロほどの舗装された直線道路が必要になります。この直線道路のことを「滑走路」(英語では「ランウェイ」)と呼びます。飛行機はみんなこの滑走路を利用して加速し、大空へと飛び立つわけです。

 

航空自衛隊百里基地また、滑走路は離陸だけでなく、着陸にも必要です。飛行機は一定の速度を下回ると墜落してしまうので、飛行にぎりぎりの速度まで減速してから地面に車輪を降ろし(接地し)、その後で減速しなければなりません。ここでも、減速用のスペースとして滑走路が役に立ちます。

 

*突然ですがここでマニア向けクイズです。この画像はGoogle Mapで撮影した日本国内のとある滑走路ですが、どこの滑走路でしょう? ヒント:画像の上が真北です。

答えは画像にマウスを載せると分かります(><)

 

離着陸の大まかな手順

離陸するF-16以上を踏まえた上で、まず、離陸について。これは簡単です。滑走路を利用して一定の速度まで加速した後、上昇すればいいのです。


 

ただ、プロペラ式の小型機などは機体の尾部に取り付けた車輪が地面に接地している機種があります(飛行機は尾部を下げることによって機首を上げることを以前書きました)。
この場合は十分に加速する(自然に尾部が上がります)か操縦桿を前に倒すことによって先に尾部を上げなければなりません。それから、単発のプロペラ機の場合はプロペラが回る反動で機体が左右にぶれることがあるので、ラダーペダルで調整しなければなりません。これさえ押さえれば、離陸は問題ないかと思います。

 

着陸進入時次は着陸です。

先ほども出てきた「機体の尾部に取り付けた車輪が地面に接地している機種」の場合、着陸時の操縦は難しいのですが、外から見ると理解は簡単です。


ゆっくりと降下しつつ減速して、最終的には減速による自然な揚力減によって接地します。ただし、この時に全ての車輪が同時に接地しなければいけません。

機体の構造上、パイロットはかなり上を向くことになるのでかなり難しいです。また、当たり前ですが降下速度が速すぎて機体を壊すことがないようにします。地面がほとんど見えない中でタイミングを合わせて減速・降下しなければならないので、操縦は難しいです。

 

一方、近年のジェット戦闘機などで主流な、機首に一つ、胴体後部に二つ(またはそれ以上)の車輪がある機首の場合、操縦は簡単になります。
この場合、機首をやや上に向けながらゆっくりと降下しながら滑走路に進入してきます。降下が一定なら速度も一定でOKです。機首を上げたままで、先に後部の車輪を接地させ、その後で機首の車輪を接地させます。基本的に一定のペースで降下してくればいいのでこっちの方が操縦は楽です。

 

なお、ここで記述したのは離着陸の操縦技術についてのみです。実際には離着陸時には、たとえば管制塔との頻繁な無線交信などが必要になります。

 

一風変わった離着陸

さて、ここまでは普通の飛行機についてお話ししました。ここからはイレギュラーな飛行機の離着陸をお話しします。

 

突然ですが、ヘリコプターって便利ですよね。飛行機と違って長い滑走路がいらないので、ちょっとしたスペースがあればどこからでも離着陸できます。ただ、ヘリコプターはローター(回転翼)が大きな空気抵抗になるので、最高速度は飛行機ほど伸びません。

 

世の中には頭のいい馬鹿がいて(失礼!)、飛行機とヘリコプターのいいところを合体させたものを作ろうと思いついた人がいました。ヘリコプターのようにどこからでも離着陸でき、飛行機のように最大速度も伸びる、夢のような飛行機です。驚くべき事に、このような飛行機は実在します。

 

ヘリコプターのように垂直に離着陸する能力があることを、飛行機の世界ではVTOL(Vertical Take off and Landing. ブイトールと読みます)能力がある、と表現し、VTOL能力がある飛行機のことをVTOL機と呼んだりします。

 

VTOL機の代名詞となっているのが、イギリスが開発してアメリカ海兵隊も使っているハリアー戦闘攻撃機です。イギリスはアメリカほどお金持ちでないので、小さな空母からでも離着陸できる飛行機が欲しかったみたいですね。

 

ハリアー戦闘攻撃機、垂直離着陸す、の図

 

ハリアーはジェットエンジンの排気を下に向けることによってVTOLを実現しています。最初は垂直上昇して、次に排気を斜めにして徐々に加速、必要な速度に達したら排気を水平にして普通の飛行機と同じように飛行します。着陸はその逆です。

 

もっとも、ジェットエンジンの排気は高温なので、どこでも離着陸できるというわけではないようです。

 

この他にも、主翼の両端につけたプロペラの向きを変えられるようにしてVTOLを実現したV-22という飛行機もあります。沖縄に配備されたというので大いに話題になりましたね。

 

ただ、VTOL機は垂直離着陸を実現する方にお金を使うあまり、他の性能がおろそかになる場合が多く、通常離着陸型機と比べれば特殊でニッチな地位にとどまっています。

 

 

最後に、短距離離着陸についてお話ししようかと思います。

 

滑走路は軍事上、非常に重要な目標です。ほとんどの飛行機は滑走路がないと飛べません。既に飛んでいる飛行機も、滑走路を破壊されたら着陸できないか、他の滑走路に向かうことを強いられます。

 

開戦劈頭に敵の飛行場に空襲をかけることはよくありますし、その場合は滑走路は敵の軍用機や対空兵器、武器庫・燃料庫と並ぶ重要目標です。

防御側も負けじと滑走路が破壊されるとすぐ修復できる装備を配備したり、ならばと攻撃側は滑走路の復旧を阻む兵器を設計したりと、滑走路を巡る熱い戦いが日々繰り広げられています。

 

そういった中では、軍用機もできるだけ短い距離で離着陸できる方が望ましいです。極端な話、被害を受けたのが滑走路の端っこだけだった場合、短距離で離着陸できる軍用機は作戦続行が可能かもしれません。このような短距離離着陸を、この世界ではSTOL(Short Take off and Landing. 読みは……たしかストールでよかったと思います)と言います。

 

高速道路に着陸するC-130輸送機さて、極端なSTOL機では、なんと道路からの離着陸が可能な機もあるとのことです。もちろん、直線道路でなくてはなりませんが、ソ連の脅威にさらされていた北欧のスウェーデンなどや今も中国と対峙している台湾では、国土要塞化を国策として進めており、STOL機の緊急着陸を見越して予め直線道路を多く作っているらしいです。

*画像はWikipedia「代替滑走路」より。2013/01/06閲覧

 

ここだけの話、国土の縦深に自信がない日本も見習えばいいのに……。

 

後書き

今回は離着陸についてがっつりとお話ししました。意外とたくさん書くことがあるもんですね。次回はメルマガのお試し版に掲載した「○○機って何?」の完全版を掲載しようかと考えています。乞うご期待。

 

では。

 

See You Next FLIGHT!