airpower_and_seapower地政学と呼ばれる学問の理論には、世界の対立構造の大枠を「アメリカ(昔はイギリス)中心のシーパワー」と「ロシア(昔はドイツ)中心のランドパワー」の二つの争いである、と考える一派があります。

 

今日はこのシーパワーとランドパワーの戦いに、エアパワーがどういう働きをするのか、なんてことを、茫漠と考えてみました。

*なお、私は専門家ではないので、以下はあくまで趣味の延長としての考察です

 

 

そもそも「シーパワー vs ランドパワー」って何の話?

まず始めに、大航海時代から現在までは「シーパワー優位の時代」だと考えられています。

 

sailing_shipこれは、技術革新によって、大航海時代に「海を旅するコスト」が大きく下がったからです。大型の帆船を使えば、たくさんの物を、遠くまで、低コストで運ぶことができます。もちろん、積み荷が武器や軍隊であってもいいわけです。

 

その後も、シーパワーの世界では、

 

大型帆船 → 蒸気船 → ガスタービンエンジン等

 

などと技術革新が続きます。


もちろん、ランドパワーの世界でも

 

馬 → 鉄道 → 自動車

 

という具合に技術革新は起こりますが、それでも「重量当たりの輸送コスト」という枠組みで考えると、同時期の船舶には叶いません。

このことから、ランドパワーのロシア(ドイツ)よりはシーパワーのアメリカ(イギリス)が、世界の覇権を巡る争いでは、何度か危なくなりながらも、おおむね常に優位を保ってきた、というわけです。

 

 

エアパワーの出現で事態は変わったか?

では、ここにエアパワーが加わるとどうなるのでしょうか。もちろん、航空機には発着する飛行場や航空母艦が必要なので、エアパワーはあくまでランドパワーとシーパワーを補助するものであり、対等な立場として振る舞うわけではなく……たとえば「エアパワー国家」が誕生したりすることはありません。

 

ですが、航空機のエアパワーが、シーパワーとランドパワーの勢力争いに、影響を与えることは十分考えられます。

 

まず、現代戦では、制空権が大きな鍵を握ります。特に、相手の空軍が強力な対地攻撃能力を有している場合、制空権がなくては、地上軍の勝利はおぼつかないものになります。

 

ただし、エアパワーだけでは、勝利を得るのに十分ではありません。先述したように、勝利を確定させるには、相手よりも強力な陸上あるいは海上戦力が必要です。

 

このことを踏まえて、ランドパワーとシーパワー、それぞれの「制空権を握るためのコスト」について、考えてみたいと思います。

 

ランドパワーが制空権を握る方法は、主として陸上の空軍基地を拠点とした、戦闘機部隊によります。

 

usnavy_warshipsこれに対し、シーパワーが制空権を握る方法は、陸上の空軍基地だけでは不十分です。シーパワーはランドパワーに比べ、陸上の拠点は数が限られている(そもそもだからシーパワー)ので、どうしても海上を移動する空軍基地である航空母艦、つまり空母が必要になります。

 


こういった事情を受けて、アメリカは十二隻の大型空母を保有し、世界の海に君臨しつつ、陸上にも大きな影響力を及ぼしている、というわけです。

 

ただ、問題は先ほど出てきた「重量当たりの輸送コスト」言い換えれば「戦力あたりの輸送コスト」です。

 

第二次世界大戦当時、航空母艦を保有し、運用するコストは、確かに大きなものでしたが、それでも大国・アメリカに担えないものではありませんでした。

 

ところが、現代の原子力空母の維持コストは、当時の比ではなく、空母を護衛する艦艇のコストまで含めれば、日本円で兆の大台に乗ると言われます。大小百隻あまりの大空母艦隊を建造せしめた第二次世界大戦当時と比べて、現代のアメリカが十二隻の大型空母しか保有しないでいるのは、一隻当たりの戦力が大幅に向上したから、だけではないはずです。

 

これに対して、陸上の空軍基地のコストはどうでしょうか。これはほとんど上昇していないように見えます。もちろん、本連載の過去記事でも書いたように、陸上基地は自由に移動できないなど、空母と比較した時に、戦術上のデメリットが多くあります……が、それも(低コストゆえ)数でカバーできると言い切れなくはありません。

 

 

世界のパワーバランスはいかに?

つまり、エアパワーの登場と発達により……長年続いていたシーパワーの優位(戦力あたりの輸送コストが安い)が、揺らぎつつあるのではないか、と私は思うわけです。

 

陸上に数多く配置された空軍基地から、有力な戦闘機部隊や、対艦攻撃機部隊が飛び立てば……それは、シーパワーの接近を阻止する、有力な防壁になり得ます。


そもそもシーパワーは、海上輸送を使って大戦力を自由に移動させ、上陸攻撃を仕掛けるというプロセスを踏むことで、戦力を影響力に変えます。ですから、陸上への接近を阻止されては、どれだけ大きな艦隊を擁していても無意味、というわけです。


それに対抗してシーパワーが航空母艦の数を増やそうとしても、コストの高さ故に、上手くいかないかもしれません。

 

sea_trade頼みの綱は、貿易です。陸上貿易に対する海上貿易の優位(重量当たりの輸送コストが安い)は未だに揺るぎませんから、海上貿易で陸上貿易を大幅に上回る利益を得られれば、陸上空軍基地の防壁を破れるような、大空母艦隊を維持できるかもしれません。

 

ですが、航空戦力の技術向上が続き、それと共にコスト上昇が続く中……貿易で大もうけして大空母艦隊建造という戦略が、どこまで続けられるかは、何とも言えないところです。

 

現実がどう転ぶかは、やってみなくては分かりませんね。これからの、見てのお楽しみ、ということになりそうです。

 

 

ふわふわして頼りない次回予告

さて、今回は(今回も?)毛色を変えて送ってみましたが、いかがだったでしょうか。

 

次回は……うーん……思いつきませんね(汗)。また適当なコラムっぽい記事でお茶を濁すことには……なりたくないものですが。

 

ではでは。