N913_blueinparusu5500というわけで、今回は航空自衛隊のアクロバット(曲芸)飛行隊「ブルーインパルス」をご紹介します。

 

先日の航空自衛隊入間基地航空祭を紹介する記事でも軽く触れましたが、やはり航空祭の華「ブルーインパルス」については、記事一本分を割いて、掘り下げなければなりませんもんね。

 

 

そもそもアクロバット飛行隊とは何か

こういう時は「そもそも論」から始めてしまうのが私の悪い癖ですが、この文章は私が書いているので!

 

というわけで、そもそもアクロバット飛行隊とは、その名の通り「アクロバット」、つまり普段の飛行では決してやらないような軽業的曲芸飛行を、主に観客を楽しませるために行う専門の飛行隊のことです。

 

アクロバット飛行とはどんな感じかは、Youtubeなどで動画を検索すると分かりやすいかと思います。

 

アメリカ海軍のブルーエンジェルス

たとえば、世界でも屈指の技術を持つとされるアクロバット飛行隊「ブルーエンジェルス」の公式動画を張っておきます。アクロバット飛行は2:00あたりから。

 

こういったアクロバット飛行は、民間企業等が行う興業(つまりサーカス)というのもありますが、ここでは軍隊に設置されているアクロバット飛行隊について書いていきましょう。

 

 

Redarrowsformation1arp750pix軍隊(空軍または海軍航空隊)に置かれているアクロバット飛行隊では、目立たないよう地味に塗装された実戦部隊と違い、所属機が鮮やかな色に塗装されています。

(画像は赤い塗装が特徴の英軍「レッドアローズ」)

 

 

その一番の目的は、やはり展示飛行(アクロバット飛行のこと)を行うことによる軍隊のPR、つまり広報宣伝やイメージアップですね。実際、軍隊というのは税金でやっているわけですし、どんな装備を持ってどんなことをやっているか、どんな形であれ周知できるのは良いことだと私も思います。

 

やはり、曲芸飛行を見るのは初めてだったという人に感想を聞くと「あんなに速くて、すごい音がするとは思わなかった」なんて、とにかく驚く人が多いですしね。

 

また、副次的な目的として、パイロットの練度の向上なども含まれるとされます。実際、アクロバット飛行隊はその国のパイロットの「顔」ですので、国として恥ずかしくないよう、最優秀のパイロットが配属されることがほとんどです。そんなエースパイロットたちが一カ所に集って切磋琢磨するわけですから、再び実戦部隊に転属になる頃には、一回りも二回りも成長しているのでしょう。

 

このため結果的に、アクロバット飛行がその国のパイロットの技量を外国に見せつける格好の機会にもなっています。実際、パイロットの練度が高いとされる国ほど、アクロバット飛行の技術も高いように見受けられますね。

 

そんなアクロバット飛行隊は、各国の空軍や海軍航空隊に設置されていますが、本稿でメインに取り上げるのは日本で最も有名な航空自衛隊の「ブルーインパルス」です。

 

640px-F-16_Fighting_Falcons_above_New_York_Cityこの他ですと、日本国内ではアメリカ空軍の「サンダーバーズ」、アメリカ海軍航空隊の「ブルーエンジェルス」などが有名でしょうか。(画像はニューヨーク上空を飛ぶ「サンダーバーズ」)

 

 

ちなみに、これらアメリカ軍のアクロバット飛行隊は、非常に稀ですが、同盟国である日本でも展示飛行を行ってくれることがあります。渡米して見に行くのではなく、国内にいながらにして見ることができる機会は一生にそう何度もないので、小耳に挟んだら突撃してみるのも一考です。

 

 

 

日本の「ブルーインパルス」

さて、前置きが長くなりました。日本の「ブルーインパルス」についてです。

 

「ブルーインパルス」は宮城県松島基地を拠点として活動する航空自衛隊のアクロバット飛行隊で、制式名称を「第4航空団飛行群第11飛行隊」といいます(ちなみに航空自衛隊公式サイトにはブルーインパルスコーナーもあります)。

 

blue_impulse1その名の通り、鮮やかな青に彩った機体がトレードマークです。

 

戦後、航空自衛隊が陣容を整えつつあった1961年に発足したブルーインパルス。

 

F86Blue_Hamamatsu初期の仕事としては、1964年の東京オリンピック開会式で空に「五輪」を描いたことが有名ですね。(画像は当時使用されていたF-86戦闘機)

 

2020年東京オリンピック招致の際に話題になったので、ご存知の方も多いでしょうか。

 

その後も紆余曲折はありましたけれども、例年の展示飛行や、ワールドカップなどの国際行事でもしばしば飛行を披露するなどしてきた活動により、最近では航空自衛隊の「顔」として、だいぶ定着してきた感があります。東日本大震災では、津波で一時基地が使えなくなりましたが、その後復興が進んでカムバックを果たした時には、話題を呼びました。

 

T-4_normalそんなブルーインパルス、現在の使用機体は「T-4 中等練習機」といいます(発音は「てぃーよん」とか「てぃーふぉー」とか)。日本では珍しい、純国産のジェット機です。(画像は通常型の塗装)

 

アメリカのごついF-15やスレンダーなF-16と違った、日本的な丸っこさが特徴ですね。その形状から「ドルフィン」という愛らしい愛称をもらっています。

 

ただ、T-4は中等練習機とついていることからも分かるように、主に新人パイロットの訓練用、しばしば移動などの雑用に使われる機種でして、戦闘機ではありません。

詳細は省きますが、日本の戦闘機は高価ですし近頃の日本は金欠なので、アクロバット飛行隊まで戦闘機を回すお金がなかったのですね。このせいもあって、ブルーインパルスの演技は、戦闘機を採用した国の飛行隊に比べると、少々迫力で負けている感があります。

 

しかし、そんなブルーインパルスの「弱点」を補う強みが「描きもの」です。

「描きもの」とは、飛行機の尾部から煙を出して、あたかも人工的な飛行機雲を作るようにして、大空に絵を描くという技です。

 

先述したオリンピックでの「五輪」をはじめとして、近年では「五機が直線を引いて一気に描き上げる『星』」や「六つの円を組み合わせて表現する『桜』「矢の刺さったハート」などが展示飛行の定番メニューとなっています。

 

sakuraたとえばこちらの画像は、背景がちぎれ雲になっているためちょっとわかりにくいですが、桜を描いている場面の途中です。

 

……などと書くと簡単そうに思えるかもしれませんが、こうした描きもので使われる煙は、当日の大気の状態にもよりますが、すぐに消えてしまうことがほとんどです。綺麗な絵を描くには、全員がタイミングを合わせ、短時間で一気に描き上げる必要がありますが、これが非常に難しい。もし実際に見ていて、上手くいった時には、是非とも惜しみない拍手を。

 

使用している機体の関係で迫力に劣るブルーインパルスですが、このような繊細な技術によって、上手にそれを補っていると言えるでしょうか……と言っても、初めてアクロバット飛行を見る人にとっては、ブルーインパルスの迫力も相当なものだと思います。

 

ブルーインパルス展示飛行
というわけで、ブルーインパルスの迫力が伝わる動画を、YouTubeから探してきましたので、貼っておきましょう。

 

そんなブルーインパルスですが、例年秋頃、日本各地の航空自衛隊基地で行われる「自衛隊航空祭」で見ることができます。気になれば最寄りの基地に突撃を……いや、お祭り以外の日には突撃しないでくださいね?

 

なお、首都圏から最も近い「入間基地航空祭」については先日記事にしましたので、よければこちらもどうぞ。

 

 

次回予告は電気羊の夢を見るか?

というわけで、ブルーインパルス紹介でした。

 

次回は何の話にしましょうか……あーそういえば「航空戦の歴史」って、まだやってませんでしたっけ? それにしようかなあ……

 

では、今日はこのへんで。

 

See You Next FLIGHT!!!