急旋回してヴェイパーを引くF-2

思いの外、旋回の話が長くなってしまったので、戦闘機の旋回のお話は分割して番外編として掲載することにしました。

ついでに、戦闘機の旋回とは切っても切れないGのお話もさせてもらいます。

 

 

 

戦闘機と旋回

急旋回時の舵戦闘機などの軍用機は、敵を攻撃し、敵の攻撃を避けるために、通常より急な旋回を求められることが多々あります。そんな時は、九十度近くロールして機首上げしつつ高度の低下はラダーで調節する、という手順が用いられます。

 


 

人間の体は降下より上昇に強いようにできているので、戦闘機も機首下げより機首上げの方が早いようにできています。この機首上げの早さを利用して、九十度近く横転して機首上げを行うことによって急旋回を行うのです。ただ、急旋回は速度を急激に落としてしまうので、諸刃の剣と言えます。

 

Gの話 ~何かを得れば何かを失う。人生なんてそんなもんだ~

急旋回とGは切っても切れない関係にあります。

1Gは地球重力の加速度であり、普通に生活しているのと同じ状態です。2Gはその二倍で、もし地球の重力が突然二倍になったらこの2Gの状態になります(体重が二倍になったのと同じ状態です)。Gは本来加速度の単位ですが、戦闘機関係の文脈では力の大きさとして受け止めてもいいでしょう。

 

Gの力さて、飛行機が旋回すると、遠心力がかかります。前述の通り、重力などと釣り合うように熟練者が上手く操縦すれば快適に飛べるのですが、戦闘中はそうも言っていられません。
機首上げによる急旋回の場合、飛行機の向きに対し下向きの力がかかります。旋回が急だったり、速度が高速だったりすれば、それだけ大きな力がかかります。この力の大きさをGで表します。


 

現代の最新鋭戦闘機は大体9Gぐらいまでは耐えられると言われます(突発的にこれ以上の力をかけてもすぐに空中分解したりはしませんが、着陸後に検査などをしなければならないでしょう)。しかし、生身の人間が耐えられるGは6G程度のようで、後述するGスーツと呼ばれる装備を使っても9Gに耐え続けるのは苦しいものがあります。

下方向のGがかかると、人間の体内では血液が足元方向に移動してしまい、脳まで血が回らなくなって、Gが大きくなるにつれて視界が暗くなっていき、ついには真っ暗になってしまいます。これをブラックアウトと言います。さらに限界を超えて旋回を続けるとパイロットは失神してしまい、これをG-LOCと言います。


戦闘機による戦闘では常にこのような危険にさらされているので、パイロットはGスーツと呼ばれるズボン状の装備を着用しています。このGスーツは、Gを感知して空気圧の力でパイロットの足を加圧し、それによって脳への血流を確保するという、なんとも強引な装備です。

 

なお、ブラックアウトと似たような現象にレッドアウトがあります。そういう状態はほとんどないのですが、飛行機が急激な機首下げを行うと、機首上げとは逆に上方向のGがかかり、血液が頭部に集中します。それによって今度は血が多すぎる状態となり、視界が赤くなってしまうのです。

 

Gによる影響がゲームでどう表現されているかを示す例

 

引用した動画は、ゲームのバグの結果誤ってレッドアウトしてしまったというものですが、この種のシミュレーションゲームでどのようにレッドアウト(やブラックアウト)が表現されているかを示す良い例です。

 

後書き

番外編として、戦闘機と旋回について解説してみました。

 

敵機と空中戦を繰り広げる戦闘機にとって、旋回は欠かせない運動で、空戦ものの作品を理解するのにこのあたりの知識があるとより楽しめるでしょう。

 

それでは。

 

See You Next FLIGHT!