上昇する飛行機

さて、前回は、飛行機がどういう仕組みで浮かび上がるか解説しました。今回からは、飛行機の操縦方法について説明したいと思います。

 

空を飛ぶ乗り物には色々あります。中には、行き先は風任せの熱気球や、エンジンを持たずに滑空するだけのハンググライダーなんてのもあります。

 

飛行機は、エンジンを持っていて燃料の続く限り飛行でき、また、操縦者による操縦で行き先を自由に選べます。

 

この二つの点はヘリコプターと共通しますが、飛行機は固定翼によって揚力を得るのに対して、ヘリコプターは回転翼によって揚力を得る点が違います。ヘリコプターについて脱線しますが、飛行機の固定翼は前から風を受けると揚力を生じるようになっている、というのは前回述べた通りでして、ヘリコプターのローターブレードも似たような構造をしており、それを振り回すことで、その場にいながらにして「前から風を受ける」状態を作っているわけですね。

 

 

さて、飛行機の話に戻ります。飛行機が真っ直ぐ飛ぶのは、基本的にはまあ、分かりますが、ではどうやって曲がったり、上昇したり降下したりしているのでしょうか。

 

斜め上から見た図まず、前回のおさらいから入りましょう。飛行機に必要な翼は三種類ありました。水平についている大きな翼、主翼。水平についている小さな翼、水平尾翼。垂直についている小さな翼、垂直尾翼。例外はありますが、基本的には、これら三つがないと飛行機は安定して飛べません。


 

 

コクピット

飛行機の操縦方法ですが、まずはコクピットについて必要最小限解説します。

自動車の運転席に速度計があるように、飛行機のコクピットにも計器があります。ただ、計器の数は自動車より多く、速度計、高度計、姿勢儀を初めとして、特に軍用機ともなれば無数の計器があります。

自動車の運転席にはまた、自動車を運転するためのハンドルやシフトレバーやアクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダルなどがあります。

 

 

戦時中のBf-109戦闘機のコクピット飛行機のコクピットにも、飛行機を操縦するために、操縦桿という操縦者の前に垂直に突き出した棒状のもの(ハンドル状のものや、ゲーマーの人が使ってるジョイスティックのようなものもありますが、ここでは操縦桿に統一してお話しします)、スロットルレバー(単にスロットルとも言います)、左右両足のラダーペダル(同じくラダーとも言います)があります。

操縦桿、スロットルレバー、ラダーペダルですね。


このうち、スロットルレバーは簡単で、エンジン出力を調整するためのものです。前後に倒すようになっていて、例外はあるようですが普通は、前に倒すと出力アップ、後ろに倒すと出力ダウンです。


問題は操縦桿とラダーペダルですので、以下に飛行機の各種動きとあわせて詳説します。

 

引くべきか押すべきか。それが問題だ

上昇・降下から解説します。高度を上げるのが上昇、下げるのが降下ですね。
「上昇は機首を上げれば(上向かせれば)いいんでしょ? 降下は機首を下げれば(下向かせれば)いい。簡単じゃないか」と、思われるかもしれません。ではお聞きします。どうやって機首を上げ下げするのでしょう? ……ライト兄弟の偉大さが分かってきたでしょうか。問題は浮かび上がることよりも、操縦の方法なのです。

 

 

実はこれは、水平尾翼のもう一つの存在意義でもあるとも言えます。というのも、上昇と降下には水平尾翼を、あるいはその一部を使うからです。

 

YouTubeより。動画の序盤でエレベーターが動いています。

水平尾翼の後縁の一部、あるいは水平尾翼の全部は、上下に傾く可動式になっています。この可動部分をエレベーター(昇降舵)と呼びます。一般的に、操縦桿を手前に引くと、エレベーターは尻上がりに傾きます。操縦桿を奥に倒すと、エレベーターは尻下がりに傾きます。

 

よーく考えてみてください。扇風機(風強め)の前に板を差し出しましょう。扇風機側の板の先端をつまんで、です。板が水平だと何も起きませんね。板を尻下がりにすると、板は風を受けて上にあがろうとするのではないでしょうか。一方、板を尻上がりにすると、板は風を受けて下にさがろうとすると思います。


あれれ、と思ったかもしれません。その人は飛行機の操縦について少し知っている方ですね。そう、普通、操縦桿を手前に引くと飛行機は機首を上げ、操縦桿を奥に倒すと飛行機は機首を下げるのです。


しかし、私の説明はこうでした。

 

操縦桿を手前に引く→エレベーターが尻上がりになる→エレベーターは降下する
操縦桿を奥に倒す→エレベーターが尻下がりになる→エレベーターは上昇する

 

手前に引くと降下、奥に倒すと上昇、になっています。

 

混乱するかもしれませんが、ここはちょっと注意が必要です。これは正しいのです。
というのも、降下したり上昇したりするのがエレベーターである、というのがミソです。エレベーターは水平尾翼にあるんでしたよね? ではその水平尾翼は……飛行機の尾部にあるのです。


上昇と降下先ほどの説明を補足するとこうなります。

操縦桿を手前に引く→エレベーターが尻上がりになる→飛行機の尾部が下がる=飛行機の機首が上がる
操縦桿を奥に倒す→エレベーターが尻下がりになる→飛行機の尾部が上がる=飛行機の機首が下がる

このようにして、飛行機は上昇・降下を行います。

 

では次は、水平方向への左右の動き「旋回」について解説……したいところだったのですが、紙面に余裕がありません。この続きは次回、「飛行機の仕組み3 旋回」に持ち越しましょう。

 

それではまた。

 

See You Next FLIGHT!