陸海空こんにちは、問題児の神無悠樹です。今回は陸海空の三軍を比較した時の空軍・航空戦力の特徴・立ち位置について書きたいと思います。


 

軍事力には大きく分けて三種、すなわち陸上戦力、海上(及び海中)戦力、航空戦力があります。近頃では宇宙戦力というのも出てきていますが、今のところ偵察衛星による情報収集が主で、戦争の主役と呼べる段階ではなく、重要ではありますけれども、ここではとりあえず置くものとします。

 

一般の人には、軍事力はおしなべて破壊と殺戮の道具であるように思われるかもしれませんし、実際、それは半分以上正しいのですが(汗)、およそ兵器というものにも特徴に基づいた分類があります。陸海空の戦力にも、それぞれ違いがあるのです。なお、今回の比較では、話を簡単にするため、第一線の戦闘用戦力だけを考えるものとし、輸送機やら電子戦機やらの補助的戦力は(重要ではありますが)なるべく考えないことにしましょう。

 

空軍の優位は何と言っても機動力(最近では火力も)

空軍の特徴は、何と言ってもそのスピード、つまり速度です。また、踏破するのが困難な地形や堅固に防御された拠点であっても、空軍力は飛び越えて、目標まで進攻することができます。言ってみれば、航空戦力にはかつてない「地形踏破力」があるのです。先述した速度と、この地形踏破力を合わせて、「航空戦力には非常に大きな機動力がある」と言うことができるでしょう(ここで言う機動力とは、接近戦で競り勝つための性能のことではなく、地図上の望んだ地点に素早く移動できる能力のことです)。

 

640px-Ju_87B_NAN1Sep43機動力の高さは、そのまま相手が対応する時間が少ないことを意味します。特にレーダーがない時代には、相手の司令部が気づいた時にはもうこちらは爆撃を終えた後、ということが往々にして起こったのです。


 

相手に気づかれないうちに攻撃を終えるだけなら、陸上の特殊部隊にもできますし、海軍の潜水艦にも可能です。ただ、特殊部隊にしろ潜水艦にしろ、目標地点で戦力を発揮するには事前に時間をかけて潜入する必要がありますが、航空戦力なら、作戦地域に近い基地に展開しておけば、そこからぱっと飛び立ってすぐに攻撃できます。攻撃後の撤退もいたって迅速。便利です。また、この特徴を生かして、苦戦している地上部隊の元に駆けつけて援護する「火消し」的な運用をすることも可能です。

 

このほか、特に近年は技術の進歩が目覚ましく、航空機も高性能になっています。これにより、さらに多くの兵器を搭載することが可能になりました。以前は航空機の火力は限られたものでしかなかったのですが、近年は相当に強力なものになっています。機動力と合わせて考えれば、これは陸軍や海軍には代え難い攻撃力です。

第二次世界大戦の時は、国家の総力を挙げて航空戦力に力を入れ、戦局を動かしましたが、現在ではそこまで力を入れなくても、航空戦力は十分に戦況を一変させ得ます。

 

これまで、航空戦力の攻撃力についてのみ述べてきましたが、防御力についても触れたいと思います。
以前、地対空ミサイルによる防御は防衛可能な範囲が限られるため、航空戦力による防御は今でも必要であることを書いたことがありました。つまり、ここで紹介した航空戦力の縦横無尽な機動力のため、その攻撃を防ぐには、同じ機動力を持った航空戦力でなければならないのです。さもなければ、相手は好きな時、好きな場所に攻撃を仕掛けられることになります。そのために、全ての先進国は早期警戒レーダー網を自国の周囲に張り巡らせ、怪しげな動きには戦闘機を向かわせるのです。

 

ガス! ガス! ガス!

以上、空軍の優位について書いてきました。ここからは、陸軍・海軍と比較した際に、空軍が劣っている点について解説したいと思います。

 

飛行機というのは、当然ですが燃料がないと飛べません。特に最前線に出る戦闘機や攻撃機などは、攻撃を受けた時にそれをかわしたり、逃れるために、速度が命です。必要以上に燃費を気にしていては負けてしまいます。


勢い、激しい機動を伴う戦闘を挟むとなると、飛び続けられるのは三時間とかそこらだったりします。しかも、飛行機というのは任務が終わったら必ず基地に帰らなければなりません。常に帰りの燃料を気にする必要があるのです。つまり、先に述べた三時間というのも、三時間ずっと前線に張り付いていられるわけではありません。

 

Usaf.f15.f16.kc135.750pixこの欠点を克服するために、空中給油機というものがあります。燃料をたっぷり積んだ大型機が、空中で戦闘機に燃料を給油する「飛行ガソリンスタンド」です。もっとも、確かにこれを使えば滞空時間を飛躍的に伸ばせますが、そうなると今度は狭いコクピットに押し込められ続けるパイロットの負担が目立ってきますので、やはりいつまでも前線に張り付いていられるわけではありません。


 

これに対し陸上戦力は、その場にいるだけで燃料を消費したりはしません。また、補給部隊に前線と後方を往復させれば、戦闘部隊がずっと前線に張り付いていることも可能です。海上戦力もたびたび基地に戻る必要がありますが、航空戦力ほどではありませんし、その気になれば補給艦から必要な補給を受けることも、不可能ではありません。

 

このように、空軍と比較して、陸軍・海軍は、戦場に留まり続ける能力が遙かに秀でています。
これ故によく「航空戦力だけで戦争を終わらせることはできない」などと言われるほどです。戦争の目的が何かはその戦争によって異なりますが、自分の意思を相手に強制するというのは共通しています。
目にも止まらぬ速さでやってきて、さんざん壊し回っても、すぐに飛び去ってしまうようなら、相手に継続して意思を強制するのは難しいでしょう。戦争の目的を達するには大抵の場合、陸軍の侵攻が必要になってくるのです。

 

ついにそこまでいったか次回予告

以上、陸軍と海軍に対しての空軍の比較を見てきました。航空戦力は非常に強力ではありますけれども、限界があるということですね。

 

最後に、湾岸戦争当時の米空軍トップだった人物が、自伝で書いていた言葉を紹介しようと思います。空軍軍人だけあって、かなーり身びいきな内容ですが、どこか説得力があるような気もします。
いわく「陸軍は敵の陸軍をやっつけることしか興味がない。海軍は陸軍よりマシだが、似たようなものだ。しかし、空軍だけは、常に戦争全体に勝つことを考えている」。
空軍は、その能力と限界を正確に認識し、戦略的に運用することが不可欠だ、という意味でしょうね。

 

それでは、今月はこのあたりで。次回は何にしましょうか……戦闘機ゲーム紹介とか? 趣旨にはずれる感はありますがw

それでは。

 

See You Next FLIGHT!!!