starwars_ep1_japanese_comicalize先日、道端で「スターウォーズごっこ」をしている小学生を見かけたのですね。

 

今年(2015年)末に最新作エピソード7が公開されるスターウォーズシリーズですが、エピソード4が公開されたのが1977年でつまり40年近く前、エピソード1は1999年公開で15年ほど前、最新作のエピソード3は2005年公開で10年前ということになりますから、今の小学生は、リアルタイムではスターウォーズの正編は知らないはずです。

 

スピンオフ作品のアニメ「クローンウォーズ」は2008年から2014年まで放送されていたようですから、小学生が知っていたのはこちらですかね。

 

しかしまあ、脳内ライトセーバーを振り回す小学生を見ていて思い出したのは、私が小学生だった頃にエピソード1が公開されて……あの漫画と出会ったのだったなあ、ということでした。

 

 

コロコロコミックで異彩を放っていた「漫画版スターウォーズ」

当時、私はコロコロコミックのファンでして、毎月欠かさず読んでいました。

 

今となっては信じられないことですが、映画界がスターウォーズの新作で沸いていたその時、日本人漫画家の手による漫画版が、あろうことか、よりによってコロコロコミックに掲載されたのです。

 

悪口を言うわけではありませんが、コロコロコミックは決して高尚な漫画雑誌ではありません。むしろ低年齢(小学生)向けに的を絞った、ある意味で潔い方向性の雑誌です。

 

そんな雑誌に、映画正編を元にした、大人向けの作風の漫画が送り込まれてきたのです。

 

しかも、子供向けの改変などは一切ありませんでした。ストーリーは映画に忠実でしたし、絵も実写を意識して大人向けの画風を維持しつつ、日本漫画特有のデフォルメを盛り込んだ非常にレベルの高い漫画版でした。

 

数々の子供向け漫画の中に挿入されたその漫画版スターウォーズを目にして、私は衝撃を受けました。話は一部、難しくてわからないところがありましたが、それでも子供だった私が「世の中にはこんなにすごい漫画があるのか」と心に刻みつけるには十分でした。

 

漫画版は前後編二回に分けて掲載されることになっており、前編を読んで感動した私は、翌月の後編を楽しみにしていました……ところが、後編のクライマックスというところになって「作者急病のため、続きは単行本で」となり、私は無念さに打ち震えたものです。でも、いま思えば、もしかすると絵のレベルが高すぎたために締め切りに間に合わなかったということなのかもしれませんね。

 

結果的に、数ヶ月後、本屋の店頭で私は単行本を見つけて購入しましたので、漫画版を最後まで読むことができました。その単行本は、今も本棚に収まっています。通常のコミックスとは違う、大きめのサイズの立派な単行本です。

 

とにかく絵が素晴らしい

背景はこのぐらいにして、内容について少し掘り下げて書こうと思います。この記事を書くために原作映画も見返してきましたので、原作映画との比較も交えていきます。

 

まず傍目にも明らかなのは、絵の素晴らしさ。スターウォーズの特徴と言えば見事な特撮だったり美麗なCGだったりしますが、そういったレベルの高い原作映画の映像美の魅力を取りこぼすことなく、それでいて、しっかりと日本式漫画のスタイルに落とし込むことに成功しています。

 

特筆すべきは、メカの描き込みの細かさと、異星人キャラクターの見事な質感です。

 

細部まで描き込まれたメカは、スターウォーズ独特の雰囲気を醸し出すのに一役買っています。

 

また、異星人キャラクター(たとえばマスター・ヨーダとか)の、人間種とは違った肌の質感などもしっかりと表現されています。原作映画ではそうした質感たっぷりの異星人キャラクターがぬるぬる動くのが魅力だった一方、一枚絵としての完成度なら、漫画版の方が上ではないかと思われる場面もたびたびありました。

 

ストーリーについては、原作映画に忠実、というより、当たり前ですがほぼそのままなぞるものです。枚数の関係でところどころ端折ったのかなと思われるところがありましたが、ストーリーの理解に支障を来すほどではありません(原作映画も、素で見るとすぐには理解できないところがありますからね)。ただ、戦闘シーンは原作映画と比べると少々あっさり目です。

 

最後に、翻訳についてですが、漫画版と言うことで映画の字幕と比べると字数制限が緩いのでしょう、原作映画の英語字幕版と比べると漫画版の方が分かりやすいかなという気がしました。ただ、原作映画で「通商連合」となっているところを漫画版では「トレード連邦」とする(原語では"Trade Federation")など首をかしげるところもあったので、翻訳については、一長一短といったところでしょうか。

 

まとめ:他のエピソードの日本式漫画版も読みたいところですが……

というわけで、コロコロコミックに掲載された「スターウォーズ エピソード1 ファントム・メナス 漫画版」は、私にとって大変に思い出深い作品なのでした。

 

しかし、なぜスターウォーズの漫画版が、よりにもよってコロコロコミックに掲載になったのでしょう……と考えてみると、おそらくそれはこの作品が幼少期の「アナキン・スカイウォーカー」(後の「ダース・ベイダー」)を描いているからなのでしょう。

 

エピソード1では、アナキンはまだ小学生ぐらいの歳でして、ジェダイの騎士としての才能を見出されてスカウトされるという役どころです。スカウトされるだけでなく、アナキンはその才能を遺憾なく発揮して、ジェダイの騎士たちが苦境を脱するのに一役も二役も買ってくれます。

 

おそらくコロコロコミックとしては、読者(小学生)が年齢の近いアナキンに感情移入してくれるだろう、と狙ったのでしょう。実際、私もそうでしたからね。

 

ですが、おそらくはこれこそが、続くエピソード2、3が同様に漫画化されなかった理由なのだと思います。エピソード2では、アナキンは早くも大人になってしまいますから。

 

個人的には、同様に、日本式漫画のスタイルで描かれたスターウォーズをもっと読みたいのですが、残念なことに、このような試みはエピソード1が最初で最後である模様です。

 

今年(2015年)末には最新作エピソード7が公開されるということですので、何とか望みをつなぎたいところですが……まあ無理だろうなあ……。

 

とはいえ、少年時代の私に強烈な体験を与えてくれたエピソード1の漫画版のことを、私はいつまでも忘れないでしょう。