yasuda_hallいつもだったら一冊の書評で一本の記事を書くのですが、今回は思うところあって「弾丸レビュー」と称して、短い書評をたくさん載せたいと思います。たまたまですが「学生運動」をテーマにした書籍が多くなっています(左の画像は「街画ガイド」様からの画像を著者の方で加工したものです)。

 

 

ソ連史…ひと味違ったソ連が見える

soviet_historyそのものずばり、ソ連の歴史を書いた新書です。

 

著者は冒頭の方で「著者にはソ連を擁護するつもりは毛頭ない」と書いていますが、その後の記述を見ると、ちょっとそうは思えないw

 

ですが、全くの嘘を書いているわけでもないでしょう。冷戦時代に様々な事情から一人歩きしてしまった、一般的なイメージとは違ったソ連像が垣間見えてきます。

 

 

1968年~反乱のグローバリズム~…海外の学生運動の概略

19681968年は世界的に学生運動が盛り上がり、一種異様な雰囲気に包まれた年であったといいます。

 

本書はその1968年を主軸にしながら、世界各地の学生運動の様相を見て行きます。著者がドイツの人ですので、西ドイツに大きな紙幅が割かれていますが、日本、アメリカ、フランス、東欧諸国など(中国を除けば)、主立った国々が網羅されています。

 

個人的には、日本の学生運動の特徴として「暴力性」が挙げられていたことが、かなり印象的でした。一方、左翼運動につきまとう「すぐに仲間割れして分裂する」というのは、世界各地で見られる現象なんだな、とも読み取れました。

 

 

叛逆の時を生きて…日本の学生運動の主役たち

ここからは日本の学生運動についての本です。

 

time_to_liberal「叛逆の時を生きて」は、日本の学生運動で主導的・象徴的な役割を果たした人たちのインタビュー集となっています。

 

インタビュー集という都合上、日本の学生運動の主要な出来事が頭に入っていないと分かりにくい面がありますが、当事者の生の声や、その後どういう人生を生きたか、今はどうしているかなどが分かってくるので、色々と思うところがある人もいるのではないでしょうか。

 

 

安田講堂 1968-1969…歴史の最前線にいた一人

in_the_yasuda_hall安田講堂に最後まで残った著者による回想録です。初めに言っておきますが、かなり偏っています(苦笑)。

 

ただ、色々と含蓄が深いことも書いておられます。特に「志のある人がみんな学生運動で逮捕されてしまったから、この世代の高級官僚や企業役員にはたちの悪いのが多いのではないか」という記述には思わず笑ってしまいました。

 

 

ゲバルト時代…等身大の学生運動家

等身大の学生運動家の姿が垣間見える本としては「青春の墓標」「二十歳の原点」などが有名ですが、両方とも若くして自殺した運動家の遺稿集ということもあり、その内容の切迫性が胸を打つ一方、著者の若さ故の考えの浅さが目立つという欠点も持っています。

 

age_of_gewalt一方でこの「ゲバルト時代」は、学生運動から足を洗って数十年が経ち、老境に足を踏み入れた著者による回想録です。

 

その筆致には、学生運動への郷愁めいた賞賛だけでなく、問題点を厳しく指摘する苛烈さがあります。

 

また、運動後数十年の人生経験を経て円熟した著者の語りは、深さという点では、先に挙げたような本よりもずっと上を行きます。

 

あの時代を生きた当時の運動家は、いまどんなことを考えているのか……本書はそんな疑問に答えてくれているように思います。