aviation_cyber突然ですが、航空戦力とサイバー戦力ってある意味似てるんじゃね、なんて馬鹿なことを思いつきました。

記事にするほどでもないかなーと思ったのですが、Twitterに流すには長くなる内容なので、書いてみることにします。


 

 

 

航空戦力とサイバー戦力は似ている?

army私が、航空戦力とサイバー戦力が似ていると思ったのは、陸上戦力に対する立ち位置からです。

 

どういうことか分かりやすくするために、陸上戦力と航空戦力、そしてサイバー戦力の特徴を表にしてみました。


 

 

特徴\戦力

陸上戦力

航空戦力

サイバー戦力

速度

×遅い 〇速い ◎マジで速い(光速)

地理的制約

×大きい 〇ほぼない ◎基本的にない

搭載質量

◎大きい △少ない △ゼロ

継戦能力

◎物資さえあれば △燃料が無くなると終わり 〇相手次第

 

この表を見ると、速度、地理的制約、搭載質量の点で、サイバー戦力は陸上戦力に対して、航空戦力の持つ要素を極端にした、つまり、より速く、より地理的に自由で、ただしより少ない(ゼロの)質量しか搭載できないという特徴を持ち、従って、サイバー戦力はある意味、陸上戦力に対する航空戦力の延長線上にある……なんてのはまあ、こじつけもいいところなんですが。

 

まあ、ちょっとそう思いました。

 

 

航空戦力はいかにして万能ではなくなったか

これだけで終わってしまってはいかにも面白くありませんね。

 

そこで、航空戦力の歴史の流れをたどることにより、サイバー戦力の将来を予測するという、我ながら物好きな考察をやってみましょう。

 

ナポレオンの時代から気球は存在しましたし、第一次大戦には航空機が実戦で大々的に使用されましたが、航空戦力が戦局に決定的な影響を与えるようになったのは、第二次世界大戦の頃からです。

 

第二次世界大戦前夜、世界には「爆撃機万能論」「戦闘機不要論」というものがはびこっていました。

これは「国境のどこからでも侵入できる、高速・重装甲・重武装の爆撃機を阻める戦闘機は存在しない(ゆえに空爆戦力で優位に立てば勝てる)」という理論でした。

 

B-17_on_bomb_run爆撃機はどこからどこへ向かうか事前には分からず、分かった時には手遅れだったので、仮に高性能な戦闘機を開発したとしても有効な迎撃を行うのは難しいと考えられていたのです。


 

そんな認識を打ち破ったのが、イギリスが世界で最初に実用化した「レーダー」でした。レーダーは、それまでの目視や音響による探知と比べて遥かに遠くの敵機を正確に捕捉することができ、これによってイギリス空軍は大挙して押し寄せるドイツ空軍の爆撃機を撃退することができました。

 

イギリスの成功の裏には、当時性能が限られていたレーダーを最大限有効に利用し、組織的で効率的な迎撃を行うためのシステムを非常に高い完成度で作り上げたこともあるのですが、ここでは置いておきましょう。

 

 

その後、レーダーは各国の防空になくてはならないものとなりました。また、レーダー警戒網で守られた地域を、一方的に空爆するということは難しくなったので、爆撃機は激しい迎撃に遭遇することとなり、爆撃機万能論と共に空軍万能論も大きく衰退したのです。

 

では、サイバー戦に備えるには?

いま見てきたように「敵の攻撃を探知する」ことができるようになった時が、航空戦力の歴史の大きなターニングポイントでした。

 

これと同じで、サイバー戦でも、まず何よりも「攻撃を受けていることを探知する」ことがポイントになるのは間違いないでしょう。

 

以前、こんな話を聞きました。いわく「ウイルス対策ソフトなんか必要ないから入れてないよ。だって、俺のPCは感染したことなんか一度もないよ」……開いた口がふさがらないとはこのことですね。

 

コンピューターに対する攻撃にはいろいろありますが、大抵は情報を抜き取るものです。何も対策していない場合、抜き取られた側は普通、抜き取られたことに気づきません。攻撃されたことに気づかないのです。

 

ある実験によると、ウイルス対策ソフトを入れていないパソコンをインターネットに接続して放置した後、しばらくして検査したら、多数のウイルスが検出されたということです。

たとえるなら、ハッカーは透明人間で、彼らは「透明人間ホイホイ」が設置されていない家を見つけると、片っ端から盗撮器や盗聴器を仕掛けて世界中を回っているのだ、と思えばいいでしょうか。

 

Biohazard_symbolウイルス対策ソフトを入れていないというのは、学生だったら許されるかもしれませんが、社会人だったら失格レベルですよね。でも、社会人の方の中にも「周りが入れろっていうから仕方なく入れてるけど、本当は必要ないと思う」なんて人もいるんじゃないでしょうか。まあ、致死性の伝染病の予防接種も「いらないよ」という人がいる世の中ですから、無理もありませんが……。


 

 

話が逸れてしまいましたね。航空戦力の世界では、レーダーの発明によって国境を越えてくる航空機を探知できるようになったのでした。ですが、サイバー戦力の世界ではこれはなかなか難しい。航空機がレーダーに映らないようにするステルス技術の開発には多大な労力が必要ですが、サイバー攻撃の場合、探知されないようにするのは、航空機のステルスに比べれば遥かに簡単です。

 

サイバー空間の国家主権?

探知されにくい、というのは、現状打破派の弱者からするとまことに便利な特徴です。現状打破派の弱者は、現状維持派の強者と正面から戦えばあっという間に負けてしまいます。ですが、攻撃をしかけても気づかれにくいとなれば、弱者にも勝機はあります。

 

destroyer_coleま、平たく言うと、圧制の元で苦しんでいる人たちが、悪徳政権を打倒するためにはもってこいだということですね。


 

そこで、一部の国々には、サイバー空間の規制を強化し、サイバー攻撃を探知できるようにしようとか、予防しようとか、攻撃を受けた時に速やかに実行犯を逮捕できるような体制を整備しよう、動きがあります。国民同士の、あるいは国民と外国との通信を監視・規制したりする動きですね。

 

しかし、昔から秩序の維持と自由の弾圧は紙一重、というかぶっちゃけほとんど同じです。

無制限の自由という北斗の拳的世界観は遠慮したいのはもちろんですが、秩序が何よりも大事だと言ってしまったら、二百年続いた平和を終わらせて内戦を起こし、多数の国民を死なせ、国内秩序を大混乱に陥れた、明治天皇は国賊だということになってしまいます。要は多面的な見方とバランスが大事ですよね。

 

しかし、サイバー空間の場合、自由と秩序のバランスの取り方がかなり難しい。

 

現代の飛行機がそうであるように、将来、サイバー空間上の情報の流れを各国政府が監視するようになってしまったら……それが名目上は治安のためであったとしても、我々が普段ネット上でやりとりしている情報の種類を、そして、その情報によってどれだけ豊かな文化的生活が維持されているかを考えたら……爆撃機を監視するためにレーダーを作るのとはわけが違いますよね。

 

まとめ

まあ、私だって、なんでもかんでも自由がいいとは思いませんが、しかし、現状の自由なサイバー空間の居心地の良さといいますか、この自由によって受けている恩恵の大きさを考えたら「まあしばらくこのままで行ってみていいんじゃない? (数々の情報流出事件を知った上で言いますが)致命的な問題も起きてないし」と、常々思う、今日この頃です。