最近、アメリカが北朝鮮を攻撃するのしないので大騒ぎになっています。
今回に関しては、実際に攻撃に踏み切ってもおかしくない感じがします。まだ確率は半々ぐらいかなという印象ではありますけれどもね。
私が思うに、アメリカは今すぐ攻撃に踏み切ると韓国の大統領選挙の結果に影響を与えかねないので、選挙が終わるまでは攻撃を待つのではないかと思います。万が一の事態が起きた時に大統領が空席だと困るというのもありますしね。また、トランプがそういう配慮を忘れる間抜けさんだったとしても、周りが止めるだろうと思います。
なので、攻撃があるとしたら五月以降かな~というのが私の予想。
で、攻撃が行われる前に「これだけは言っておきたい」というのを今日は書きます。
「北朝鮮が合法的に日本を攻撃する世界」へようこそ
昨日から今日にかけて、海上自衛隊の護衛艦がアメリカの空母艦隊に合流したというニュースが入ってきました。
アメリカと合同訓練を行う予定ということですが、どうやら、訓練が終わった後も護衛艦は空母と行動を共にして、北朝鮮の近海に向かうようです。
これは客観的に見て、どう見ても「日本の海上自衛隊がアメリカの空母を護衛している」ということになります。日本政府は否定するかもしれませんが、そういう見苦しい言い逃れはやめましょうね誇り高き日本人なんですから、と言いたいところです。
さて、このように「日本の海上自衛隊がアメリカの空母を護衛している」状況で、アメリカの空母(まあ他の艦艇でもいいんですが)が北朝鮮を攻撃すると、どういうことになるか。
ずばり「日本も共犯になる」んですね。「日本がアメリカの軍事行動に一緒になって参加した」「日本はアメリカと一緒に北朝鮮を攻撃した」ということになるんです。
たとえ海上自衛隊の任務がアメリカの軍艦の護衛という防御的なものであったとしても、攻撃の基点となる軍艦を防御することは言い逃れしようのない「攻撃の一部」となります。「泥棒は見張りだけでも同じ罪になる」のと似ていますかね。
「一緒に航行していたアメリカさんが勝手に攻撃始めちゃったんです日本は関係ないです」ってことにもならないです。何せ、日本には昨年(2016年)に成立した安保法制があり、法的に「アメリカの軍艦を護衛できる」状態にあるんですから、知らない振りはできません。というか、安保法制自体、こういう時のために整備されたものですからね。
さて、問題はですね。
「日本がアメリカと一緒になって北朝鮮を攻撃した」ということになると「北朝鮮が日本に反撃すること」は「正当防衛」になると考えられることです。
「北朝鮮が合法的に日本を攻撃する」……うーん、なんだかまるで別の世界に来ちゃったみたいですね。
でも、現実にいま、そういうことが起こりそうなんです。
もちろん、国際法的なことを言ったら、たとえば北朝鮮が日本への反撃にサリンを使ったり、あえて民間人が多い住宅密集地を狙ったりすれば「正当防衛の範囲を逸脱している」つまり「過剰防衛=違法」ということになるんでしょうが、それでも北朝鮮が、米軍や自衛隊の基地に通常弾頭(普通の爆弾)の弾道ミサイルを発射するぐらいだったら、余裕で合法です。
そうしたミサイルはおそらく(何せ自衛隊や米軍を狙って発射されるんですから)迎撃されるでしょうが、迎撃後の破片が住宅地に落ちる可能性はあります。
ちなみになんですが、そうした被害は、政府によって補償されるのでしょうか? うーん。戦時中の空襲に関する裁判の判例では「戦争の被害は国民がみな等しく耐え忍ばねばならないものである」みたいな話も出ているので……どうなんでしょうね? 正直なところ、裁判をやってみないと分からない感じではありますが、ただ、国が必ず補償してくれると考えるのは、楽観的に過ぎるでしょうね。
分かっててやってるならいいけど、みんな本当に分かってるの?
まあ、世の中、話し合いで解決できなければ出るとこ出ましょうかってことになることはありますよね。国内問題なら裁判になりますし、国際問題なら、それが戦争になるわけです。
色々と考えると、この状況では「日本がアメリカと一緒になって北朝鮮を攻撃する」のは戦略として「アリ」かな、という気は私もします。
うーん、でもですねえ……日本の有権者の皆さんって、本当にそこのところ分かってるんですかね?
私が言いたいのは「アメリカの攻撃に日本も参加する」ことに賛成するなら、反撃される可能性もある(少なくとも合法ではある)わけで、その点も加味した上で「賛成する」と言うべきだ、ってことであってですね……
たとえば「日本も参加したアメリカ主導の攻撃」が行われた後で、北朝鮮が日本の自衛隊の基地に向かって弾道ミサイルを撃ち込むとするじゃないですか。
でもその時、もう日本人には「北朝鮮は何てことするんだ!」って言って、今までみたいに怒る権利は、もうないんですよ。いえ、怒ることそのものはできますが、その怒りは国際法的には権利として認められなくなるんです。だって、先に攻撃したのは日本、ってことになるんですから。
これまでは日本人の「北朝鮮は何てことするんだ!」という怒りは、国際法的に認められていました(北朝鮮に対する国連安保理の非難決議などからそれを読み取ることができます)。
しかし、一度、攻撃に踏み切ってしまったが最後、もう国際法は私たちを守ってくれなくなります。
では、攻撃の後、国際法の代わりに私たちが頼るのは何になるかというと、それは唯一「軍事力」だけになります。
つまり一度「軍事力を使う」と決めれば、それ以降は、頼れるのがそれだけになってしまうんですね。
……まあ日本とアメリカ(プラス韓国?)が北朝鮮に負けるってことはないから、別にそれでいいじゃん、ってことなのかもしれませんが……中国やロシアとか、怖くないんですかね。中国やロシアが怖くないとしたら、その人の脳ミソにはかなりの問題があると思うんですが。
結論
結論を言うと、まずは、まあ賛成するんならそのへんもちゃんとわきまえた上で賛成してくださいね、ってこと。
そして、頼むから、北朝鮮が日本に対して正当防衛の範囲で反撃してきた時に「ついに北朝鮮が暴発したか!」なんて、頭のおかしいたわ言をわめき散らさないで欲しい、ってことです。
確かに、戦争をやらなければならない時というのは、あるんでしょう。
しかし、たとえ戦争をやっている間でも「自分たちがやってることは、客観的に見てどういう意味を持つのか(どういう風に受け止められるのか)」を、忘れずに意識してもらいたいものです。
長い目で見たら、そういう冷静な判断ができる国の方が、戦争でも強いでしょうしね。