参議院選挙も近いので、政治意識が超高い極左である私としては、そろそろ政治関連の記事を一本書かねばならぬと思っていた昨今。
自民党の安倍首相が先日「共産党の綱領には自衛隊を解散すると書いてある。危険だ」という主旨のことをおっしゃったそうです。
これについて一言書いておくと、実際の共産党綱領では
「自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」
となっており、安倍首相の発言の不穏当さと比べると実際はずいぶんマイルドであるように感じられます。
ただまあ、私も別に共産党が好きというわけではないです(共産党って言うことやることが生ぬるいんですよね)。
今回の選挙に関して言うなら、私の態度は「反自民党」であって、特に支持政党があるわけではありません。
そこで今回は「そんなに言うんなら、自民党の綱領とやらを見せてもらおうじゃないか」ということで、自民党の綱領を読ませてもらうことにしました。
結論から言うと、良いことも悪いことも色々書いてありましたね。
自民党の綱領もけっこう危険だった
自民党綱領としては、自由民主党公式サイトのこのページを情報源としました。中には60年ほど前の立党宣言なども含まれていますが、比較的最近の「新綱領(平成17年)」「平成22年綱領」などを中心に見ていきたいと思います。
まず真っ先に目に付くのは、新綱領の第一項「新しい憲法の制定を」ですね。
まず「憲法改正」ではなく「新憲法制定」という言葉を選んでいるところが気になります。
「憲法改正」という言葉には「細かいところは変えるけど、憲法の根底になっている大きな理念は変えない」というニュアンスが含まれています。日本国憲法で言うと「平和主義」「国民主権」「基本的人権の尊重」の、いわゆる三つの柱は変えないよ、ということになるでしょうか。
これに対し「新憲法制定」という言葉には「憲法の大きな理念を根底から変える」という意味が含まれる場合があります……実際、自民党の議員の中には「人権思想は日本の伝統と相容れない」みたいなことを言った人もいます。うーん、危険ですね。
もう一つ気になるのは「新憲法制定」と書いておきながら、その新憲法が「どういう憲法になるのか」というビジョンについては一言も書かれていないことですね。
「憲法は変えます。でもどう変えるかは内緒です」ということなんでしょうか。それって「危険」じゃないんでしょうかね? 憲法は変えるのに、どう変えるかは教えてくれないなんて……ああ、確かに、自民党から新憲法の草案が出されたこともありますが……あれはあれで危険な内容だったような。
良いことも書いてある……けど?
続いて、平成22年綱領を見てみましょう。
これは自民党が野党だった時代に策定されたもので、そのせいか、ところどころに「野党の恨み節」が見て取れるのが特徴的です。ただ、この部分に関しては、言っていることそのものは悪いことではないです。
例を挙げますと
「我々は、全国民の努力により生み出された国民総生産を、与党のみの独善的判断で国民生活に再配分し、結果として国民の自立心を損なう社会主義的政策は採らない。これと併せて、政治主導という言葉で意に反する意見を無視し、与党のみの判断を他に独裁的に押し付ける国家社会主義的統治とも断固対峙しなければならない。」
「多様な組織と対話・調整し、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる」
「合意形成を怠らぬ民主制で意思決定される国と自治体」
いやあ、良いことが書いてありますね。2015年に安全保障関連法案を強行成立させた誰かさんに読ませてあげたいです。あれもね、せめて国民投票ぐらいやればよかったんですよ、ええ。
ただし、一方で、自民党の歴史について触れた部分で、
「(自民党は)共産主義・社会主義政党の批判のための批判に耐え(てきた)」
という主張をしている部分があります。これは一体どういうことでしょう?
自分たちが野党の時は「与党の独善は許さない」と突き上げる一方で、自分たちが与党の時は、野党からの批判は「批判のための批判」として切り捨てる、という態度なのでしょうか。
何というか、政治家としてどうというより、人としてそれはどうなんだ、という話だと思うのですが。
そもそも、左派政党の批判がなかったら、今の日本の姿は大きく違っていたかもしれません。国の問題点をきちんと指摘してくれる政党がなかったら、公害問題が未だに尾を引いていたり、女性の地位も低いままだったりした可能性もあります。そういった「民主主義における野党の役割」について、自民党はどう考えているのでしょうか。
……まあ、この綱領が策定されたのは安倍さんの前の谷垣さんの時代ですから、安倍さんはこの綱領に沿う気はないのかもしれません。そういえば、野党時代の安倍さんって妙に大人しかったですもんね。「野党である自分たちに発言権はない」と殊勝なお考えだったのかもしれません。民主主義的には、根本から間違った発想ですが。
まとめ
色々と検討した結果、綱領を読んで「やはり自民党は信頼に値しない」という結論に至りました。
来る参議院選挙では、左派政党の中から、特に自民党に批判的である政党を選んで投票するつもりです。
読者の皆さんに対しても、この記事を通じて「自民党不支持」を呼びかけたいと思います。
では、今回はこれにて失礼します。