happy_and_unhappy近頃はこのブログ、小説に関する話しか載せなくなってしまいましたね……本当のことを言うと、小説に関する記事はあんまり人気がないので、これではいかんな、と思っているのが実態なのですが、書きたいんだから仕方がない。

 

ところで、そこそこの長さがある小説を一本書き上げると、色々と思いがこみ上げてきます。

 

今回はそんな思いの一つとして「ハッピーエンドとバッドエンド」という話を載せたいと思います。

 

 

ハッピーエンドとバッドエンド

明らかなハッピーエンドの作品や、明らかなバッドエンドの作品というのもありますが、中にはどっちなのか判断がつきかねる作品というのもけっこう存在します。

 

人類は救われてるけどヒロインは死んでるとか、問題は解決したけど主役のカップルは別れなければならなくなったとか。

 

で、それを評価する側の人間も多種多様です。少しでもバッドな要素が含まれていればハッピーエンドとは認めない、そんなものは全てバッドエンドだ、という人もいれば、逆にそれなりのハッピーがあれば多少のアンハッピーがあっても全てハッピーエンドに含める人もいますし、中にはハッピーエンドとかバッドエンドとかいう区別にはあまり意味がないのではないかとちゃぶたいをひっくり返す空気の読めない人もいます(すいません私のことですね)。

 

それでも、慎重を期して言うとすれば、ある一つのエンディングには、ハッピーな要素もあれば、アンハッピーな要素もあると言えます。どちらかが極端に多いこともありますが、必ずしもそれが良いことだというわけではなく、両方の要素を併せ持つエンディングがあっても、私は良いと思います。

 

ぶれないバッドエンドか、ぶれるハッピーエンドか

ただ、ハッピーエンドかバッドエンドかを語る上でより重要なのは「ぶれる」か「ぶれないか」ということではないかと私は思います。

 

たとえば、ラストシーンの直前まで、悲しい話、やりきれない話の連続だったのに、最後の最後で、どんでん返しの名目で全てをハッピーに変えられてしまうと、読んでるこちらとしては、少なからず裏切られた気分になります。ハッピーな話がアンハッピーに変えられてしまった場合はなおさらです。

 

それを踏まえた上で書くんですが、これは作品の書き手にとっては大問題です。もちろん、作品を書いていく上で「ここまでこう来たんだから、これ以外のエンディングは考えられない」という風に、作品の結末が半ば自動的に決まる場合がほとんどなのですが、ごく稀に「ハッピーエンドとバッドエンド、どっちに転がすこともできる」という状況になる場合があります(というか、そういう経験を最近しました)。

 

たとえば、一度予定通りに(プロットに書いた通りに)ハッピーエンドで書き終えたとして、推敲のために改めて通読してみたとしましょう。そこで「ぬるい」とか「ぶれている」と感じて、ラストシーンをバッドエンドに書き換えるのもありだな、と思い始めます。

 

しかし、これは簡単な決断ではありません。いまそこで幸せそうにしている登場人物を、文字通り、奈落の底へ突き落とすのですから。もちろん、最初はハッピーエンドだったものをバッドエンドに書き直す分、バッドエンドの側にもある程度はハッピーな要素を入れるわけなんですが、それでも、ちょっと、ねえ……

 

でも、作品全体を貫くテーマから考えれば、バッドエンドの方がいいかな、という気もしてくるのです。

 

つまり「ぶれないバッドエンド」か「ぶれてもいいからハッピーエンド」か、という決断なわけです。

 

結局、この時の私は「こんなに幸せそうにしているのに、いまさらバッドエンドに書き換えるなんて、そんなひどいことできない!」と十代の美少女が言えば様になるけどおっさんが言っても格好悪いだけでしかないことを思って、ハッピーエンドのままにしましたが、今でも「それでよかったのかなあ……」とたびたび思い返しては悩んでいる、と、そんな今日この頃なわけです。

 

「ぶれる」か「ぶれない」か

最近、小説というのは、最初の一行を書いた瞬間に、そこから最後の一行までの全文が決まってしまうんではないか、と思い始めています。小説を書く上で、本当の意味で創造的なのは、最初の一行を書くその瞬間だけで、後は、その最初の一行にぴったり合致する文章を、土の中から掘り出すように発掘していくだけなんじゃないか、と。

 

だから「ぶれる」か「ぶれない」かは、とても大事な問題です。ハッピーエンドかバッドエンドかは、第一義的に、それまで書き連ねてきた文章に合わせて、自動的に決まるのだと思います。つまり「ぶれない」ことを優先して決めるわけです。

 

ただ、世の中は「少しぐらいだったらぶれてもいい」のも事実です。ハッピーエンドをバッドエンドに、あるいはバッドエンドをハッピーエンドに変える際、生じるぶれが「少し」で済むなら、十分に変えられる場合もあると思います。

 

ただ、本当にそれを決断するかどうかは別問題です。そういう、非常に悩ましい状況に直面した時、何を基準にして判断を下すか。これは、非常に難しい問題です。

 

……と、それなりにこの問題を掘り下げることができたみたいで、個人的には満足したので、この最後の「非常に難しい問題」は問題として残したまま、この記事はこれで終わりにしたいと思います。

 

ではでは。