OOK86_hitogominonakadesenkyokatudou500先日とある若い人と話していたら「比例代表って何?」みたいな反応をされたということもあり、今日は日本の選挙制度の軽い説明がてら、投票行動についてのちょっとしたアドバイスみたいなことも。

 

 

衆議院選の選挙制度は「小選挙区比例代表並立制」

学校の教科書にも書いてありますが、日本の衆議院の選挙制度は「小選挙区比例代表並立制」です。

 

two_types_of_election漢字を連ねて長々と書くと難しそうに見えますが、要するに「小選挙区制」と「比例代表制」の二種類の選挙を同時に行う、という意味です。小選挙区と比例代表、二つの選挙の特徴をそれぞれ理解すれば、選挙に対する理解はばっちりです。

 

小選挙区制……死票が多く、大政党に有利

ではまず「小選挙区制」。

 

小選挙区制では全国が多数の「小選挙区」に分けられます(2014年の今回衆院選では、小選挙区の数は295です)。候補者はいずれかの小選挙区に立候補して、議席を争う形になります。

 

小選挙区制の特徴は、一つの選挙区で当選するのが一人だけ、という点です。ちなみに、中選挙区制や大選挙区制では一つの選挙区から二人や三人あるいはそれ以上の候補者が当選します(その分、選挙区自体の大きさも大きくなります)。

 

これだけだとなんてことはないように思えますが「一つの選挙区で当選するのが一人だけ」というのには言葉以上の意味があります。

 

その最たる物は「死票が多い」ということです。「死票」とは、その票を投じた有権者を代表する当選者がいない票……つまり「実際の政治に反映されない票」です。

 

たとえば、ある選挙区に三人の候補者がいたとして、一人が50%の得票率を得て、もう一人が45%、最後の一人が5%だったとします。

小選挙区制度だと、このうち当選するのは50%の得票を得た一人だけです。

 

この場合、5%の候補者が落選するのは、まあある意味仕方ないでしょう。50%の得票を集めた候補が当選するのも当然です。しかし、50%には及ばなかったとはいえ、45%もの票を得た候補者を落選させてしまうのは、果たして民主主義にとって良いと言えるのでしょうか……?

 

single_member_districtだってそうしたら、45%もの人の意見が、政治に反映されなくなってしまうかもしれません……難しいところですよね。

 

実際、もし一つの選挙区で二人が当選する制度だったとしたら、45%の得票を得たもう一人も当選することになるわけですから、そっちの方が良い制度なんじゃないかと考える人も多いでしょう。

 

こうしたことから、小選挙区制はその国の多数派の意見を代表するような、大政党に有利な制度だと言われます。

民主主義国家の中には、少数派の意見を代表するような小政党もあっていいはずですが、そうした小政党は、小選挙区制の下では議席を獲得するのが難しいのです。

 

比例代表制…死票が少なく、少数派にも議席獲得のチャンス

一方、衆議院選挙のもう一つの柱である「比例代表制」。

 

比例代表制では、国全体を選挙区に分けるところまでは小選挙区制と同じですが、まず一つの選挙区に多数の当選者がいることが定められます。たとえば、2014年の衆院選では東京ブロック17人、南関東ブロック22人、という具合です。

 

比例代表制が選挙区制と違うのは、候補者ではなく政党に投票することです。

 

proportionalたとえば、定数20人の選挙区で、三つの政党がそれぞれ50%、40%、10%の得票を得たとしましょう。

この場合、それぞれ10議席、8議席、2議席が政党に割り当てられます。

 

こうした比例代表制の特徴は、まず死票が少ないことです。先ほどの例を見れば分かるように、わずか10%の得票しか得ていない政党でも、得票に相応しいだけの議席を得ています。これである程度は、政治に少数派の意見が反映されることを期待できます。

 

また、比例代表と大選挙区制の違いは、比例代表が政党名で争うのに対し、大選挙区制は候補者の名前で争うことです。このため、大選挙区制度では候補者の知名度がものを言う選挙戦になりがちですが、比例代表ではそうした欠点は抑えられます。ただし、比例代表では候補者個人を指名して票を託すということは困難なので、その点を欠点と考える立場もあり得ます。

また、比例代表制では少数政党が乱立しがちなので、国の方針をスピーディーに決定するには不向きという意見もあります。

 

実際、日本の衆議院では、小選挙区295議席に対し比例代表は180と議席数を抑えることによって、少数派の意見尊重よりもスピーディーな意志決定をやや重視するような仕組みになっているようです。

 

 

2014年の衆院選について…比例代表は難しいことを考えなくてもいい

以上を踏まえた上で、娑婆心ながら、今回2014年の衆院選の投票についてちょっとアドバイスを。

 

今回の選挙では、野党の民主党と日本維新の会が候補者調整を行い、重複して小選挙区に立候補することを避けています。

これは、先ほども言いましたように、小選挙区では死票が多いため、有力な野党の候補者が二名以上いると票が分散してしまい、与党候補が有利になり過ぎる、と考えられたからです。

 

ただ、有権者にとっては嫌な現象でして、特に「今の与党は嫌いだけど、日本維新の会には死んでも投票したくない。かといって共産党に投票しても、どうせ負けるに決まってる」という理由から、小選挙区での投票先に悩む人が私の周りには多く見受けられます。

 

こうした現象に対し、ネット上では「嫌いな候補の対抗馬に投票しよう」「いや、白票を投じよう」と色々な声が出ていて、混乱が伺えます。

 

ただ、一つ確かなことは「比例代表なら難しいことを考えず、好きな政党に投票すればいい」ということです。

先述した通り、比例代表では死票が少ないため、投票が無駄になる恐れを考えずに、自由に好きな政党に投票できます。

 

なんだったら、小選挙区には白票を投じても、比例だけは投票する、という選択もありでしょう。

 

まとめ:選挙には比例代表制もある

実際の衆議院選挙では、どうしても小選挙区の候補者が目立ってしまうので、選挙には小選挙区制しかないかのような勘違いをしている方もしばしば見受けられます。

 

しかし、実際には日本の選挙には比例代表制もあります。そしてこの比例代表制は、ある種の人にとっては、自分の意見を政治に反映させるための、適切な仕組みだったりするのです。

 

この記事が説明できたのは基本的なことだけでしたが、読んでくれた方の選挙への理解が、少しでも深まれば、と思います。