tokyo_olympic_logo_cancelled2013/09/08、2020年の夏季オリンピックが東京で開催されることが決定しました。

これで、今から7年後には東京でオリンピックが開かれることになりました……今のところは。


 

 

そこで、この記念すべき東京オリンピックを中止させるために、中止させないために、何が起こったら東京オリンピックが中止になるかを考え、そのような事態を発生させる未然に防ぐ方法を考えて行きましょう!

 

*2014/01/17 追記 「住民の反対運動の結果、オリンピック開催を返上したケース(アメリカのデンバー)」を見落としていました。すいません……

 

 

 

ケース1:戦争

実は、過去にも近代オリンピックは何度か中止されています。理由は全て「戦争」がらみです。(*2014/01/17 追記:住民の反対運動の結果「返上」され、次点の都市で開催することになったケースはあります)

 

その一つ、代表的なのが「1940年 東京オリンピック」です。

 

Asahigraph1937-9dそう、実は1964年より前の1940年に東京でオリンピックを開催することが決まっていたのですが、1937年に日中戦争が勃発、1938年には国家総動員法が制定されるなどしてオリンピックどころではなくなったため、東京はオリンピック開催を辞退したのでした。

(*画像は盧溝橋事件の日本軍)

 

当時の時代背景があるとはいえ、バカなことをしたものですね……1964年のオリンピックでは、東京の空に五輪を描いたのはアメリカから輸入した「F-86」という戦闘機でしたが、もし1940年オリンピックが実現していたら、五輪を描いたのは日本の「零戦」だったかもしれません……というのは、さすがに言い過ぎですねw そもそも零戦自体が日中戦争の戦訓から生まれたものですから。

 

また、中止にまで至らなくても、戦争を理由に一部の国がオリンピック参加をボイコット(抗議のための不参加)を選択した例があります。

 

1980年のソ連で行われたモスクワオリンピックでは、ソ連のアフガニスタン侵攻を理由として、アメリカを中心とする西側諸国(日本含む)がボイコット。さらに1984年にアメリカで行われたロサンゼルスオリンピックでは、前述のボイコットの仕返しという意味もあって、アメリカのグレナダ侵攻を理由に東側諸国がボイコットしました。

 

 

ボイコットは開催中止よりはマシですが、やはりオリンピックとしての箔に傷がつくのは否めないところですね。

 

 

640px-20100915Senkaku_Islands_Uotsuri_Jima_Kita_Kojima_Minami_Kojimaさて、話を現代に戻しますと、今も日本は尖閣諸島で中国との領土問題を抱えていることが思い出されます。

可能性は著しく低いものの、もし日中が全面戦争などということになれば、2020年の東京オリンピック開催は非常に危ぶまれることになります。

 

ただ実際には、武力衝突になっても、短期間で終わる小規模なものである可能性が高く、それだけならそのままオリンピックを開催できるかもしれません。

ただ、この場合であっても「日本から仕掛けた」というイメージが国際社会に広まれば、東京オリンピックの名前に傷がつくかもしれません。少なくとも中国がボイコットに打って出る可能性は高いです。

 

日本としてはそうなっては困るため、今後、東京オリンピックが近づくにつれて、尖閣問題で中国側が強硬姿勢に出てきた場合、日本の対応が弱腰にならざるを得ない、というのはあるかもしれませんね。

 

日本の外交手腕が問われる展開になりそうです。

 

ケース2:テロ

オリンピック開催はめでたいことですが、喜んでばかりはいられません。

 

都市部にお住まいの方は特に痛感しておられるかと思われますが、サミットなど各国の要人が参加する重要イベントが開かれると、テロ対策と称して非常に厳重な警備が敷かれます。

 

読者の皆さんの中にも、そんな厳重な警備の様子を「珍しいな」と軽い気持ちで写真に撮ったら、警備員が慌てて駆け寄ってきて「警備上の問題になりますので、今の写真は消してください」と言われた、という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

security_policeこのような過剰警備にも色々と問題があるのはもちろんですが、もっと怖いのは、それだけの警備が必要になるほど、そうした場所はテロリストに狙われているという事実です。

 

ましてやオリンピックとなれば、日頃から不満を募らせているテロリストにとっては、重要度の高い標的であると言えます。

 

オリンピック期間中のテロを警戒しなければならないのはもちろん、オリンピックを中止に追い込むことを目的にしたテロ、というのもあり得るかもしれません。

 

根本的には、世界がそもそも平和なら、テロの脅威はずっと後退するのですが……とはいえ、七年で世界平和なんてそれこそキケンなお話なので、当面は平和協調路線を進めつつ、無辜の市民が被害に遭わないよう、適切な警備態勢を敷くことが大事ですね。

 

 

ケース3:デモ(暴動)

今回の招致決定の直前「イスタンブールでは大規模な反政府デモがあった。このことは招致にマイナスだろう」という見方がありましたが、個人的に、私はこれには非常に疑問を持っていました。

 

隣国シリアの凄惨な内戦がイスタンブールに不利に働いた、というのは分かります。トルコは反体制派の一部を支援したりもしてますからね。しかし、大規模デモが不利に働いたというのは、かえって日本に跳ね返ってこないのでしょうか……

 

なぜ私がこんなことを言うかというと、大規模な反政府デモならば、これからの日本で起こっても不思議ではないからです。

 

VOA_Herman_-_2011-04-16_anti-nuclear_protests_in_Tokyo極右団体「在特会」が新宿で定期的に「ヘイトスピーチ」とも称される排外主義のデモを行っていることや、今は規模を縮小している反原発デモが、いつまた再拡大するか分からない、ということももちろんです。

(*画像は反原発デモの様子)

 


他にも、景気が回復傾向にあるとはいえ、前回の景気回復でも一般の消費者がそれを感じられなかったことを考えれば、いま期待を集めている安倍首相の「アベノミクス」がまた上手くいかない、ということも考えられます。

 

そうなると、折からの非正規雇用拡大で割りを食ってきた若年労働者の怒りが爆発して大規模デモを……ということも、考えられないでしょうか。個人的に、今の日本の現状で大規模デモが起こらないことの方が少なからず不思議なのですが。

 

また、過去のオリンピックでは、しばしばオリンピック開催のためのインフラ整備を旗印にして、強引な再開発が行われて反発を招くなどしたことがあり、日本でもこれがきっかけとなって、大規模デモに繋がる可能性も否定できません。

 

原因は何にしても、オリンピック開催を控えた東京で大規模なデモが、あるいはそれが過激化して暴動が発生したなれば、通常にも増して世界が注目するというのは考えられないことではありません。

 

そうなれば、日本の国際的イメージは悪化。オリンピックを観戦しに訪れ、日本に観光収入をもたらすと見込まれている、外国人観光客の数にも影響が出るでしょう。

 

また、デモを起こす側も、この時期にデモを起こせば反響が大きいということは分かっています。なので、いつもよりデモが起きやすい時期であるという見方もできます。

 

こうしたデモも、過激に弾圧すればかえってそれが国際的に非難されますので、対応は大変難しいところです。

 

ただ、政権転覆とかそういう話になれば別ですが、単なる大規模デモや大暴動程度でオリンピックが中止になる、とはさすがに考えにくいです。

2012年のロンドンオリンピックでも、オリンピック開催の前年に大暴動がありましたが、オリンピックは滞りなく開催されていますしね。

 

まあでも、理想を言えば、デモやら暴動やらで日本の負の側面が世界にさらされるよりは、先手を打って、デモの原因である国内の分断を埋めておきたいところです。排外主義がいかにダメかということをもっと大々的に議論し、原発問題には誠意を持って向き合い、景気回復を底辺層にも実感できるようにして、強引な再開発も慎む、という具合に。

 

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(「殴り合いを話し合いで収めるのが議会政治だ」とも言われるそうですが、果たして国会は求められる役割を果たせるのでしょうか……?)


 

 

ケース4:財政破綻

2013/09/10現在、日本の財政赤字、つまり債務は1000兆円を超えたと言われます。

 

日本は経済規模が大きく、貯蓄などの低リスク資産への人気が高いことから、財政破綻まではまだまだ遠いという経済学者も少なくありませんが、一方、彼らに「では、財政赤字がいくらを超えたら危険なのか(どこまでなら安全なのか)」と聞けば、責任を持って答えられる人は誰もいないはずです。

 

万が一、財政破綻ということになれば、オリンピックどころではありません。

 

日本の国債を買っている(国にお金を貸している)のは、ほとんどが国内の銀行であり、その原資は国民の預金です。つまり、一般の国民が銀行に預けたお金を、銀行は国に貸している(そしてその見返りに利子を受け取っている)ということです。

 

このことは、日本の財政が外国の思惑に左右されにくいという利点を持っている一方で、万が一、政府が国債を償還できない、つまり借金を返せないということになれば、その打撃はそのまま国民生活を直撃するということでもあります。

 

Bank_run_during_the_Showa_Financial_Crisis政府が国内の銀行にお金を返せないということになれば、もし預金者が銀行に行ってお金を引き出そうとしても「お金は引き出せません。政府がお金を返してくれませんので」ということになりかねません。

(*画像は昭和金融恐慌の時、銀行に金がなくなると聞き、慌てて銀行に駆けつけ、預金を引き出そうとする日本人の様子)

 

さらに、国債を買っても返ってこないということになれば、投資家は不安から海外の資産を買おうとし、円は売り浴びせられるでしょう。こうして起こる円安は「円安になれば輸出が伸びる」などとのんきなことを言っていられるような、生半可な円安ではありません。1ドル300円とかそういう話であって、国民生活には大打撃、特に、輸入に頼っている食品の値段は暴騰するでしょう。食糧配給制の復活もあり得るかもしれませんね。

 

……まあ、そうなれば外国の人はこぞって日本に遊びに来て「1ドル牛丼(神戸ビーフ使用)」を注文するかもしれませんが。日本人としてはたまったもんじゃないですね。

 

さらに、財政破綻の先には、政府が進める緊縮財政が待っている可能性もあります。ギリシャで金融危機が起こった際には、周辺国が支援の意志を表明しましたが「その代わり、ギリシャ国民は緊縮財政を進めるように」と条件をつけました。

この「条件」は大変厳しいもので、福祉は徹底的に切り詰められ、やはりギリシャ国民の生活は大混乱。

 

money_fallingさすがに、ギリシャに財政健全化を強く求めすぎたせいで起きた混乱を見て、反省する人も少なくないものの、財政破綻後の日本が同じ事態に直面しないとは言い切れません。

年金はごっそり削られ、医療費も教育費も上がり、おまけに大増税がやって来る、ということも十分あり得ます。

 

……もうこんなところでいいですかね? とにかく、財政破綻になったら、オリンピックどころではありません。

財政破綻、あるいはそれに準ずる経済危機を防ぐために、政府は成長戦略と共に、中長期的な財政健全化計画も考えて、国内外の投資家を安心させる必要がありますね。

 

ケース5:内戦

上述した「テロ」とか「暴動」とかとも共通する部分がありますが、念を押す意味で、もう一度書いておきたいと思います。

 

東京オリンピック招致成功については、喜ぶ声もある一方で、懸念する声も少なくありません。

 

640px-Fukushima_I_by_Digital_Globe特に多いのが、なぜ「福島」を抱えた今、東京でオリンピックを開くのか、ということです。

(*画像はWikipedia「福島第一原子力発電所事故」より。2013/09/11閲覧)

 

福島を含めた、宮城、岩手の主要な被災三県では、復興事業を今も頑張っているものの、人手や資材の不足・高騰で悩んでいるという話も聞きます。この上、東京でオリンピックということになれば、ますますリソース不足が深刻化し、ひいては復興も遅れてしまうのではないか、と懸念する声があります。

 

この懸念が杞憂で終わってくれれば、それでいいのです。7年後の日本に、復興と生活再建が軌道に乗った被災地と、オリンピックで沸く東京が、平和的に共存していてくれているなら、私としても何も文句はありません。

 

しかし、実際には楽観できません。日本の各種経済指標は、今のところ上向いていますが、この景気好転を国民生活の向上へとつなげられなければ、既に一度好景気の下での生活苦の進行を経験した国民は「景気を良くするだけじゃダメだ」と考えを変えるでしょう。富の再配分を求める声が、今よりもずっと強まるはずです。

 

そんな中で、東京オリンピックが開かれたらどうなるでしょうか。

東京オリンピックでは、聖火ランナーが被災地を通って東京を目指す予定だそうです。その様子はきっとテレビ中継されるでしょうけれど、国民の目にはどう映るでしょうか。

 

Skyscrapers_of_Shinjuku_2009_January東京が、オリンピック特需を独り占めにしようとしている、と見えるのではないでしょうか。それも、わざわざ被災地にそれを見せつけながら。「復興五輪」として、招致に被災地を利用しておきながら。

(*画像はWikipedia「新宿」より。2013/09/11閲覧)

 

 

そうなったら悲劇です。私が見出しに「内戦」と掲げたのは、そのような「国民の分断」を招きかねない「悲劇の種」が既に撒かれていて、今こうしている間も芽吹こうとしているのだ、ということを強く言いたかったからです。

 

「復興五輪」。大変結構です。しかし、それがかけ声倒れに終わり、実際には富裕層が自らの私利私欲のために被災者を利用したり、中流階級が「私にだって生活があるんだ」と言い訳しながらそれに荷担したり、あるいは「俺たちだって生活が苦しいんだ。ちょっと地震や津波があったからって、助けてもらえるのが当然だと思うな。復興が遅れているのは、お前たちが怠けているからだ」などと開き直ったりするようなことがあれば……日本は天皇の下での「国民統合」を保ち続けられるでしょうか。

 

私はこれに関しては、今のところ、とても悲観的なのですが。

 

まとめ:オリンピックを機会に進めるべきは「金儲け」ではなく「国民融和」

ケース毎に項目を分けて、いろいろ述べてきましたが、実際には全てはつながっているように思います。

 

「3:デモ」「5:内戦」の二つについては、国民融和が必要なのは言うまでもありません。「2:テロ」についても、東京オリンピックに不満を持つ日本人テロリストの可能性まで考えると、やはり関係してくると言えます。「4:財政危機」についても、円滑に財政再建を進めるためには、納税者である国民の理解が不可欠です。

少々事情が異なるのは「1:戦争」ぐらいですが、やはり領土問題に対応するにしても、国内がある程度まとまっていた方がやりやすいと思われます。

 

Luxury_is_our_enemy忘れないで欲しいのは、国民融和が大事だからといって、戦時中の「非国民」騒動の愚を繰り返してはならない、ということです。世の中には話しても分からない人は一定数いますが、実際にはそんな人は一般に言われているほど多くはありません。ちゃんと話を聞けば、それなりにもっともなことを言っています。

(画像は日本民族の汚点の図)

 

そして、一つの意見に固執せず、妥協やら譲歩やらを上手く使っていくことが大事でしょう。

また、話しても分からない人に対しても、過激な方法で言うことを聞かせようとするのは賢明ではありません。そんなのは人として恥ずかしいことですし、そもそも、話しても分からない人は、大抵の場合、殴ったり、ましてや嫌がらせをされた程度で意見を変えることはありません。一時的に黙るかもしれませんが、機会を見てまた出てきます。きりがないので、放っておきましょう。

 

話を戻しますが、考えようによっては、オリンピックは国民融和を進める絶好の機会にもなり得ます。東京がオリンピックで盛り上がる一方、被災地の復興が後回しになるようなことがあれば、その対照性はイヤでも目立つことになるでしょう。そうならないようにと、オリンピックによって復興が加速することになれば、被災地にとってもプラスと言えます。

 

DOE_NNSA_Fukushima_Survey_March_17また、これまであえて原発という言葉は使ってきませんでしたが、原発問題に関しても同じことが言えます。特に汚染水対策は、オリンピックを無事に開催するために政府が全力で取り組む方向に行ってくれれば、これ以上のことはありません。

(*画像はアメリカ政府が2011/03/17に作成した放射能汚染マップ)

 

逆に、オリンピックを無事に開催するためにといって、政府が原発問題を隠すようなことがあれば「オリンピック=悪」という図式が成立しかねません。そんなことになれば、これまでオリンピックに関わってきた世界中のスポーツマンの功績に泥を塗ることになるだけでなく、将来のオリンピックにまで、暗い影を落とすことになります。政府がそのような愚かな方向に走らないよう、有権者としては、関心を持って見守っていく必要があるでしょう。

 

結論から言えば、オリンピックを堂々と商業化しておきながら、恥じ入る素振り一つ見せず「オリンピックで金儲け」が何よりも大事だという今の日本の空気には、私は賛成しかねます。金儲けは確かに大事ですが、そのためにあからさまに被災地を切り捨てるようなことがあれば、日本には二度とオリンピックがやってこないかもしれません。

東京オリンピックを真に成功させるためには、金儲けだけでなく、日本が抱える諸問題にも目を向けなければならないのです。

 

おまけ:「オリンピック批判」に素直に向きあって、より良いオリンピックを目指そう

640px-Zaitokukai_rally_at_Shinjuku_on_24_January_2010最後に一つ。東京オリンピックを批判する人に「反日的だ」とか「なんで素直に喜ばないんだ」と罵声を浴びせる人がいると聞きます。

 

それはそれで大変結構ですが、東京オリンピックを大いに喜んでいる人には、同時に東京オリンピックを成功させる責任を負っている、ということを忘れて欲しくありません。

たとえば20年後の2033年。2020年に開催された東京オリンピックは、どのように見られているでしょうか。

 

「被災者にも十分配慮した東京オリンピックは、大震災で生じた国民の分断が埋まり始めるきっかけになった」と評価されるのでしょうか。

 

それとも「被災者を完全に無視した東京オリンピックは、国民の分断をますます広げることになってしまった」と、日本史上の汚点として語られるようになるのでしょうか。

 

批判に応えて、オリンピックをより良いものにしていこうという意識のない人が多いようでは、残念ながら私も悲観的にならざるを得ませんね。