いろいろと事情があって、昨年の法人税と消費税に引き続き、所得税法能力検定1級を受験し、先日合格しました。


で、せっかくならばということで、今回は所得税法能力検定1級の概略と勉強法について記事にしたいと思います。



どんな試験なのか?

法人税・消費税の検定と同様に、所得税法について広く浅く学ぶ試験といった趣です。


特にこの所得税法の試験に関しては、本当に「広く浅い」という言葉がピッタリはまるような試験内容で、出題範囲は「おいおい」と言いたくなるぐらい広い(ほとんど全部の論点が出てるんじゃないですかね?)のですが、一つ一つの内容はよく見ていくとそれほど深い知識を求められず合格レベルまで達することができる、そんな感触の試験でした。


知名度が低いので就職・転職の役に立つかはわかりませんが、会計事務所で働いている知り合いによると以前は「法人税の申告はバッチリだけど個人の確定申告になるとどうも・・・」という感じだったそうですが、これを取ってからはそうした苦手意識がほとんどなくなったとのことで、その道の人には有用みたいです。


ただ、一般企業で働いている人にはどうなんでしょうね? 一般企業では法人税と(経理関係の人は)消費税がわかっていれば十分という感じがします。あ、でも給与計算に携わっている人には、所得控除の知識はそれなりに有用かな……。


2級以下は簡単すぎると思うので、いきなり1級を受けるのがオススメです(2級の合格率80%~90%、1級の合格率60%~70%)。


とはいえ、例によってやはり受験生のレベルはやや高めらしく、合格率6割の試験にしてはやや難しいです。


正確には「難しくはないけど範囲が広いので大変」という感じで、試験範囲さえカバーしてしまえば法人税の1級より簡単ですけどね。


ただ、作業量が多いので法人税・消費税の試験と比べると時間配分が厳しいと感じました。他の試験ではいた途中退出者が私の教室ではいませんでしたし、私自身も、最後まで問題に目を通して見直しに入れたものの、見直しは最後までできずに試験時間終了、というペースでした。時間配分はキッチリ考える必要があると言えるでしょう。


教材としては、例によって公式テキストと過去問があります。


過去問だけでも合格できるかどうかですが、所得税に関しては、過去問だけでも構わないかな、と思わせる部分があります。それだけ試験がカバーしてる範囲が広いからです。


ただ、やはり計算の基本的な流れは公式テキストを読む方がわかりやすく、前提知識のない人は読んでおいたほうがいいかなという感じがします。


たとえば「所得税には総合課税と分離課税があります」という文を読んで何のことかわからない人とか「収入金額と所得金額の違い」がわからない人とかは、解答用紙上で自分が何をやっているかわからなくなって迷子になる危険があるので、公式テキストをちゃんと読んだ方が無難だと思います。私もそうでした。


勉強期間は2ヶ月でギリギリ、3ヶ月で余裕というところだと思いますが「自分は過去問だけでやる!」という人は1ヶ月でもけっこう行けるような感触があります。


実は私も「さあ、テキストは読み終わったから、これから1ヶ月かけて過去問をやるぞ!」というところで仕事が急に忙しくなり、気がついたら残り1週間という切羽詰まった状況になってしまったのですが、何とか受かりましたからね・・・さすがにあれ以上忙しさが続いていたら無理だったと思いますが。


また、法人税・消費税の試験と同様に、解答用紙の形式が独特で、算式の途中が空欄になっていてその空欄に定数を埋めるだけでも配点があります。


たとえば、短期譲渡所得の税率は30%なのですが、解答用紙上の短期譲渡所得の算式の途中の空欄にこの「30%」を書き込むだけで配点があります。


後ほど詳述しますが、特に所得税法の試験の場合「配点ヶ所はどこか」を押さえるのが非常に重要なので、この点は過去問をやる時に強く意識するべきだと思います。


おすすめの試験対策

ここからは、出題傾向を踏まえて具体的な試験対策について語ります。


まずは出題傾向ですが、問題は大問が4つ。毎回以下のような構成です。


第一問 …… 空欄補充問題(20点)

第二問 …… 個別論点問題①(10点)

第三問 …… 個別論点問題②(10点)

第四問 …… 総合問題(60点)


このうち第一問の空欄補充は所得税法に関する理論問題です。


基本的には過去問の文章を丸暗記すれば8割取れるはずですが、範囲が広いせいなのか、中には「あれ? こんなの過去問で出たっけ?」みたいな文章も出てくるので、なかなか満点は難しいのではないかと思います。


とはいえ、計算問題で使う知識がそのまま答えになる問題もあるので、過去問で対策すれば大きく失点することはないでしょう。


また、1級は選択式ではなく記述式なので、答えはしっかり暗記して、漢字も書けるようにしておく必要があります。



第二、第三問は個別論点問題で、過去問の論点がローテーションで出題されています。


ただ……所得税法の場合、このローテーションされる論点の数が際立って多いのが特徴です。


過去問で確認できる限りでは、なんと9論点もあります。一覧は以下の通りです。


・医療費控除

・退職所得

・雑損控除(火災)

・中古資産の減価償却

・雑所得

・土地交換

・寄附金控除

・不動産所得

・平均課税


中には第4問の総合問題と一緒に対策できるものもありますが、総合問題で出ない細かい部分が個別だと出たりするので油断のならないところです。


ただ、やはり範囲は広いものの一つ一つの論点はさほど深くなく、計算方法をマスターしてしまえば簡単に満点が取れる問題が多いです。


唯一、平均課税だけはやや難易度が高い気がしますが、実は平均課税の過去問をよく見てみると、配点のほとんどが定数部分であることがわかります。


つまり、計算式の途中に出てくる○%とか分数とかを丸暗記するだけで、実際に数字の計算をしなくてもなんと8割得点が取れるのです。


所得税法ではこのように算式の定数部分の配点が多く、先述したように「どこに配点があるのか」を意識して解答用紙を埋めていくことが、第4問の総合問題対策でも重要になってきます。



さて、第4問ですが、多種多様な所得をお持ちの個人の確定申告を行うという内容です。


出題範囲はというと「全部(特殊論点以外)」と言ってしまっていいと思います。事業所得や不動産所得はいいとしても、山林所得まで毎回出題されますからね……。


いちいち解説するのはさすがに面倒なので、以下では論点の一覧と、目標とする得点、その他試験のポイントをリストにして記述したいと思います。


・全体の方針 …… 分離課税は満点を狙い、総合課税は所得金額まで満点を狙う(税額は捨てる)。ただし、事業所得は所得金額まで出せなくていい(論点が多すぎて絶対にどこか一ヶ所は間違えているため)


・配当所得 …… 満点を狙う

・不動産所得 …… 満点を狙う

・事業所得 …… 貸倒引当金は捨ててもいい(計算量が多い割に配点が2~4点しかないため)。その他の論点で8割を狙う(論点が多い上、前例のない問題が1つ入ってくることが多いため、満点は難しい)

・山林所得 …… 満点を狙う(税額まで)

・譲渡所得 …… 満点を狙う(分離課税は税額まで)。配点が大きいので重点的に

・一時所得と雑所得 …… 基本的には満点が狙えるが、どっちがどっちだか分かりにくい項目が出てくることがあり、失点してしまう可能性があることを前提にして余裕のある得点で合格したい

・所得控除 …… 満点を狙う。配点が大きいので重点的に

・納付税額の計算 …… 納付税額は捨てる(事業所得を当てるのが至難の業なので納付税額はまず当たらない)。他の配点ヶ所では満点が狙える。


・その他① …… 解答用紙の最終7ページ目だけで10点は取れる(定数部分の配点や転記して足し算するだけの配点が多い)ので、7ページ目だけ先に埋めてしまってもいいぐらい。過去問の配点ヶ所を注意してよく見ること。


・その他② …… 解答用紙の中には、前に算出した数字を空欄に転記するだけの部分があるものの、配点がないことが多い。時間配分が厳しい試験なので、過去問の配点ヶ所をよく確認した上で、配点がない場合は転記せず飛ばした方がいい


……書いてみて気づきましたが、ほぼ全ての論点で満点を狙ってますね……「満点を狙う」は「満点が狙える」に読み替えてしまったほうがいいかも。


まとめ

何度も繰り返しになりますが、この試験でとにかく重要なのは「過去問で配点ヶ所を確認して、ピンポイントでそこを狙っていく」ことです。


試験範囲が広くて思わず「ゲェッ!」となりますが、落ち着いて問題を見てみると、一つ一つの論点はさほど難しくなかったり、配点ヶ所を回収するだけならすごく簡単だったりすることに気づけるはず。


それに気づけさえすれば、合格できるという気持ちが湧いてきて、後はそのまま突き進むだけです。


というわけで、皆さん、どうかお身体に気をつけて、勉強頑張ってください!


 
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