やんごとなき事情により法人税法能力検定1級と消費税法能力検定1級を受験することになり、このたび合格しました。


で、せっかくならばということで、この記事では消費税法能力検定1級の概略と勉強法について語りたいと思います。



どんな試験なのか?

一言で言えば、消費税の基本が学べる試験です。


現在の出題傾向で言うと、主な出題範囲は


・課税区分の判定
・税額計算の基本的な流れ
・調整対象固定資産の処理


などといったところで、重要論点を一通り学べる感じです。


知名度が低いので就職・転職の役に立つかはわかりませんが、経理・税務関係の仕事に就いている知り合いによると「学んだ知識が次の日から生かせた」らしいです。その道の人には有用みたいですね。


2級以下は簡単すぎると思うので、いきなり1級を受けるのがおすすめです。


とはいえこの1級、「合格率80%ってことは楽勝だろう」とナメてかかったらエラい目に遭います。過去問を見て目が点になった私のように……。


おそらく、マイナー資格だけにわざわざ受けにくる受験生はレベルが高いのでしょう。難易度的には簿記3級(最近の合格率は50%ほど)ぐらいのものを感じました。


試験問題の形式が毎回ほぼ同じなので、覚えれば解けるんですが、覚えないと全く解けません(当たり前ですが)。


必要な勉強期間は2ヶ月でぎりぎり、3ヶ月で余裕といったところだと思います。


試験時間は1時間30分です。(試験会場にもよるかもしれませんが)早い人は1時間ほどで退室していきますが、動揺しないようにしましょう。たぶん税理士を目指してる人たちですから、比べてはいけません(と、私は思うようにしました)。


教材としては、公式テキストと過去問があります。


過去問だけで十分合格できるという人をネットでもリアルでも見かけましたが、個人的には公式テキストには一度目を通しておくべきだと思います。出題されない論点の中にも、重要なものがあるんじゃないかなあという気がします。


なお、この試験ならではの特徴として、解答用紙に途中式の一部が書かれていることが挙げられます。


過去問を買って解答用紙を見てもらえばすぐにわかると思いますが、イメージとしては「÷」や「×」の間にたくさんの空欄(白い四角)が書いてあるという感じで、解答は空欄の中に適切な数字を埋めていくという形式です。


つまり、式を一から書く必要はなく、基本さえわかっていれば、細かいところがうろ覚えでもそれなりに正解できるようになっています。


おすすめの勉強法

ここからは、出題傾向を踏まえて具体的な勉強法について語ります。

まずは出題傾向ですが、問題は大問が3つ。毎回以下のような構成です。


第一問 …… 空欄補充問題(20点)

第二問 …… 個別論点問題(20点)

第三問 …… 総合問題(60点)


このうち第一問の空欄補充問題は、消費税法の規定を答えさせるものです。具体的には、申告期限はいつまでかとか、用語についての知識などが問われます。


文章は過去に出題されたものがそのまま出題されることが多く、過去問で対策しておけば8割得点が狙えます。


ただし、文章はそのままでも空欄の場所が違うというパターンが多いので、全文を暗記するようにしたいところです。


また、1級は選択式ではなく記述式なので、答えはしっかり暗記して、漢字も書けるようにしておく必要があります。


注意すべき点は特にないですが、強いて言えば、調整対象固定資産の種類や保税地域の種類のうち一つがランダムで空欄になっている問題(つまり、全部覚えろということ)が出題されることがあるということに気をつけるべきでしょうか。いちいち全部覚えませんもんね普通は……


第二問は個別論点問題ですが、出題される論点は以下の4つでローテーションされています。


・相続による事業承継
・公益法人等の特定収入
・調整対象固定資産(転用の場合)
・調整対象固定資産(課税売上割合が急激に変動した場合)


どの論点が出るかで難易度が多少上下しますが、どれが出たとしても過去問で対策しておけば取りこぼすことはないでしょう。


第二問の注意点として、一カ所当たりの配点が4点と大きいことが挙げられます。第三問は配点箇所が20カ所あって、一カ所あたりの配点は2点ですが、それと比べると第二問の5カ所に4点ずつというのは配点が大きいと思います。


2問取りこぼしただけで六割しか取れなかったことになってしまうので、確実に得点する必要があります。もっとも、それが可能な問題なので、過度に心配する必要はないでしょう。


第三問は総合問題で、企業の損益計算書と多数の特記事項を参照して、消費税額を計算していく問題です。


と言っても、先述のとおり配点箇所が多く部分点が多数ありますので、最終的な消費税額をピッタリ当てる必要はないです(おそらく、合格者の大半は当てられてないでしょう)。


第一問と第二問がそれぞれ八割できていれば、残り約40点取れば合格ですので、おおまかなイメージとしては、課税区分の判定と課税標準額の計算ができれば合格ラインまであと一歩のところまで来ると思います(特に課税区分の判定は配点が大きいです)。


課税売上割合が正解できれば満点合格まであと一歩ですが……課税売上割合を正解するにはそれまでの問題全てを正解する必要があります。


現実的には、試験時間も限られていますし、なかなか難しいのではと思います。


課税売上割合を間違えたとしても、その後の中間納付額の計算(とても簡単です)などにも配点がありますので、まずは解答用紙を最後まで埋めてから見直しに入るといいと思います。


勉強法としては、出題形式に慣れるのが一番なので第一に過去問を解くことですが、もう一つ挙げるとすれば、用語の学習をしっかりしておくと過去問学習がスムーズに行くと思います。


解答用紙には「課税標準額 □円」とか書いてあって□の中に数字を埋めていきますので「課税標準額って何だっけ?」などということのないようにしたいところです。


他にも「課税売上割合の分子には輸出売上高を含める」ことなど、用語に関する知識を万全にしておくと、同じように過去問をやっていても身に付く早さが違ってくると思います。


まずテキストを一読してから過去問演習に入る人が多いと思いますが、テキストを読む時に用語の意味をはっきりさせることを意識しておくといいでしょう。


注意点

注意点としては、ちょっと注意して欲しいこととすごく注意して欲しいことの2つがあります。


ちょっと注意して欲しいこととは、わずかながら、公式テキストには(たぶん)出ていない論点が出題されることです。もっとも、法人税法1級と違って簡単な論点な上に出題頻度も高いので、過去問で対策できるレベルです。


具体的には、保養所利用料収入および保養所借上費用の処理がほぼ毎回出題されます。


ネットで調べればすぐわかるので詳しくはそちらを参照して欲しいのですが、簡単に言うと、保養所利用料収入は課税売上で、保養所借上費用は基本的に課税売上対応課税仕入れだけれど、従業員から利用料を徴収していない場合、課税売上対応ではなくなってしまうので、借上費用は共通対応分になってしまう、という点を押さえておけばOKです。


もう一つ、すごく注意して欲しいこととは、ごく稀に簡易課税の問題が出題されることがある、ということです。


第三問はほぼ毎回が原則課税で似たような問題が出題されますが、稀に(直近では第96回に)簡易課税の問題が出題されるようです。


簡易課税が出題された場合、いつもとは問題形式が大きく異なるため、簡易課税について全く勉強していないと非常にまずいことになります。


ホームページを確認してもらえればわかりますが、通常の合格率が80%ほどのところ、簡易課税が出題された回だけ60%になっていたりします(それでも60%受かるのか、すごいなあ、などと私は素朴に思っちゃいますが……)。


簡易課税が出た場合は諦めて次の回を受けることにする、という人もいるかと思いますが、一回で確実に受かりたい人は、簡易課税が出ても対応できるように、過去の出題例(おそらく簡易課税の過去問は一回分しか手に入らないと思いますが)を繰り返し勉強しておくといいでしょう。


まとめ

最後に、大問ごとにカバーすべき論点と勉強法を改めてまとめておきます。


第一問 …… 消費税の規定に関する空欄補充問題。過去に出題された文章を暗記しましょう。


第二問 …… 個別論点問題。以下の論点を理解した上で過去問を解きましょう。


・相続による事業承継
・公益法人等の特定収入
・調整対象固定資産(転用の場合)
・調整対象固定資産(課税売上割合が急激に変動した場合)


テキストを読む時に、これらの論点が出てきたら注意して読むと良いでしょう。


第三問 …… 消費税の計算に関する総合問題。カバーすべき論点は以下の通り。


★課税区分の判定 …… 配点が高く、特に重要
・課税標準額の計算
・仕入れ税額控除の計算 …… 課税売上割合まで正解するのは難しいですが、課税売上対応、非課税売上対応、共通対応の区分まではしっかり正解したいところです(実のところ、配点箇所の関係で、売上対応の区分まで正解しないと課税区分を正解したことにならないのです)
・税額の計算
・中間納付額の計算
※稀に簡易課税が出る


勉強法としては、テキストを一読して用語の意味をはっきりさせた上で、過去問を繰り返し解くのが基本。


第三問を解くのに最も大事なのは消費税額の計算の流れを身に着けることですが、テキストは論点ごとに章がわかれているので読んでいるだけでは流れが見えにくいです。過去問をしっかりと解くことが必要です。


最後に

最後に一言言っておくと、消費税法1級はしっかり勉強すれば必ず受かる試験だと思います。十分に準備して臨めば、満点も狙えるほどです。


しかも、法人税法1級と違って「絶対にこれ解けないでしょ」みたいな難問が出題されて実質95点満点だったりもしないので、普通に7割取るだけで合格点に達します。


じゃあ簡単すぎて役に立たないかというとそうでもなくて、日頃なあなあにしていたりする消費税関係の知識を、基礎とはいえ体系的に学ぶチャンスで、そのために必要になる事項は一通り試験範囲でカバーされていると思います。


履歴書に、消費税法能力検定1級、って書けるとカッコイイですしね。


そんなわけで、マイナーではありますが、なかなか面白い試験じゃないか、というのが、合格してみての感想なのでした。


※なおこの記事の内容は2019年時点でのものなので、今後、出題傾向が変わったりすることもあるかと思います。あしからずご了承ください。