というわけで、今回はSteamで配信されているPCゲーム「Little Big Workshop」のちょっとした攻略情報をまとめてみます。


「よくある工場経営シミュレーションかな?」と思いつつ買ってみたら、思いもよらず出来の良いゲームで、週末と祝日を挟んだこともあって、私は発売から4日で30時間もプレイしてしまいました。


そんな本作ですが、経営シミュレーションゲーム初心者がつまずきそうなポイントが、序盤・中盤・終盤に一ヶ所ずつぐらいあるかなと思ったので、この記事で解説してみたいと思います。



序盤の設備投資は慎重に!

このゲームにおけるプレイヤーの意思決定ポイントは、


①:製造・販売する商品の選択(および注文の取捨選択)

②:設備投資

③:工場のレイアウト設計


の3つがメインですが、このうち③のレイアウト設計は初心者がやってもそうそう大失敗することはないはずなので、割愛します。

問題は①と②です。


前提として、①と②は強く結びついているということを踏まえておく必要があります。

なぜなら(当たり前ですが)、製造できる商品は、設備投資の結果として生産能力を獲得した商品だけだからです。


その上で、まず覚えておくべきは(知っている人も多いとは思いますが)「設備の稼働率が低いと損をする」ということです。


まあ単純に言えば「せっかく買った機械なんだから、使わないともったいない」というわけで、買った機械はできるだけ100%に近い状態で稼働させ続けるのが最も利益的となります(ちなみに、固定給で雇われている人間にも同じことが言えます。だからブラック企業とか出てくるわけですね)。


このゲームでも、新しく機械を買う時は、どのぐらいの稼働が見込めるかを見極めましょう。

具体的には、取引先からの注文や市場で利益の出そうな商品の動向を見て、共通して求められていることが多い機械「だけ」を買うのです。

※どの機械が買うべき機械なのかまではあえて書きません。攻略記事とはいえネタバレ過ぎるかなと思いまして……


というのも、実はこのゲームの中には「滅多に使わない(一回も使わなくてもクリアまで行ける)機械」や「他の機械でほぼ100%代替できる機械」というのがでてきます。


まあ、あえて言えば「罠」です。


機械を買う前によく情報を集めて吟味し、こうした罠を避けて適切な設備投資を行うのが、このゲームの序盤のポイントとなります。


中盤には木材加工から撤退すべき(かも)

一度プレイするとわかりますが、このゲームでは、序盤は木材加工からスタートして、終盤にかけて金属加工に徐々にシフトしていく、という全体の流れがあります。


私も初見プレイの時、ゲームの進行と共に木材加工がどんどん儲からなくなっていくのを見てかなり焦りました……


序盤にあれだけ儲かって、設備投資だって思い切りやってきた木材加工業が、いまや完全に工場の「お荷物」になっているのを見て「そんなゲームってありかよ」と愕然としたのです。


さらに、このゲームでは「○○熟練工」にアップグレードした労働者は他の熟練工に転職できないので、既に何人もいた木材熟練工を前に「え? この人たち全部ゴミ?」みたいな……


ゲーム開発者が狙ってやってるんだとしたら、大した根性ですよねえ……産業の盛衰をプレイヤーに疑似体験させたかったのでしょうか。くそっ! 大成功だよ!!!!


……話を戻しますと、そういうわけなので、中盤には一大決心をして木材加工から撤退し、金属加工に全面移行するのが無難な戦略かと思います。


一応、終盤でも木材製品は用意されているので、できなくはないのかなあ、こんど木材プレイやってみようかなあ、とは思いますが……完全に、縛りプレイの領域だと思いますので。


ロボットは生産工程に注意

このゲームってところどころに罠がしかけられてるよなあ、と思いつつやってきた終盤。


ここでは製造可能になる製品としてロボットが登場します。

もうわかりますね。「罠」です。


ただ、この罠はけっこうややこしい罠で、私もロボットに手を出した途端に利益が減ってしまったのを見て「なんで?」とかなり混乱しました。


で、よーく考えてみたんですが、これたぶん、ロボットの「生産工程の特殊性」に原因があると思うんですよね。


このゲームでは、製品製造の工程が、上流の「原料加工」と下流の「組み立て」の2つに大きく分かれています。


で、ロボットの前段階(車とか飛行機とかですね)までの製品は、この「原料加工」と「組み立て」の作業量がそんなに大きく離れていないんです。


ところが、ロボットに関しては、上流の「原料加工」の作業量が小さくて、下流の「組み立て」の作業量が非常に大きくなっているんですね。


このため、以前から使っているのと同じラインを流用すると、上流の生産能力が余ってしまいます。

稼働率が下がることになるので、この時点で損をしていますね。


また、リアルの世界に「制約条件の理論」というのがありまして、それによると「工程全体の生産スピードは、工程の中で最も遅い部分によって決定される」とされています。


たとえば、いま上流と下流で処理能力は同じだが作業量(=作業時間)が異なると仮定して作業量を数値で表すとして、


A製品: 上流工程 4 ⇒ 下流工程 4 = 全体作業量 8

B製品: 上流工程 1 ⇒ 下流工程 5 = 全体作業量 6


だとします。


この時、A製品の全体作業量8に対しB製品の全体作業量は6なので、一見すると、B製品の方がコストが安く有利なように見えます。


確かに、コストはB製品の方が安いです。

しかし、ちょっと考えてみて欲しいのが、生産スピードの部分です。


製品を一回しか製造しないなら話は別ですが、ゲームでは(そして多くのリアル工場でも)製品は連続的に製造するのが普通ですので、


工程全体の作業時間 = 工程の中で最も遅い部分 となり、


A製品の製造所要時間 = 4

B製品の製造所要時間 = 5


であり、これは「単位時間当たりのB製品の生産量は、A製品と比べて20%減少する」ことを意味しています。


もちろん、生産量が20%減少したとしても、B製品の方がそのぶん利益率が高ければ問題ありません。


が、このゲームにおけるロボットの利益率って、そこまで高くないんですよね……むしろ薄利多売すべきじゃねこれみたいな感すらある……。


……というわけで、つい長々と説明してしまいましたが、以上のことから、このゲームでロボットを製造して利益を出すには「それまでのラインと比べて組み立て工程の大幅な拡充を行う」ことが必要と思われます。


……ちなみに「思われます」と書いたのは、実際には私は試してないからです(スミマセン)。


ここまで散々書いといて何ですが……ロボットの生産に手を出さなくてもゲームクリアは可能なので(これは実際にやりました)……面倒だったら、ロボットはパスしてもいいかもしれません。


おわりに:なんでこのゲームはこんなに面白いのか?

とまあ、長い記事でしたが、付き合っていただきありがとうございます。


なんというか私はこう、こんな風に熱く語るぐらいには、このゲームに夢中になってしまったのですね。


で、「なんでこんなに面白いのかなあ?」と考えてみたりもしたので、最後にそれを語って終わりにしたいと思います。


まあ、


・儲かりそうな商品を見極める

・効率的なレイアウトを考える


あたりが「思考力を試されていて楽しい」っていうのもありますし、取引先からの注文に対して


「うーん、うちの会社は溶接の技術がまだないから、この注文は受けられないなあ」なんて思いながら断るのが「本当に町工場の社長になったみたい!」なんていう、ごっこ遊び的な楽しさもあります。


あとは、先にも書いた「工場を始めた時はあれだけ儲かっていた木材加工業が、時間の経過と共にみるみる衰退していく」という光景を見て良い意味でショックを受け、熟練木材工をクビにするかどうかの決断を迫られ「ヤバイ……このゲームはヤバイ(褒め言葉)」って思ったりしたこともありました(ちなみにクビにしました。You are fired!)。


ですが、そういうわかりやすい面白さとは別の部分で「ここが良かったんじゃないかな」と思うのが、このゲームは「プレイヤーを動機づけるのが上手いんじゃないか」という点です。


「動機づけが上手い」と思ったポイントは2つありまして、1つは


・すごく悪そうなやつが、しょっちゅう電話をかけてくる


という部分です。


ゲームがある程度進むと、なんか「ネメシス社」っていうすごく悪そうな名前の会社のすごく悪そうな格好をした社長(テレビ電話)がしょっちゅう電話をかけてきて、プレイヤーに向かってイヤミを言ってくるようになるんですね。


もう本当にイライラして「なんなんだこいつは?」って思ってきたその時、ゲームを進めたプレイヤーに与えられる最終目標が「ネメシス社を越えろ」。


……もうね。「やってやろうじゃないか!」って気分になりますよ。ええ。

「あのうざいクソ野郎を黙らせてやろうじゃないか!」と。


正直、経営シミュレーションゲームの常として、このゲームも「終盤にダレる」という欠点があるんですが、この「ラスボスがしょっちゅう電話をかけてきてイヤミを言ってくる」というシステムがモチベーションに火をつけてくれて、ややダレつつも、クリアまでやり抜くことができました。


私が単純すぎるのかもしれませんが、個人的には「このゲーム作った人は、上手いこと考えてるなあ」と思います(まあこのシステムはレビューで「イライラする」という批判もあるんですが)。


で、もう一つの「動機付けが上手い」と思ったポイントは


・出荷が手動


という部分です。


このゲームでは、製品が完成しても自動的には出荷されず、原則として手動で「配達」ボタンを押さなくてはいけません。

ボタンを押すと、トラックがやってきて製品を積み込み、トラックが出発すると「チャリン」とお金が振り込まれます。


これがね。

良いんですよ。


快感なんです。

クセになるんですよ。


よくラットだかサルだかの動物実験で「ボタンを押すとエサが出るようにすると、ずっとボタンを押し続けるようになった」なんていう話がありますが、あれと同じなんですよね。


出荷ボタンを押すと、お金が入ってくる……。


行動と報酬が結びつけられて、動機付けになるんです。


よくある工場経営ゲームだと、出荷作業が自動(ベルトコンベアに乗った製品がそのまま工場の外まで流れていくとか)だったりするんですが、それだと「出荷ボタンを押すときの快感」が得られなくなってしまうんですね。


つまり、ゲームの技術的には出荷を自動にすることもできたはずなんですが、あえてそうせず、出荷ボタンを手動にしたことによって、プレイヤーに快感を与えようとしているのではないかと、こう思うわけです。


いやほんと、上手いこと考えてるなあ、と。

大手の作品ならともかく、インディーズゲームにおいて「どうしたらプレイヤーを引きつけられるか」をちゃんと考えられているゲームは、けっこう珍しいんじゃないかなあ、と思います(パブリッシャーはそこそこ大手なので、アドバイスとか入ってるのかな?)。


さて。


終わりに、と言いつつ長くなってしまって本当にすみません。


ですが、そういうわけで、この「Little Big Workshop」だけでなく、同じ開発者の次回作も、機会があればぜひやってみたいなあと思った、そんなゲームなのでした。


 
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