最近、ずっと昔に遊んでいたMMORPGを再開して、製造販売業などというものを始めました。


いや、なんでそんなことをしたのかというとですね……最近、とある事情で、簿記の勉強を始めたんですよ。


それで、簿記の勉強をゲームで役立たせたいなあと思い、MMORPGで商売を始めることにしたわけです。


今回はそんな「MMORPGにおける簿記」の話です。



一言で言えば「便利」

そう。


一言で言えば、MMORPGにおける複式簿記は「すげー便利」です。


たとえば、製品の生産量を増やした場合、一時的に原材料の仕入量が増加するので、キャッシュ(手持ち現金)が減少することになります。


この時、往々にしてキャッシュにしか目を向けないことになりがちな単式簿記ですと「自分がいま、損をしてるのか得をしてるのか分からない」状態になってしまいます。製品が完成して販売され、キャッシュが手元に戻ってくるまで、儲かってるのかどうか、よくわからなくなってしまうのですね。


これに対して複式簿記(日商2級レベル)では、製品勘定や仕掛品勘定の考え方を導入することにより「キャッシュの減少」が「資産の減少」と短絡的に結びつくことを防いでいます。


現在の経営状態を知りたい場合、以前だったら現金の残額だけ見ていたわけですが、複式簿記により、製品や仕掛品を含めた、資産全体の価値を閲覧できるようになるわけです。Excelを使って作るわけです。夢のリアルタイム貸借対照表を。


こうすればプレイヤーは、自身の事業の経営状態を、以前よりも把握しやすくなります。


というわけで「MMORPGで簿記」はおすすめです。ぜひ試してみて。


やり方は色々ですが、Excelでもやれないことはありません。私は最初はExcelを使っていましたが、いまは無料の会計ソフトを使っています。ゲーム内で製造業をやるなら、製造業にも対応したソフトを選ぶことをおすすめします。


減価償却の新しい方法を発明

やり方は基本、現実世界の簿記と同じです。


材料勘定から仕掛品勘定へ、仕掛品勘定から製品勘定へ、製品勘定から売上原価勘定へ……。


製造間接費はリアルでは予定配賦するところが多いとかいう話ですが、ゲームなら実際配賦も十分可能ですね。私はやっていませんが、標準原価計算なんかを導入するのも面白いかもしれません。


が! 一つだけ、私が頭を悩ませた問題があります……固定資産の減価償却です。


たとえば、ゲーム内で生産活動に使うための工房を買ったとしましょう。まずは現金の減少と建物の増加で処理します。ここまではいいですよね。


問題はここからです。ゲーム内の建物は、現実世界の建物と違って劣化しません。では、減価償却を行う必要はない、ということになるのでしょうか?


いえいえ、それはまずいです。減価償却を行わないと、固定資産を購入した時に支払った現金が、いつまで経っても費用として計上されないことになってしまいます。


これは日商簿記2級のレベルを超えてしまうのですが、実は減価償却は厳密には「経年劣化に伴う資産価値の減少を記録する」ものではないのです。

減価償却の本来の意義は「固定資産の取得に要した費用を、固定資産が将来生み出す収益に対応させるため、直ちに全額を営業費用とすることはしない(一部を資産として将来に繰り延べる)」というものです。誤解を恐れずに言っちゃえば、固定資産というのはある種の「前払費用」なんです。


つまり、いくらゲームの中で固定資産が劣化しないからと言って、固定資産の取得費用をいつまで経っても費用に計上しないのはまずい。それでは建物を買った時の費用が、営業活動に要した費用に入らなくなってしまい、ひいては「建物を買った」という経営判断が、正しかったのか間違っていたのかという検証ですら、あやふやになる危険があります。


……まあ、リアルでも「土地」のように、減価償却されない固定資産もあるので、それほど神経質になる必要はないのかもしれませんが……しかし、私としては「工房を買った費用をどの時点で回収できたのか」を明確にしておきたい、という経営的意志がありました。


というわけで、減価償却を行うことにしました。


しかし、問題はその方法です。ゲーム内での固定資産は、耐用年数はよく分からないし、ソフトウェアや特許権みたいに、時代遅れになったり期限切れで消滅したりも、基本的にしません。はて、どうしたものか。


……そこで、私はもう「まあ、ゲームなんだから」と、新しい減価償却の方法を勝手に発明することにしました。


名付けて「利益相殺法」です。


これは「固定資産の帳簿価額がゼロになるまで、毎期、利益と同額を減価償却費として計上する」という、自分で作っといてなんですが、はっきり言って無茶苦茶なやり方です。リアルだったら絶対に認められないでしょう。


しかし「固定資産の取得に要した費用を、どの時点で回収できたのか」を明確にするという経営目的には、まあ合致しています。


「固定資産の回収が終わってから計上される利益こそが、本物の利益だ」という考え方ですね。


まあ、ゲームの世界での経済は、往々にして回転が速い(つまり、固定資産の取得費用を回収するのが割と早い)ので、こんなやり方でもなんとかなるんじゃないかなあ、と思います(問題はうっかり損失を出してしまった場合ですが……まあその時はまた考えます)。


よかったら、試してみてください。


オチがついていませんが、おしまいです。