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テレビゲームでは珍しくもないテーマである「空戦」。

しかし、これをボードゲームやカードゲームで表現しようとすると、複雑化してなかなか遊べなくなってしまうのが世の常です。


 

しかし! 世の中には偉い人がいて、我々面倒くさがり屋さんでも遊べるようお手軽にプレイできるような、空戦ボードゲーム・カードゲームを考えていてくれたりするのです。一年以上前に紹介した「F-16 ファイティングファルコン」もそんなボードゲームでした。

 

で、今回はカードゲーム編です。

 

紹介するのは「Down in Flames:Ace High(ダウン・インフレイムズ 日本語版)」。第二次世界大戦の空戦を、カードゲームで表現した作品です。

 

実はこのゲーム、私はネット上で英語版の存在をかなり前から知っていて「面白そうだな。でも英語版か……」となかなか手が出ずにいたのですが、このたび国際通信社の「レキシモンゲームズ」なる新規レーベルから、待望の日本語版が発売され、店頭で見かけた私は思わず手に取ってしまった次第。

 

そういうわけで、今回はプレイレポートを交えて、本作を紹介していきます。

 

 

Tallyho!

プレイレポートにあたって協力してくれたのは、前回と同じくT氏。ありがとうT氏。

 

さて、Down in Flames(以下DiF)のカードには「戦闘機カード」と「アクションカード」の二種類があります。

 

dif_fighters「戦闘機カード」はその名の通りプレイヤーが操る戦闘機そのものを表すカードです。戦闘機の性能が書かれている他、丸形の「高度マーカー」や「ヒットマーカー」などをここに置いて、その戦闘機の高度や受けたダメージ量などを表示します。

 

dif_actions一方の「アクションカード」はプレイヤーの手札となるカードです。プレイヤーはゲーム中、手札にあるアクションカードをプレイして、相手を攻撃したり、相手の攻撃を回避したりします。

 

アクションカードは、たとえば「急旋回」「シザース」「ヨーヨー」など戦闘機の空戦機動を模したカードが中心で、この他に攻撃時に使用する「照準」カード、ダメージを食らう代わりに手札を得る「性能限界突破」、これ一枚で大抵のピンチは切り抜けられるすごいカード「エース」などがあります。

 

DiFにおける空戦は、このアクションカードの撃ち合いという形をとります。たとえば、一方が相手に「照準」を使用してダメージを与えようとするが、狙われた側は「急旋回」を使用して回避、しかし攻撃側は「ヨーヨー」を使用してなおも追いかける……といった攻防が、延々と繰り返されます。

 

では、能書きはこれぐらいにして、早速、T氏との対戦のプレイレポートに入っていきましょう。今回はシンプルに一対一の空戦をやってみます。

 

dif1まずは使用する機体を選びます。私は、こと第二次世界大戦の戦闘機と言えばドイツ機が大好きという人間ですので、大戦末期のドイツを代表する戦闘機「Bf-109K クーアフュルスト」を選択。T氏もそれに合わせて、同時期の英国軍機「スピットファイア XIVc」を選択します。

 

スピットファイアの方が連射性能で優れていますが、全体として性能はほぼ互角といったところ。

 

次に初期高度を選びます。今回はBf-109、スピットファイア共に「ターボチャージャー」の特殊能力を持っているので、初期高度「高空」からスタートできます。二人とも迷わず「高空」スタート。まあ、空戦は上を取った方が有利ですから、妥当なところでしょう

 

さて、このゲームでまず重要な機体パラメータは「基本性能」と「馬力」です。「基本性能」は手札の最大枚数、「馬力」はターン開始時と終了時に引くことができるカードの枚数を指します。

 

先ほど、このゲームの空戦は「アクションカードの撃ち合い」であると書きましたが、このようなゲームの場合、手札の枚数の多寡が勝敗に直結することになります。手札の枚数が多いということは、それだけ攻撃および防御の選択肢も機会も多いということであり、つまり強いということなのです。

 

結論から言うと、このゲームにおいて「手札の枚数」は「戦闘機の速度」を表しています。

 

現実の戦闘機は、激しい機動をすればみるみる速度が落ちていきます。飛ぶのがやっとというところまで速度が落ちてしまえば、それ以上の機動は出来なくなり、敵機の格好の餌食です。そこで戦闘機のパイロットは細心の注意を払って自機の速度を管理します。闇雲に敵機を追いかけ回して速度を落とすことはせず、ここぞという時に一気に畳みかけて撃墜を狙うわけです。

 

このゲームでも、そういった駆け引きが再現されています。手札の枚数が少なくなれば、攻めている途中で息切れしてしまいますし、次々と繰り出される攻撃を回避しきることもできません。

 

といっても、戦闘機には空気抵抗の問題でここまでしか出せないという最大速度があります。それがこのゲームでは「基本性能=手札の最大枚数」という形で表されています。また、エンジンの馬力は戦闘機がいかに短時間で速度を回復できるかを決めます。そこでこのゲームでは「馬力=手札の補充枚数」という形で表現されているわけです。

 

っと、能書きがまたしても長くなりましたね。では、その当たりを踏まえて実戦を見ていきましょう。

 

dif3ゲーム開始時。私のBf-109の基本性能は「8」なので、8枚のカードを引きます。

 

ジャンケンの結果、先攻はT氏。T氏は「回避機動」のカードを「空戦機動:2」として使用します。

 

ほとんど全てのカードは、そのカード本来の能力以外に「空戦機動」のカードとしても使用できます。空戦機動が(相手の妨害を受けずに)成功すると、カードに書かれている数字の数だけ、相手との相対位置が有利な方に変化します。

 

ゲーム開始時の相対位置は「中位」です。ここで「空戦機動:1」が成功すると、成功させた側は「優位」、受けた側は「劣位」になります。もし成功したのが「空戦機動:2」だった場合は「追尾」「被追尾」です。

 

詳細は後述しますが、ここでは相対位置が有利になると攻撃のチャンスが増える、と思ってもらえば大丈夫です。

 

dif4さて、このT氏が使用した「空戦機動:2」を防げないと、私は1ターン目からいきなり「被追尾」になってしまいます。それは嫌なので、私は手札から「バレル・ロール」を出して対抗。T氏もそれに対し「急旋回」で追いすがってきますが、さらに私が出した「シザース」には、T氏は対抗できませんでした。これによりT氏の「空戦機動:2」は失敗となります。

 

ちなみに、アクションカードは出せばいいというものではなく、ちゃんと相手のカードに対応したものを出さなければダメです。たとえば「バレル・ロール」は「空戦機動」に対しては有効ですが「急旋回」を防ぐことは出来ないカードです。

 

dif5と、「空戦機動」を防がれたT氏でしたが、次は「照準:1連射」で攻撃してきます。「照準」カードは「連射」を消費しないとプレイできないのですが、T氏が乗るスピットファイアは初期状態で1連射を持っているずるい戦闘機なのでした。

 

ただ、食らってもダメージは1ということだったので、私は反撃のアクションカードをプレイすることなく、大人しく食らっておくことにしました。次のターンに備えてカードを温存した方が得策だ、と思ったためです(ちなみに、照準カードには色々な種類があり、それぞれ消費する連射数や当たった場合のダメージ数が異なります)。

 

……このレポートを書いていて気づきましたが、よく考えたらスピットファイアには「火力+1」があったので、私が食らうのは2ヒットでした。ごめん、T氏……

 

dif6T氏の第一ターンはここで終了。私のターンに移ります。私は「照準」を「空戦機動:2」として使用。きっと反撃されると思ったのですが、T氏はなぜかスルーします(後から聞くと、ちょうど対抗できるカードを切らしていたそうです)。何にせよ、これにより私のBf-109はT氏のスピットファイアを「追尾」する形に。

 

先ほど「相対位置が有利になると攻撃のチャンスが増える」と書きました通り、相対位置「追尾」を得ると、攻撃側は1ターンあたり連射数3を得ます。この連射数を消費して「照準」カードをプレイしていくわけです。

 

んが。追尾を得た私は次々と「照準」カードを繰り出すものの、T氏はことごとく回避。ぐぬぬ……

 

しかも次のT氏のターンでT氏は空戦機動によって私の追尾を振り切り、逆に優位を占めます。が、ここで繰り出されたT氏の攻撃を、私も何とか回避。逆にその次のターンで私は再びT氏を追尾します。

 

しかしここでの攻撃もまた全弾回避。しかし、続く自身のターンでT氏は、追尾位置についた私を振り切ることができませんでした。

 

そして私のターン! ここが天下分け目の関ヶ原よ、と私は「照準:3連射:3ヒット」をプレイ! Bf-109には「火力+1」の効果があるので当たれば4ヒットです。スピットファイアは4ダメージを食らうと「損傷」状態になり、性能が大きく下がります。この攻撃が当たれば勝ったも同然です。

 

もちろんT氏も必死で回避してきますが、私もこの時のために手札を整えてきたので、そう簡単には逃がしません。「ジンギング」で逃げるT氏を「バレル・ロール」で追い、さらに繰り出された「ヨーヨー」には同じく「ヨーヨー」で対抗。

 

dif7こうなっては仕方がない、と切り札「エース」を使用するT氏。これはあらゆるカードに対抗できる強力なカードなのですが……ええ、私も持っていましたよ、「エース」!

 

 

 

 

 

 

dif8これまで逃げ回ってきたT氏もこれには対抗できず、スピットファイアは4ヒットを食らって蜂の巣に。基本性能は8から6に、馬力は3から2に大幅ダウン。

 

その後もT氏は高度を下げて手札を得るなどして、懸命に逃げ回りましたが、みるみる広がる手札枚数の差はいかんともしがたく、次のターンであえなく撃墜。

 

前回は敗北した私でしたが、今回は雪辱を果たしたのでした。

 

まとめ:お手軽な空戦。このテーマが刺さる人ならおすすめ

というわけで、以上プレイレポートでした。

 

見てきたように、DiFはお手軽でいつつ、それなりに空戦っぽい雰囲気も出せているカードゲームでして「WWⅡの空戦をカードゲームで!」というコンセプトが刺さる人にはお勧めできます。

 

まだ私は試していませんが、2対2などの多数対戦もできるようです。1対1はシンプルではあるもののやや単調なきらいがあるので、今度は多数対戦も試してみたいな、などと思っています。

 

ただ、一つ「これはちょっと問題かな」と思うのは、マリガン(初期手札の引き直し)のルールがないことですかね。

 

このゲームでは「照準」のカードは、攻撃する際には必須なものの、防御には何の役にも立ちません。

 

なので、後攻側に回った場合、初期手札の大半を「照準」が占めていたりすると、最初のターンで先攻側に「追尾」されちゃったり、悪くすると大ダメージを食らったりしてしまうことがあるのです。

 

そこで、プレイする際にはマリガンをローカルルールとして定めた方が上手くいくかな、という感じがしました。

 

あ、ちなみに収録機体についてですが、大戦初期から末期までの機体が一通り収録されています。

 

もちろん日本の零戦なども収録されているのですが……ただ、大戦後期の日本軍機は評価が低いらしく、性能が押し並べて低めです。

 

dif_comparison同じ1944年の戦闘機でも、アメリカの「P-51D ムスタング」のVP(勝利点。撃墜された場合に得られるポイント)が17であるのに対し、日本の「J2M3 雷電」は12だったりします。細かい性能差は画像の通り。

 

まあ、対戦相手を年代ではなくVPで選べば、ゲームをする上では問題ないのですが、残念と言えば残念ですかね……まあでも、大戦末期の日本軍機の評価が低いのは、妥当と言えば妥当かなという気が個人的にはしますが。

 

フライトシミュレーションゲームで乗っていてもね、何というか、私は零戦の軽くてふわふわした乗り心地が好きにはなれないんですよ……ドイツ機の重厚な安定感が好きで好きで……

 

話が逸れてしまいましたね。

 

ああ、最後になってしまいましたが、翻訳の質ですが、多少首をかしげる部分もあったものの、ルールの理解に支障を来すほどではないです。それほど心配することはないかと思います。

 

というわけで、以上、お手軽WWⅡ空戦カードゲーム「Down in Flames」の紹介でした!

 

ダウン・イン・フレイムズ 日本語版 公式サイト