RisingStorm_ClearSilhouette「Rising Storm(以下RS)」は太平洋戦争の歩兵戦闘に的を絞ったリアル系FPSです。

 

独ソ戦を舞台にした「Red Orchestra 2(以下RO2)」のスタンドアロン拡張パックになります(つまりRSの起動にRO2は必要ありません)。

 

知る人ぞ知る名作FPSである「Red Orchestra」シリーズですが、これまでは我々にあまりなじみのない独ソ戦(とりわけスターリングラード)を舞台にしていました。が、RSの舞台は、日本人にもなじみ深い太平洋戦争。興味を惹かれる方も多いのではないでしょうか。

 

結論から言うと、本作はプレイアビリティとリアリティの両立を成し遂げた、なかなかの秀作でした。

 

 

基本システムは、オーソドックスなリアル系

FPSには「スポーツ系」と「リアル系」の二種類ある、なんてよく言いますが、本作はもちろんリアル系。

 

つまり、基本的にHUDはなく、右クリックで照準器をのぞき込まないと精確な射撃が不可能。また、ライフル弾を一発食らうとほぼ即死なので、射撃されにくい移動ルートを上手く考えないと、あっという間に死にます。

 

RisingStorm_JohnBasiloneこのほか、カバーシステム(物陰から顔を出して撃つなどのアクション)が備わっています。左Ctrlキーというのが少し変わっていますが、慣れれば気になりません。

 

また、詳しくは後述しますが、本作には乗り物は一切登場しないので、マップの広さもそれなり、つまり徒歩で歩き回れるぐらいです。

ただ、この広さのマップで最大64人対戦となるので、かなり激しい銃撃戦が楽しめるのが特徴です。

 

 

ライフルは、私の、最高の友達

ここまでは特に珍しくもないFPSという感じですが、このゲーム、クラス編成がかなり特異。

 

RisingStorm_ClassSelect機関銃兵や狙撃兵など、強力な武器を使えるクラスは人数制限が非常に厳しく、そこから漏れたプレイヤー(サーバーが埋まっていればだいたい半分くらい)は、全員まとめてライフル兵に配属されます。

 

 

当時のライフルは基本的に手動装填式、つまり一発撃ったら右手でボルトを操作して次の弾を込めなければならず、連射ができないという代物。

 

ほとんどのマップで米軍は、引き金を引くたびに弾が出る「M1 ガーランド」が支給されますが、日本軍のライフル兵はほんとに一発ずつしか撃てません。

 

RisingStorm_Entry遠距離戦ならこれでも問題はないのですが、接近戦となると、仲間とのチームワークが重要になってきますね。

 

ゲームのルールは、基本的に陣地占領です。進行に応じて前線が移動するタイプなのでいわゆる「裏取り」はできず、前線での銃撃戦に神経を集中できます。

 

まあしかし、このゲーム、ほんとにすぐ死にます。どこからともなく飛んできた一発の銃弾で、新兵はばたばた死んでしまうでしょう。私なんか「ああ、多くの無名戦士たちも、こうして一人一殺もできずに散っていったのか……」と感慨にふけってしまったほどです。

 

RisingStorm_Umbushそんな新兵さんに一つアドバイスをすると「自然物の陰で伏せましょう」ということになるでしょうか。

 

どうも人工物(家とか)の陰から顔を出すとすぐに見つかる気がします。それに対して、岩や草などの自然物の陰に隠れると、比較的見つかりにくいような木が、もとい、気が。あとは、日なたか日陰かだったら、迷わず日陰を選びましょう。

 

日本軍と米軍による「非対称戦争」

RO2ではドイツ軍とソ連軍の違いはあってないようなものだったのですが、RSでの日本軍・米軍は、陣営ごとに特色がはっきり分かれています。

 

RisingStorm_Flamethrower米軍は半自動式のM1ガーランドが標準装備だったり、火炎放射器があったり。

 

一方の日本軍も、銃剣を標準装備していたり、手榴弾を地面に埋めてブービートラップを作れたり。

 

また、日本軍には「TYPE 89 GRENADE DISCHARGER(八九式重擲弾筒)」があります。

 

RisingStorm_KneeMortarまあ今で言うグレネードランチャーですが、曲射もできる上に狙ったところにしっかり飛んでいくので、すごく頼もしい武器です。

 

また、日本軍には「BANZAI Charge(バンザイ突撃)」というシステムがあります。名前を見ただけで想像がつくと思いますが、これは発動すると日本兵が雄叫びを上げながら突っ走り、その間は防御力上昇などのボーナスが得られるというものです。しかも大勢でやれば効果がアップするという……

 

ゲーム中では使いどころが難しいかなという感じではありますが、少なくとも雰囲気はかなりでますね。ここぞという時にボイスチャットで外人が「BANZAI! BANZAI!」と合図していたり。

 

ちなみに、RO2の一部マップで登場した戦車は、RSでは登場しません。この部分は、戦闘の単調さに拍車をかけてしまっている感があります。

 

 

銃撃戦に焦点を絞ったゲーム

この手のリアル系FPSでは、リアルさゆえのプレイアビリティの低下=敷居の高さが問題になることが多々あります。

 

結論から言うと、RSは銃撃戦を楽しむことに焦点を絞ることで、このプレイアビリティの低下を最小限に食い止めている印象です。

 

リスポーンはかなり前線の方からできるので、すぐに戦闘に参加できます(もちろん乗り物の順番待ちなどはないです)し、マップもなかなか作り込まれているので、極端に遠い場所から狙撃されるということも、あまりありません。

 

RisingStorm_Flankこのゲームで大事なのは、撃ちやすく撃たれにくい位置取りや、移動のルートやタイミングの選定、どこにどれぐらいの規模の敵がいるかの状況判断などです。

 

このため、反射神経を使うアクションゲームというよりは、思考力を試されている気がしますね。それでいて、純粋に歩兵戦闘を楽しめるような作りになっていて、個人的にはとても好印象を持ちました。

 

しかし、これは諸刃の剣みたいな話でして、歩兵戦闘をクローズアップするあまり、ゲーム展開が単調になってしまっているきらいがあり、この点で好みが分かれると言えるかもしれません。

 

とはいえ、リアル系の歩兵戦闘だったら延々と遊んでいられる、という方には、文句なしにおすすめできる内容と言えるでしょう。