planetarian_thumb何か妙な視線を感じますが……そうです。私もギャルゲーはけっこう好きです。ただこのKey製作の「planetarian~ちいさなほしのゆめ~」はなかなかやる機会がなかったのですね。


 

しかし! 先日iOS版が出ていることを知り、これは良い機会! 早速ダウンロードしてみたのでした。

 

 

Key作品のスマホ・タブレット進出

……と、本題のゲーム紹介に入る前に。ここでゲームブランド「Key」のスマホ・タブレット進出についてちょっとだけ解説しておこうと思います。

 

Keyと言えば、今やオタクならば誰でも知っている、ギャルゲ―の世界では押しも押されぬ有名ブランドですね。

 

Key作品は、美少女たちとイチャイチャラブラブするのは他のギャルゲーと同じですが、物語が後半に入ると様々な悲劇が主人公とヒロインに降りかかり、プレイヤーは涙無くして見られないという「泣きゲー」と称される展開がお家芸であり、また人気の秘密と言われます。

 

そんな大手のKeyも、近頃はちょっとずつスマホ・タブレットに進出しています。このiOS版planetarianがまさにそうですし、他にも初期の名作「Kanon」や「AIR」などもiOS版が登場していたり、「リトル・バスターズ!」のショートストーリーが配信されていたりします。

 

planetarian_airただ、このiOS版の「Kanon」及び「AIR」は、おそらくは容量の関係でボイス(ヒロインの声)が未収録となっちゃいまして……(画像はAppStoreの「AIR」商品紹介から拝借)

 

その分、お値段は800円(2013/10/02現在)とお得ですが、それにしても大変残念ですね。Android版ではストアにそうした制約がないためか、ボイスも収録した完全版が売られているようですが。

 

しかし! 今回ご紹介するplanetarianは大長編のKanonやAIRと違い、プレイ時間5時間程度の短編ということもあって、ボイスも完全収録!

 

その上、後で詳しくご紹介しますが、インターフェースについても、ちょっとやりすぎじゃないかと思うぐらい、タッチパネルに最適化・多機能化されており、この点も一見の価値ありです。


 

荒廃した都市の、ちっぽけなプラネタリウムで出会う、男とロボット……

planetarian_ruinplanetarianの舞台になるのは、破滅的な世界戦争で荒廃した未来の地球。曇天からは毒性の雨が四六時中降り注ぎ、地上を自動殺戮兵器が闊歩する、人類の滅亡は時間の問題と思われる世界です。

 

主人公の男は、今は見る影も無く崩壊した都市を漁り歩くことで生計を立てる「屑屋」。

 

男はその日、大物を狙って都市の奥まで進み、武器を手に建物の中へ……しかし、そこで出会ったのは、廃れきったこの世のものとは思えない、歓迎ムード全開の接客ロボット(美少女)なのでした。

 

「ほしのゆめみ」なるこのロボット、完全に浮き世離れしているというか、時間が戦前の平和な時代で止まっていて、いろいろと主人公を置いてけぼりにするのですが、どこかその様は憎めない。

 

絶望の時代を殺伐と生きてきた主人公と、平和な時代の記憶をとどめて穏やかに振る舞う「ゆめみ」……いつしか主人公も、彼女に情が移るようになります。

 

planetarian_projectorで、ゆめみはプラネタリウムの解説員をしていて、(大気汚染のために)星空を見た記憶がほとんどない主人公にプラネタリウムを見せようとします。

 

が、さすがに投影機は長い年月のために壊れていて、あきらめかけるのですが……主人公が渋々ながらも自分から修理を買って出る、というのが物語の冒頭です。

 

 

小粒ながら好感が持てるシナリオと、美しくも親しみやすいグラフィック

Key作品のシナリオは、序盤は影があるもののコメディ色の強い展開をして、悲劇的な後半との落差を際立たせる傾向がありますが、このplanetarianは短編ということもあってか、のっけからシリアス色が強いですね。

 

planetarian_guideもっとも、ゆめみのキャラクター造形は典型的「健気なドジっ子」であり、要所要所で和ませてくれます。

 

過酷な環境で育った主人公が、そんなゆめみに惹かれていくのも、自然とうなずける感じがしますね。

 

ゆめみなど一撃で吹っ飛ばせる武器を持っている主人公が、小さい頃のかすかな記憶でしか覚えがない星空を見るために、苦労して投影機を直そうとするのは、胸が締め付けられる思いがします。

 

しかし、一歩プラネタリウムの外に出れば、破壊と殺戮が溢れかえるのがこの時代。二人の交流も、しょせんはちっぽけで、はかない夢……二人が迎えた結末にはやりきれない思いも残りますが、一方で……

 

というわけで、結末はご自身でお確かめ下さいw

 

あ、ちなみに、悲しいボーイ・ミーツ・ガールというのがメインの本作ですが、ミリタリー(軍事)SFの側面も割と強くて、ところどころで顔を出し、そっち方面が好きな私としてはなかなか楽しめました。

 

そうか~欧米人がアフターマス(崩壊後の世界)をやるとFallout3とかみたいになるけど、日本人がやるとこうなるんだなあ、これはこれで面白いなあ、などと大変勉強になりました。

 

planetarian_cgなお「ほしのゆめみ」のイラストはあの「駒都えーじ」氏によるものです。

 

駒都えーじ氏といえば、私は「秋山瑞人」氏のライトノベル「イリヤの空、UFOの夏」のイラストが忘れられませんね……そういえば、あれもSFだったなあ、懐かしい……

 

背景についても、イラストをメインに、時としてCG(かな?)あり実写ありと多彩なんですが、廃墟と化した都市が統一感のあるいい雰囲気で描かれており、さすがというかなんというか。

 

というわけで、内容については、短編として大変手堅く、よくまとまっていると評価できます。

 

 

多岐にわたるオプションは至れり尽くせり。ちょっとやり過ぎ感すらあるほど?w

ここからは、ノベルゲームを快適にプレイする上で重要なインターフェース等の話。

 

しかしまあ、この記事の冒頭でも予告したとおり、これがまたスマホ・タブレット向けにこれでもかと機能が詰め込まれた感じになっておりまして。

 

planetarian_menuこちらがメニュー画面。目次、しおりなどは普通ですが、言語も日英で切り替えられるようになってて。いや、しかしそんなのは序の口でしてね……


 

planetarian_verticalメッセージは縦書きでも表示可能です。こちらは履歴画面を縦書きで表示したところ。どこまでもスクロールしてスムーズに読み進めることも可。

 

履歴画面から文章をタップすると、そこからゲームが再開します。なお、スクロールするとそれに対応して半透明レイヤーの下の画面が切り替わる(背景だけでなく立ち絵やCGも切り替わる)という地味にすごい機能付き。

 

planetarian_indexまた、これは短編だから可能なことでしょうが、目次はこの細かさ。

 

この他、クリア後の音楽・CG鑑賞などの必須機能はもちろん、文字やウィンドウの色を変えられたり、ウィンドウ位置まで動かせたり、文字フォントもゴシックと明朝の二種類あったり、ピンチ(二本の指をつまんだり広げたり)によって文字の大きさ(!)まで変えられたりとまさに至れり尽くせり。

 

さらに、環境設定で設定することにより、画面の四隅に配置された小さいアイコンに各種機能を割り振れるのですが「押している間だけ早送り」とかすごく便利そう……

 

しかも、それら全てがヌルヌル動く! 気持ち良いほどに!

 

というわけで、充実したインターフェースで、ゲーム内マニュアル(!w)を見ながらいじりまわしているだけでも楽しかったりするほどなのですが、正直、短編をプレイする環境としてはすごすぎるなとw

 

察するに、大作の「Kanon」や「AIR」向けに開発されたのと同じシステムを、planetarianでも使っているということではないでしょうか。

 

 

まとめ…買って損なし。一度やってみたかった素人さんも。つい買いそびれたという玄人さんも

というわけで、2013/10/03現在の本作の価格は350円ということですが、この内容でこの価格なら、まったくケチのつけようがありません。興味があるなら買う、でOK。

 

特に「実はギャルゲ―というものを一度やってみたかったんだけど、値段が高いし、時間かかるしで手が出なかった」という素人さんには、値段の安さと数時間で終わる短さから、第一歩としてばっちりおすすめできると思われます。

 

ただし! 周りに誰かがいる環境では、ゆめみの声を聞く時にちゃんとイヤホンをしましょうw

 

あ、もちろん、全年齢OKな作品ですよ? えっちいシーンは一切ないです。移植前からそうです(ここ地味に重要)。

 

また、近頃こういったのっけからシリアス寄りの作風も珍しい気がしますので、未プレイの玄人さんにもおすすめできます。えーと、特に追加要素とかはないので、既にPC版やPSP版などをプレイされた方にはなんとも言えんですが(汗)。

 

 

おまけ:隠し要素……かな?w

今回、レビューを書くためにあらためて本作を起動したところ、初めて気づいた隠し要素(といってはおおげさだけどもw)を見つけましたのでご報告。

 

planetarian_landscape起動時に一瞬だけ表示される画像、いわゆるスプラッシュスクリーンと呼ばれるあれなのですが。こちらはデバイスを横向きで起動させた時の画像。投影機ですね。


 

planetarian_portraitところが、縦向きで起動させると、なんとゆめみちゃんの可愛らしい画像が!

 

いやー最初にプレイした時には気づかなかったので……レビューを書いたおかげで気づけましたね。

 

なんだか得をした気分ですw